季刊カステラ・1998年夏の号

◆目次◆

プリンプリン物語大辞典
方法的怠惰
秘密集会
インモラル物語
かなり重症
編集後記
別冊付録『彼が目覚める時』2

『プリンプリン物語大辞典』

こぎと【漕人】
船を漕ぐ人のこと。 船頭。船頭多ければ船山に登る。多重人格。
またにてぃー【股にティー】
埼玉県奥地に伝わる民間避妊法。ティーは紅茶であるとする説が一般的だが、ゴルフで使用するボールを乗せる台を使用する地方もある。効果のほどは疑わしい。紅茶を使用する際は火傷に注意すること。ゴルフのティーを使用する場合は、挟む程度に。奥まで入り込んでしまうと取り出せない。
びっぐばん【ビッグバン】
巨大なワゴンタイプの自動車。
しりのあながちいさい【尻の穴が小さい】
男色家の間では誉め言葉だと、山藤章二さんがおっしゃってました。
ばっくなんばー【バックナンバー】
背番号。
すくらんぶるえっぐ【スクランブルエッグ】
緊急発進卵。
すくらんぶるこうさてん【スクランブル交差点】
緊急発進交差点。非常に危険。
はむえっぐ【ハムエッグ】
ハムの卵。飼育下ではハムは毎日一〜二個の卵を生む。親は子供を育てず産みっぱなしである。夏であれば三週間ほどで卵は孵化する。主に猫の毛などを食べて育ち、二年で大人になり、雌は卵を生み始める。食用。
あるこーるちゅうどく【アルコールちゅう毒】
アルコールという名の毒。百薬の長? 嘘嘘。酒は毒です。
かいこういちばん【開高一蛮】
開高健と一本木蛮の間に生まれた子供。すでに世界中のテロリストから票的にされている。食用。
しーちきん【シーチキン】
海鳥。天敵はウミネコ。
せいてんのてきれいき【青天の適齢期】
思いがけず適齢期になること。長寿、晩婚、非婚、離婚率増加による婚期の混乱が原因で起こる。
てらほーみんぐ【寺ホーミング】
1)寺を人の住める環境に改造すること。
2)寺を追尾すること。
3)寺が追尾すること。
4)寺から発射される自動追尾ミサイル。
ほーみんぐみさいる【ホーミングミサイル】
1)ミサイルを人の住める環境に改造すること。
2)ミサイルを追尾すること。
ほーまー【ホーマー】
追尾する人。
ほーめすと【ホーメスト】
最も追尾する人。
まなつのよのうめ【真夏の夜の梅】
狂い咲き。
かうんたーかるちゃー【カウンターカルチャー】
1)細長いテーブルの文化。接客、飲食、水商売用語。
2)計数器の文化。日本野鳥の会用語。
かうんたーぱんち【カウンターパンチ】
1)細長いテーブルごしのパンチ。主に困った客とバーテンの間で交わされる。店の従業員は殴り返したりしないのがセオリーだが、バーテンも人の子である。なんというか、まあ、あのときは酔ってたんです。ごめんなさい。
2)計数器のパンチ。日がな一日通行者を数えていればストレスもたまるのである。
ばたふらいわいふ【蝶々夫人】
そんだけなんですけどね。
やく【ヤク】
おおよそのところウシ科の哺乳類。チベット高原やヒマラヤ地方の原産で、野生種は高山の草原に住む。おおざっぱな性格で、細かいことは気にしない。
れーしんぐどらいばー【レーシングドライバー】
レース編みをするネジ回し。
もずなべ【百舌鍋】
鳥鍋の一種。そのこころは、百舌の早煮え、なんちゃって。
ふぁいんあーと【ファインアート】
芸術の終わり。
みーてぃんぐ【ミーティング】
肉になること。
じゃすとみーと【ジャストミート】
ちょうど肉であること。
ぼーだれす【ボーダレス】
浦安に東京ディズニーランドがあり、常磐にハワイアンセンターがある。
じゅうよくごをせいす【十よく五を制す】
倍あればたいてい勝てるということ。類語:五十歩百歩。
みんぞくじけつ【民族自決】
本土決戦、一億玉砕火の玉だ。
みんぞくじけつ【民族痔血】
遺伝性なのである。
ぼうきゃく【亡脚】
亡脚とは走り去ることなり。
ひめくり【姫クリ】
ものすごく猥褻な暦。毎日一枚ずつ剥ぎ取って使う。
ふらんそわーずさがん【フランソワーズ砂岩】
硬い女。もろいところもある。
となりのことろ【隣の児盗ろ】
人さらい。
しにかる【死にカル】
1)死んだ文化。
2)死ぬ文化。
3)死に方の文化。
うぉーたーべっど【ウォーターベッド】
水でできた寝台。気をつけないと溺死する。類語:水枕
えすけーぷごーと【エスケープゴート】
生贄が逃げたぞ! 追え!
きんくす【禁句ス】
ローリングストーンズと並ぶイギリスの最古参バンド。言えない事がある。
ほめちぎり【誉めちぎり】
誉めながらちぎること。類語:誉め殺し。
ねいるあーと【寝入るアート】
能。
しーそー【シーソー】
楽器。シとソの音しか出ない。
ようとうひきにく【羊頭挽肉】
ミンチにしてしまえば何の肉かわからない。
はりのむしろ【針の蒸炉】
たくさんの針の上に座らされて、蒸し焼きにされる。
ないてばしょくをする【泣いて馬食をする】
「さくら鍋、うまいなー、ちくしょう」
「なにも泣かんでもええがな」
うじよりそだち【蛆より育ち】
蝿のこと。
こんぴゅーたぎし【コンピュータ義歯】
センサーによって食べたものの硬さ、化学的性質などを調べ、それに応じて硬さ、粘性などを変化させる、新素材機能性高分子を使用した入れ歯。放射能を使って食べたものを分解する放射線義歯もある。
ぎしわじんでん【義歯倭人伝】
中国の正史「三国志」の「魏志(魏書)」にある「東夷伝‐倭」の条の通称。晋の陳寿撰。魚豢(ぎょけん)の「魏略」により、三世紀前半における耶馬台国などの日本の入れ歯についてまとまって記した最古のもの。

