ゲームのイベント探訪記


「下の句かるた全道大会・稚内大会」


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 京都府相楽郡和束町で行われた茶香服(ちゃかぶき)大会に参加して来た。和束町は宇治市の南側で、この近辺は日本茶の産地なのである。宇治市を始め近郷の市町村では年に1回茶香服の大会が行われている。

 茶かぶきは茶の味を当てるゲームである。元々は闘茶と呼ばれ、中国から日本に伝来した茶の風習が、次第に上流階級の遊びと化し、鎌倉時代末期から室町時代に流行したものである。当初は茶の本場が京都の栂尾であり、栂尾の茶を本茶、それ以外の産の茶を非茶と呼び、十種類ほどの茶を飲んで、それぞれが本か非かを当て、勝者に賞品を出す賭けものであったようだ。茶道が確立するに至り、本道ではない茶の嗜みという意味で傾く(かぶく)という字を用いて茶カブキと呼ばれるようになったが、これは先に何杯かの茶を試しに飲み、後から飲む茶が試しのどれと同じかを当てるゲームである。また現在、茶の生産者の団体でも行われているが、こちらはプロ向けの競技会で、生産地を当てなければならない。

 今回参加したのは、第2回和束茶まつり。ほっこりサークルという団体や商工会議所が企画したもので町おこしイベントのようなものである。和束町は京都府のほぼ南端に位置する町である。人口約4700人。最寄りの加茂駅は奈良駅から関西本線の大和路快速で約15分。加茂駅で下車し、そこからバスで約20分揺られ、山の中の和束町に着く。当日は無料のシャトルバスも一日数本運行されている。会場は町内の和束運動公園。バスを降りると、心なしか空気が茶の香りである。たぶん周囲が一面の茶畑なので、気のせいではないのだろう。テントの模擬店が並び、団子や焼きそばなどを販売している。茶摘み娘の格好をしたスタッフが案内をしている。可愛い茶娘・・・と思って良く見ると、なかにはやたら体が大きかったり、ごつい体格の茶娘がいる。手拭いを被って入るがどう見ても男である。なぜか皆腰の当たりに番号札を下げている。入り口で配られた案内の用紙を見ると、中に茶娘の投票用紙というのがあった。どうやらコンテストになっているらしかった。突如スピーカーからアナウンスが流れた。「10時30分より茶香服大会を開催致します。参加ご希望の方は山の家までおいでください。」おっと。これに遅れては東京から来た意味がない。急いで案内の地図に従い小屋風の建物に近づくと「茶香服会場」の看板。飛び込むと、机がコの字肩に並べられ、15人ほどの人間が座っていた。どこで参加申し込みをするのだろうと見回していたらスタッフが「良かったらどうぞ座ってください」と声をかけてくれた。ありがたい、間に合った。座ると机の上には紙が一枚。和束の茶の解説と茶香服の解説と一覧表。他にマージャンパイぐらいの5枚の樹脂製の札が置かれている。「和」「束」「優」「良」「茶」の文字が書かれている。説明によれば、5種類の茶を飲み、それを当てるということである。これはその投票用の札なのであった。正面の黒板に今日の茶香服に使われる茶の一覧が書かれていた。

  和 玉露     20,000円
 束 かぶせ茶   15,000円
  優 煎茶(一番茶)10,000円
  良 煎茶(二番茶) 3,000円
  茶 玄米茶     2,000円

 本来5種類は試し茶を飲む事なく始まるらしいのだが、今回は一般の参加者のため、最初に飲んで戴きますと言うことであった。まず茶葉が入れられた5枚の紙皿が回ってきた。葉の名称が書かれているが、素人の私には香りが異なることはなんとなくわかるが、記憶すること・頭に入れることはとてもできなかった。もっとも玄米茶だけは香りがかなり特殊なので、これだけはわかりそうな気がした。次に茶が順番に淹れられる。盃ぐらいの小さな茶碗に茶が注がれ、参加者に配られた。最初に回ってきたのは玉露。本来玉露は低温でいれるべきものなのだが、ここの茶香服ではすべて「沸騰した湯を注ぎ、90秒おいたものを茶碗に注ぐ」ということで統一しているということである。

