ゲームのイベント探訪記


「下の句かるた」


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 北海道の百人一首と言えば、木製の板カルタである。冬になると各地区や学校などで大会が開かれるが、この日の大会は参加資格は50歳以上の「高段者戦」とのことである。中高年以上の大会を作って欲しいとの要望により設けたとのことである。正しくは高齢者大会なのであるが、名前が良くないため「高段者戦」と言っているらしい。カルタ取りは反射神経のゲームであるため、中高年になると勝つのが大変である。そのために設けられたのだろう。

 この日の参加者は24名。ゲームは3人一組で行うため、人数を合わせる都合上、50歳未満の人間も入っているがこれはやむを得ないのだろう。主催者も勝負より懇親を強調していたが、その精神を貫くべきと思う。

 10時、開会式開始。主催者あいさつ、来賓あいさつ、ルール説明等。
 競技開始。板カルタは3人一組の団体戦である。各組は横一列となり相手と向き合う。3人は攻め、中間、守りに別れ、同じ並びで向き合うため、攻めと守りが向き合うこととなる。百枚の取り札は交ぜた後に2つに分ける。分けた50枚は3人の間で分けることになるが、攻めと中堅は5枚ずつ取り、守りは残り40枚を自分の前に並べる。要するに守りは自分の前に札を取ることに専念し、攻めは相手の札を取ることに専念するわけである。自分と自分の向かいの相手の札しか取れず隣の札を取ってはいけないため、中堅の役目は攻めとほとんど変わらず、今一つ中途半端な感じがする。

 読み手は下の句だけ読む。実際は下の句の決まり字のみ読むと行った方が正確である。札を取った後は下の句を全部読んで、続けて次の札の決まり字を読む。この「続けて」というのがミソで、前の札を読み終えた後の息遣いなどで上級者は次の札を判断するらしい。この辺は紙の百人一首も同様の話を聞いたことがある。取るのは指を少しでも触れれば取ったことになる。バーンと札を飛ばす紙の百人一首の大会を知っている人は、板を飛ばしたら大変だろうと思うところだが、そこは違うのである。もっとも少し触れればよいので、見ている分にはどちらが取ったのかがよくわからない。またどの札が取られたのかもわかりにくい。取った札は取った人が自分の後ろなり横なりに片付けてくれれば良いのだが、「先に無くなった方が勝ち」なので、真面目に行わず、相手の方に投げてしまうのも見られ、なおさらはっきりしない。また、「少しでも触れれば良い」ということは、プレイヤー自身もどちらが先に触れたか、あるいは他の札に触れたかが分からないということにもなる。その際は審判が裁定を下すことになる。当事者よりも遠い位置にいる審判にが正しい裁定を下せるかどうかは問題だが、裁定には異議を唱える姿は見かけなかった。これはマナーとして位置付いている様であった。  さらに見ているものを混乱させるのは、一枚取るごとに敵味方で札のやり取りがされることである。 相手側の札を取った時に自分たちの札を相手に送ったり、お手付きをしたときに札をもらうのは紙の百人一首と同じなのであるが、3人の前の札を横に送って相手の守りのプレイヤーに渡し、そこから横に送られたりするし、送った側は送った側で空いたところに横に渡して補充したりするのである。なお、お手付きのことは略して「てつ」と言っている。

 枚数が少なくなってくると、少し様子が変わってくる。
3枚以上ある時は3人ずつで競技を行っているが、2枚になったら一人ずつ抜けることになる。札が無くなった人間はそのまま抜けるが、その向かいの人間は自分の前の札を味方のメンバーに渡して抜ける。1枚になればさらにもう一人ずつが抜け、最後は1対1になるわけである。札が多い時はどこに置いてもいいが、5枚以下になると決まったところに置かなければならない。最後の一枚になればいやでも中央部境界線のところだ。勝負がつくと一礼して終了。

 一般の競技かるたともまた一味違った面白いかるた大会を楽しませてもらった。

(2004.1.18)


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