『方法的怠惰』

●夫婦善哉●

 茶の間にて。ワイドショーでタレントの離婚スキャンダルを見ながら。
妻「あんたが浮気なんかしたら許さないからね」
夫「そんなことしないよ、お前一人でももてあましているのに」
妻「(聞いていない)もし離婚したら、慰謝料と養育費、一生かかっても払えないくらい要求してやる。あんたの稼ぎなんか一文残らずむしり取ってやるんだから」
夫「今と同じじゃないか」
妻(聞こえないふり)

 事実を元にしたフィクションです。宮坂、奥さん元気か。

●今日の点取り占い●

誰に聞いても「そんなやつ知らない」と言われる。  0点
もんじゃの鉄板の上にげろを吐く。  0点

●ことわざ●

老兵は死なす。

●ちょっと似てるシリーズ●

すごい と どすこいはちょっと似てる。
夢見がちと埋め立て地はちょっと似てる。苦しいか。
レベッカとおべっかはちょっと似てる。
腹具合とパラグアイはちょっと似てる。
猪瀬直樹といなせな鬼はちょっと似てる。
首吊りツリーとクリスマスツリーはちょっと似てる。メリー首吊ります。
心からお祝い申し上げますと心からお呪い申し上げますはちょっと似てる。
芥川はクワガタにちょっと似てる。
ジュラシック・パークとエステティック・サロンはちょっと似てる。怪物を作り出すから。
酒で身を持ち崩すと餅で身が張り裂けるはちょっと似てる。
ハイテクアンプと穿いてくパンツはちょっと似てる。
穴あけパンチと穴あきパンツはちょっと似てる。
坂本竜馬とかまぼこ食うなはちょっと似てる。
落雁とグラタンはちょっと似てる。
刈り上げと空揚げはちょっと似てる。
唐変木と登録商標はちょっと似てる。
いっぽんどっこ と すっとこどっこい は……これはちょっと無理か。
めんそーれとメンソレータムはちょっと似てる。
ブラジャーとブラウザはちょっと似てる。片や上げ底(寄せて上げる)、片や抱き合わせ。
蒸し器と無意識はちょっと似てる。放っておくと、内部の圧力が高まってくるところとか。
お龍さんと濃硫酸はちょっと似てる。
ウッドストックとデッドストックはちょっと似てる。今となっては大して変わらんか。
割愛とキャッツアイはちょっと似てる。
立ち話と立場なしと立花氏はちょっと似てる。て言うか音が同じ。
梁山泊と尿蛋白はちょっと似てる。