 机の上の用紙には表が書かれ、「形状、色、香り、味」などの欄があり、メモを取れるようになっている。「形状」とあるのは、葉の形状だろう。後から回るのは淹れられた茶だが、葉の形状で味がわかるのか、と思ったが細かい粉が茶碗に入るため、葉を覚えておくのは意味があるようだ。味の特長としては、玉露は甘目、かぶせ茶は日光を遮ったもので、日光が当たることにより生じる渋みの弱い物、煎茶のニ番は一番を摘んだ後に出てくる芽なので、一番よりは劣るとのことであった。これらのことを頭に入れて試しの茶を飲んでいく。玉露はたしかに甘い。もちろん砂糖の甘みではなく、苦みの無さ、とでも表現するのだろうか。逆に二番茶はひどく苦い。普通に売っている茶なのだろうが、上級である3種を飲んでいるためか、吐き出したいようなまずい苦さだった。でも多分、自分が普通に飲んで入るのはこのあたりなのだろう。玄米茶は飲まなくても香ばしい香りでそれとわかる。ポイントはかぶせ茶と一番茶の区別だろうか、などと考えながらゲーム開始を待った。  いよいよ開始。最初の茶が回ってくる。香りで玄米茶でないことはわかるが、後はわからない。一口飲んで見ると・・・わからない、が。多分、これか。投票箱が回ってくるので、これと思う札を入れ、自分の前の用紙にも何と入れたか記入する。2杯目。色が緑・・・二番茶か。3杯目・・・もうわからない。4杯目・・・玄米茶ではない。とすれば残りはこれしかない。これで終了である。5杯目は残ったものとなるから飲む必要は無く4番目と5番目の札を続けて入れる。結局、最も分かりやすい玄米茶は入っていなかった。つまり5番目ということか。

 全員の投票が終わると結果発表である。正面の黒板に正解が並べられる。係のおじさんも投票箱を空けて結果を見せてくれる。投票箱の側面のカバーを取ると、自分の入れた札が縦一列に入れた順に並んでおり、自分の投票を一覧で見ることができるのだ。結果、5番目の玄米茶以外は見事に外れていた。白久保のお茶講では全問正解だったので多少自信があったのだが、見事に全滅した。最上級の玉露を煎茶と間違えたのは何とも恥ずかしい限りだ。玉露など滅多に飲んだことはないので当然と言えば当然と開き直っても良いのだがやはり悔しい。

 続いて第2ゲーム。本来は何ゲームも行うらしいが、今回は2ゲームで終わりとのこと。気合は入るが、正直自信は起きない。一杯目。難しい。2杯目は香ばしい玄米の香り。「これはサービスですよ」と笑う係のおじさん。さすがにこれを間違える人間はいないだろう。しかし3杯目からはまたわからなくなった。結局玄米茶ともう一つ当て、2問正解で終了。  結果、参加者15名程度の中、2回とも全問正解の10点はおらず、優勝者は8点、準優勝者は7点であった。私は3点で2人同点の7位。じゃんけんの末、特別賞の茶葉をいただいた。

 聞けば、茶香服はいつもこの組み合わせではなく、いろいろと変えて行われるとのこと。地域によっても使用するものはことなるとのことであった。使用していたのはティーバッグ位の小袋であったので、5種類入れた茶香服セットは売っていないか聞いたところ売ってはいないとのこと。セットで販売すれば面白そうなのだが。

 小屋の外へ出ると、正午近くなっており、外は良い天気で絶好の祭り日和。地元の太鼓の同好会による演奏の中、会場を後にした。 (2008.11.23)


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