●はなさか爺さん●

昔、アニメ雑誌になる前の「OUT」に載っていた、読者の投稿した漫画。

裏の畑でポチがなく。「ここ掘れワンワン」
正直爺さんクワを振り上げる。
そこへ落雷。

骨が見えてました。

●ネズミも「笑う」―米学者が発見●

朝日新聞より

 米オハイオ州ボーリンググリーン大学の科学者二人が、二十九日発行の英科学誌「ニュー・サイエンティスト」で、ネズミも一種の笑い声を出すことを発見したと発表した。これまで笑いは人間や人間に近いチンパンジーなどにしか見られないと考えられていた。
 同誌に研究を発表したジャーク・パンクセップ、ジェフリー・バーグドーフの両氏によると、ネズミはくすぐられた時、人間には聞こえない鋭く短い鳴き声を出して笑うという。この鳴き声は、以前は苦痛あるいは性的興奮を表すものと解釈されていたが、二人はこれを誤りとしている。
 二人によれば、くすぐられると、人間と同じように、若いネズミの方が年寄りのネズミより頻繁かつ長い間笑うようだとか。(時事)

●インターネット●

 知り合いに「インターネット」という言葉を聞くと、顔を赤らめてうつむいてしまう女性がいる。あながち間違った反応ではない。

どういう知識を仕入れているのか。

●耳垢●

 日本人は耳垢が渇いている人が圧倒的に多いらしいが、遺伝的には耳垢が渇いている人は弥生(大陸)系で湿ってベタベタしている人は縄文(日本原人)系だそうである。ホントか嘘か知らんが。で、私は縄文系なのだが、ある日、プツッという感じで急に音が聞こえなくなったことがある。耳を探ると、耳の穴を塞いでいたボール状の耳垢をほじくり出すことができた。耳掃除を長いこと忘れていたので、少しずつ成長した耳垢が、くっついていた耳の穴の壁を離れ入り口まで転がってきたものらしい。

 子供の頃のことではありません。いい大人になってからの話です。

 耳垢が溜まりすぎて難聴になった人もいるそうです。耳鼻科で掃除したら実に良く聞こえるようになったとか。気をつけましょう。欧米人は耳掃除をしないというのは本当でしょうか。

●トップレス●

伝聞ですが、サンケイスポーツに次のような記事が載っていたそうです。

 先日、ニューヨークでトップレス(!)で衣料品店に入り試着した服を着たまま逃げようとした女性(34才)が窃盗罪で逮捕された。警察に唾を吐いたため公務執行妨害と同行の娘(2才)を全裸(!)で連れてきたため児童虐待罪でも起訴されたとのこと。買い物客で混雑する時間に、この犯行は行われたそうです。

●不定形俳句●

四股名は空元気
人喰いしだれ柳 弱点は早口言葉 卵胎生
空か食われるか
半分くらいはカルビでできている
一〇一匹王ちゃん大行進
夫婦茶碗危機一髪
淋病ダンス
貧乏箪笥
心持ちヤンバルクイナ 悲しいほどカモノハシ
娑婆怒麦酒(しゃばどびあ)
五月雨サナダ虫 小ライス付き
ダイオキシン解禁
火を吹くカレーライス
おおむねきりたんぽ そしてそこはかとなくモヘンジョ・ダロ
物心ついてからずっとスランプ
今日は朝からラジオはずっと猿が喋っている うきうきうっきっき
最大の努力はなかなか出来ないが最大の難関はしばしばやって来る
「何とかなる」と言い出した時は相当ヤバい
コミュニケーション尻切れトンボ
ふたまた優越感
スレた愛情表現を肥料にして育つ
その寝台車はピエールと名乗った
泣き叫ぶ死人の会
しげる すべて解決した 帰ってこい 兄
フロイトの解釈では性的欲求不満ということになる
大槻教授の実験によればプラズマによる現象である
日替わり女房
これまでここで発表されてきた不定形俳句は すべて高度に暗号化された機密文書
オロナミンCに卵とウィスキーを混ぜてオロナミンセーキ割。しかも人肌。

●不定形俳句 刑事●

スッピン刑事
看板刑事
毎晩刑事
スケルトン刑事
当番刑事
すけすけ刑事
パンパン刑事
キャバスケ刑事
薄幸の美少女刑事
深窓の令嬢刑事
老婆刑事
オバタリアン刑事
レースクイーン刑事
風俗嬢刑事
宝ジェンヌ刑事
コギャル刑事
刑事犬モモコ
看護婦刑事
女王様刑事
コスプレ刑事(しかもプラグスーツ)
スーパーモデル刑事
花魁刑事
尼刑事
人魚刑事
コンパニオン刑事
十二単刑事
おかあさんといっしょのおねえさん刑事
フェミニズム刑事
ランバダ刑事
おつぼね刑事
愛人刑事

●不定形俳句 腹立たしい鑑賞付き●

びっくりした時に「寿命が○年縮まったよ」という
【鑑賞】教育の普及世界一という日本も、しばらく前までは文字を知らぬ人のあったことを私も記憶しています。そうした時代をまざまざと知らしめる一句。単純に「死語」とは言えない切なさが漂っています。
有名人ではないが ここで死んだ
【鑑賞】情感の流れがとどこおりなく進行しており、作者自身も楽しかろうが、読者もまた作者と共に楽しめる作と言えます。素材としては死者がおり、その人は有名人ではない、と言うだけなのですが、はずむような心がそのまま調べに乗って、いかにも明朗です。
田舎の文具店 原田知世がパイロットエリートを持った 色のあせたポスター
【鑑賞】地方へ行くととんでもなく古い看板やポスターを見かけることがあります。大村昆のオロナミンCの看板などが有名な物ですが、原田知世のパイロットエリートという中途半端な古さに情緒を感じます。知世ちゃんはこのパイロットエリートで殻をむいたゆで卵に線を描いて見せるというCMの撮影の時、用意された大量のゆで卵の匂いで気分が悪くなったそうです。どうでもいいですね、そんなこと。
有休とってすぐ出かけよう! まだ間に合うぞ 寺山修司
【鑑賞】間に合うもくそも死んじまってるじゃねえか。
水爆弁天
【鑑賞】この句を詠んだ時にはまさかインドとパキスタンがああいうことになるとは思ってもみなかったわけですが、タイムリーな句です。水爆を祭った弁天様なのか、水爆を封じる弁天様なのか分からないところもチャーミングです。いずれにしても大切にしないと大変なことになります。
アイドルも痔になる
【鑑賞】ゆるい坂でも体調によって、なかなか骨がおれる物です。そういうわけで、アイドルも痔になります。
レバニラビッグバン
【鑑賞】ビッグバンといえば大規模な規制緩和のことですが、レバニラのどんな規制をどれ程緩和するのか、などと考えるより、調理場で、はたまた食べようとした瞬間に、大爆発するレバニラを想像するのが正しい鑑賞でしょう。
郷ひろみの四〇倍ダディ(叫ぶ詩人の会調べ)
【鑑賞】北へ帰ってゆくダディたちが、それぞれのグループの先導の声を中心に、叫び散らしている。春、雪解けの川水は豊かに堰のところで音を立てるが、夫婦の間に雪解けは訪れない。波乱万丈のダディと家族をとらえた豊かな一句。薬師丸ひろ子も離婚。そして、聖子の新しい夫は金色のフェアレディに乗る。
首吊り縄暖簾 忌まわしい子守り歌付き
【鑑賞】不況の中で自省する作者。冷静になって、敗れたのではない、退くべき時だから退くのだと考えている。しかし、作者を支えているのはこの理性の働きではなく、目の前の首吊り縄暖簾である。忌まわしい子守り歌を歌う。時はまだ爛漫の春で、世人は浮かれているのだが。
つぶつぶなめこジュース 練り物イン
【鑑賞】この飲み物はジュースではなくスープのように思われる。ポットにいつもこれを整えておく。これを飲む頃には、一日の戦いも終わった、という感じは常に心にあったろうが、不定形俳句の形を得て、ここにはっきりと記録されました。お元気で生きてください。
顔は般若だけど心は錦鯉
【鑑賞】どちらにしても友達にはなりたくない。
命鯉(いのちごい)
【鑑賞】助けてやらん。
辞世の句 没に あまつさえ墓碑銘 添削
【鑑賞】作者の文才のなさに対する無念を思い切って表現した心の躍動が、活き活きとした感じを与えます。死んだ後もどこまで追ってくる、下手くそな文章に対する嘲笑が、作者を成仏させません。
ペストポットと超チフス 親亀コレラだ皆コレラ
【鑑賞】ペスト、チフス、コレラと伝染病の名前を語呂合せにしたのが秀逸な一句。読んだ者を不快にさせてやろうとする意気込みが感じられます。エイズやエボラ出血熱をくわえることができればなお良かったでしょう。また、視覚的には回虫などの寄生虫が迫力あります。
死神専用
【鑑賞】丹念に思いが述べられていますが、肝心の死神専用の何なのかが述べられていません。これは、多義的な解釈が可能となるように意識的にそうしたものと思われます。読んだ人は、死神専用トイレ、死神専用食堂、死神専用コンピュータ、死神専用病院、など、さまざまに想像をめぐらせます。今思い付いたんだけど、これはコントのネタになりそうです。それはともかく、屈折した表情は見せますが、作者の悲しみは直に伝わってきます。
灼熱の挙動不審者
【鑑賞】目を合わせてはいけない。
源氏名は千歳飴
【鑑賞】春の気配に次第に動きはじめた安達太良山と盤台山と、その山容を単純化してとらえて印象が鮮明です。高村光太郎の詩の連想も、この一句を楽しくします。

●スタートレックの唄●

作詞/カステラ
うちゅーの男の艦隊勤務
月月火水木金金

●蜘蛛の糸●

 地獄の底でカンダダという男がほかの罪人と一緒にに蠢いておりました。このカンダタという男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ善い事を致した覚えがございます。ある時この男が深い林の中を通りますと、小さな蜘蛛が一匹、路ばたを這って行くのが見えました。そこでカンダタは早速足をあげて、踏み殺そうと致しましたが「いや、いや、これも小さいながら命のあるものに違いない。その命を無闇にとるということは、いくら何でも可哀そうだ。」と、こう急に思い返して、とうとうその蜘蛛を殺さずに助けてやったのでございます。
 地獄の底の血の池で、ほかの罪人と一緒に浮いたり沈んだりしていたカンダタが、頭をあげて血の池の空を眺めますと、遠い遠い天上から銀色の蜘蛛の糸が、一すじ細く光りながら、するすると自分の上へ垂れて参るではございませんか。カンダタはこれを見ると思わず手をうって喜びました。これはあの時の蜘蛛が恩義に感じて、救いの手を差し伸べてくれたのに相違ございません。この糸にとりついて、どこまでも登って行けば、きっと地獄からぬけ出せるのに相違ございません。いや、うまく行くと、極楽へ入る事さえも出来ましょう。そうすれば、もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に沈められる事もある筈はございません。
 こう思いましたからカンダタは早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみ、一生懸命に上へ上へとたぐり登り始めました。元より大泥坊の事でございますから、こういう事には昔から慣れ切っているのでございます。この分で登って行けば、地獄からぬけ出すのも存外わけがないかも知れません。カンダタは両手を蜘蛛の糸にからみながら「しめた。しめた。」と笑ひました。
 カンダダは笑いながらふと見下げますと、蜘蛛の糸の下の方には、数限もない罪人たちが、自分の登った後をつけて、まるで蟻の行列のように、やはり上へ上へと一心によじ登って来るではございませんか。
 自分一人でさへ切れそうなこの細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数の重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で切れたと致しましたら、折角ここへまで登って来たこの肝腎な自分までも、元の地獄へ逆落しに落ちてしまわなければなりません。そんな事があったら、大変でございます。が、そう思ううちにも、罪人たちは何百となく何千となく、血の池の底からうようよと這い上って、細く光っている蜘蛛の糸を一列になりながら、せっせと登って参ります。今のうちにどうかしなければ、糸は二つに切れて落ちてしまうのに違いありません。
 そこでカンダダは、糸に足をからめてくるりと反転し、頭を下にいたしますと、蜘蛛の糸を自分よりも下のところで噛みちぎってしまいましたので、罪人たちは叫び声をあげながらバラバラと血の池へ落ちていってしまいました。これでようやく安心したカンダダがさらに蜘蛛の糸を登って参りますと、やがて頭上がほのかに明るくなってまいりました。見上げると、そこには牛ほどもある巨大な蜘蛛が、大きな顎を左右に広げてカンダダを待ち構えていたのでございました。
 カンダダは一匹の蜘蛛を救いましたが、ほかの数百数千の蜘蛛を踏み殺していたのでございました。目にも止まらぬ早さで大蜘蛛の前足に捕えられながら、カンダダはそのことを思い出しておりました。

●コント 草野球●

大きな窓のある和室の居間。中央にちゃぶ台。座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、野球のボールが飛び込んでくる。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。男、ボールを拾い上げる。
ボールを見つめて「草野球か…」とつぶやく。
「気をつけろよ」と言ってボールを少年たちに投げ返してやる。
再び新聞を読みはじめる。
翌日。
座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、サッカーのボールが飛び込んでくる。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。男、ボールを拾い上げる。
ボールを見つめて「サッカーか…」とつぶやく。
「気をつけろよ」と言ってボールを少年たちに投げ返してやる。
再び新聞を読みはじめる。
翌日。
座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、すいかが飛び込んでくる。
部屋の中央に落ちてグシャリと割れる。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。男、すいかの破片を拾い上げる。
すいかを見つめて「すいか割か…」とつぶやく。
「気をつけろよ」と言って一番大きな破片を少年たちに投げ返してやる。
残ったすいかを食べはじめる。
翌日。
座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、鉄の砲丸が飛び込んでくる。
畳の上にドスンと音をたてて落ちる。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。男、砲丸を拾い上げる。
包含を見つめて「砲丸投げか…」とつぶやく。
砲丸を少年たちに投げ返してやる。
ガッ、という音に続いて、
「よしのり、よしのり! しっかりしろよしのり!」
と友達の名前を呼ぶ、少年の慌てふためいた声。
男は窓の外に向かって「気をつけろよ」と声をかける。
翌日。
座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、ボーリングのボールが飛び込んでくる。
ちゃぶ台の上に落ちてちゃぶ台をまっぷたつにする。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。男、ボールを拾い上げる。
ボールを見つめて「ボーリングか…」とつぶやく。
ボールを少年たちに投げ返してやる。
ゴン、ドサリという音に続いて、絹を裂くような少女の悲鳴が響き渡る。
男は窓の外に向かって「気をつけろよ」と声をかける。
翌日。
座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、死体が飛び込んでくる。
額がわれ、血を流している。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。男、死体を見つめる。
首を傾げて「プロレス…?」。
翌日。
座って新聞を読む男。
ガシャーン。
窓ガラスが割れて、馬が一頭が飛び込んでくる。
「すいませーん」
窓の外から少年たちの声。
男、馬を見つめて「草競馬か…」とつぶやく。
男、馬に蹴られる。
「ギャンッ」という叫び声を残し、窓の外に放物線を描いて消える。
馬、座って新聞を読みはじめる。
翌日。
居間に男はおらず、中央にトランポリンのような網が設置してある。

●芸能プロダクション「イエロージャップ」●

所属タレント
食人フォークデュオ あみん
大型アイドルグループ ジャンボマックス
薬中アイドルグループ ハイスピード
       それぞれプロフィール捏造中。
新曲
「私の電波が聞こえますか」
       歌詞、でっち上げ中。誰が歌うかも選考中。
新人タレント募集中。バンドも欲しいよなあ。
歌手のほかに俳優やグラビアクイーンも欲しいところ。
張型あきこをスカウトするか。
コメディアンは…いらないか。
曲を提供してくれるミュージシャンも募集中。
プロモーション企画も募集中。
営業させてくれるスポットも募集中。
仕事を手配してくれるマネージャーも募集中。
何もかも募集中。
このほかに何を募集したらよいかも募集中。
言うまでもなく、有名サイト「腹藝春秋」の人気コーナー「はらだしおにレコード」の安易な真似である。

『秘密集会』

カステラと新之輔

●仰げば尊し和菓子の恩●

 うなぎパイってのは和菓子かね、洋菓子かね。パイだから洋菓子か。
「魚がし」

●こんな食べほうだいがあったら変だ●

「あ、カステラさん。外は雨降ってますか?」
 もう滝のような豪雨。自分の鼻先も見えない。一抱えもある雨粒が落ちてきて、直撃された人は昏倒。倒れた人で道は足の踏み場もない。上を見上げれば銀色の天井が落ちてくるように水が…。
「……久しぶりに躁状態ですね」
 あ、分かる?
「分からいでか」
 今日のお題は『食べほうだい』ね。やっぱり人肉でしょう。
「いきなり核心から入りますね」
 この手の話題はすでに何度かやってるからね。
「食料危機が悪化する北朝鮮で、ついに人肉食が始まった、という噂を聞いて『人肉が美味しく食べられるように調味料を援助しよう』と言ったのもカステラさんですよね」
 ひどいことを…。ほかに援助するものがあるだろうに。
「ジンギスカン鍋とか」
 ぎゃははははははははははは。バーベキュースタイルの食べほうだいもいいよね。次から次へと肉が運ばれてくる。
「臓器別にいろいろな料理が用意してあるバイキングスタイルはどうです」
 俺、脳味噌食べたい。脳味噌脳味噌。
「はいはい。やっぱり子供の肉の方がやわらかいんでしょうね、当然。女性は脂肪が多そうだな」
 するめのように筋張った老人の肉が噛み応えあっていいって言う人もいるなきっと。
「見た目も干物みたいだし。人種も重要ですよね。アングロサクソンの少年とか、指定して料理してもらったり」
 う〜ん、人種よりも生活環境の方が味を左右するんじゃないかな。草食動物の肉の方がうまいってよく言うよな。ベジタリアンの肉はうまいに違いないぞ。
「ヘビースモーカーの肺がンまいんだな、これが」
 アル中の肝臓とか。あ、フォアグラ作れないかフォアグラ。のどにチューブを突っ込んで、無理矢理食い物を流し込むんだ。
「あれは一種の病気の臓器」
 SF作家の座談会で、ガンを食べる話してたな。どんどん増殖するから作っては食い作っては食い…。
「美味しい家系というのがあって、ブランド化してたりして」
 日本人なら誰でも知ってるさるやんごとなき家系とか。絶滅寸前の人種なんか希少価値があるよね。
「クジラですね。商用に獲ってはいけない」
 有名人の肉とか高値付きそうだよね。
「鮨屋や魚料理の店で、生簀や水槽の魚を指差して、これ料理してくれっていうやつがあるじゃないですか」
 水槽に一人ずつ入ってるんだな。歩きながら見てまわって、今日はこれにしよう。モンティパイソンの映画でレストランの水槽の魚が喋るやつがあったな。『今度は誰が食べられるんだろう』戦々恐々としてるんだ。やっぱり自分はやがて食べられることを知ってるのかな。
「そりゃあ、その方が面白い。食べられるのが嫌で泣きわめいたり」
 自分の前で立ち止まらないでくれって、祈る。
「何とか自分がまずく見えるように工夫する」
 排泄物を食べて見せたりとか。
「諦めきっちゃって無感覚になるやつもいるでしょうね」
 発狂者も確実に出るだろうな。恐怖を忘れようとしてオナニーを繰り返すやつとか。
「自分は人格者だから死など恐れないという振りをして見せるやつとか」
 真っ先にぶち殺してやりたいね。食べる人間は牧場で増やすの? それとも死刑囚?
「さらってくる(笑)。幸福な人間と不幸な人間では不幸な人間の方が美味しそうな気がしませんか?」
 うん。幸せだとなんだかゆるんじゃって、うまくないような感じ。幸せの絶頂から不幸のどん底に転落した瞬間がうまいかもしれない。
「肉がきゅっとしまった瞬間に絞めちゃう」
 さっきのSF作家座談会では、人間の踊り食いの話もしてた。
「柱に縛り付けて薄く肉を削ぎながら焼肉」
 もちろん麻酔なし。
「食われる人の苦痛が調味料。昔中国では、とらえた敵の身体に傷を付け、そこに沸いた蛆虫を食べたそうですけど、敵の苦痛が美味しさを増したんでしょうね」
 倒した敵を直接食べたって話もあるな。憎い相手ほどうまいらしい。インカ帝国では生贄の心臓をえぐり出して神に捧げていたんだろう。まだぴくぴく動いていたやつ。
「インカは面白いんですよ。本物の人間の頭で球技していたり」
 お互いに食い合って先になくなった方が負け。妊婦ってうまいのかなあ。
「子持ちシシャモじゃないんだから。胎児は美味しそうですけどね。人間以外に何かありませんか」
 うんち。
「小学生じゃないんだから」
 しかし『最高級有機質肥料』という傑作もある。
「あれラジオドラマにできませんかね」
 よせ。飲尿療法というのがあったな。
「最近聞きませんね。今でもやってる人いるのかな」
 処女のおしっこ飲みほうだい。
「発想がおやじ」
 でも、処女とか赤ん坊とかって、純粋さや生命力の象徴みたいなところがあって、その力を取り入れる、という発想は昔からある。
「吸血鬼が処女の生き血を好む、とかですか」
 処女の月経飲みほうだい。
「貴重ですよね。最近処女少ないから。ブルセラってありましたけど、使用済み生理用品は売れないんですかね」
 なま物だから。
「ああ、保存が難しいのか。人肉スカトロ以上のゲテモノってあんまりありませんよね。後は食べ方の問題かなあ」
 ノーパンしゃぶしゃぶ省の事件の時、食欲と性欲は同時に満たされるのか、という議論がなされたことがあったけど。
「ホントか嘘か知りませんけど、大阪にはトップレス牛丼屋があるそうです。店の名前が『チチノヤ』。単品では普通だけど、食べほうだいといわれるとちょっと…、というものもありますよね。生卵食べほうだいとか」
 ユンケルおかわり自由。
「条件付き食べほうだいというのもありますね。制限時間内に全部食べたら無料、とか。どんな条件だったら面白いか」
 募集してみようか。
「カステラさんの企画って反響ありませんよね」
 うるさい。

●日の丸飛行隊再び●

 スキーのジャンプに背面跳びはないのかね。
「聞いたことありませんよ」
 腹が出てればそれで揚力が発生するんじゃないかな。
「分かった。腹グライダー」
 先に言うなよう。

『インモラル物語』

●エチュード●

 エチュードというのは音楽では練習曲のことだが、演劇では即興劇のことである。実際に行われるのを見たことはないので本当のところどういうものか分からないのだが、大変に興味を惹かれている。
 私の想像しているのは次のようなものだ。ロールプレイでは自分に与えられた役割を考えて、ふさわしい行動を作り出してゆくわけだが、エチュードでは役割や舞台設定なども演技者がその場ででっち上げてゆく。当然、誰が何者でここがどこで今はいつなのか、演技者にも分からない。誰かが「気持ちのいい朝ですね」などと言えば、そこはたちまち朝になる。始まった次点では当人も自分が誰なのか分からないかも知れない。最初のうちは、相手が誰で、ここはどこで、今はいつなのか、お互いになんとなく探りながら芝居が進んでいく。会話の中に含まれる情報から、ここは森らしいぞ、今は春の朝らしいぞ、相手は自分を学生だと思っているらしいぞ、などと探ってゆくのである。演技者は他の演技者よりも先に設定に関する言葉を発して、自分に都合良い状況にしようとしたりする。
 考えてみれば、舞台装置の少ない演劇を観る時の観客はこのような作業をしているはずである。演技者の台詞や行動から彼が誰でそこがどこでいつなのかを判断する。また、日常生活でも、初めて会った人に関する情報が少ない時は、相手が何者かを探ろうとするはずだ。ただし、エチュードの場合は相手の人相風体から人となりを想像することはできない。相手は赤ん坊を演じているのかもしれず、犬を演じているのかもしれず、甚だしい場合は箪笥を演じているかもしれないからである。
 ネット上で、これに似たことはできないかと考えている。手本はある。筒井康隆の「虚人たち」は次のように始まる。
「今のところまだ何でもない彼は何もしていない」

●ペットフード●

 シンガーソングライターの中島みゆきは、テレビのコマーシャルに映る缶入りキャットフードがあまりにも美味しそうだったので、買ってきて食べてみたことがあるそうです。「塩味がたらない」ということでした。

●表あっての裏●

 ある知人いわく
「ナゴム的なものが面白がられる時代は去ったんじゃないかと思いますがねぇ」
 まあ、メインカルチャーあってのサブカル、オングランドあってのアングラでしょうから、何が表で何が裏なのか分かりにくい現在、ナゴム的なものは注目されないかもしれませんね。何か過激なことをやろうとしても、三代目魚武みたいに「表」に取り込まれちゃうんだよね。反社会的、反主流的を意識したスタイルがもう表の形式になっちゃってるというか。そういうモノサシはもう通用しないということですかね。 メディアの発達がかつてのインディーズにあった貧乏臭さを成立させないということがあるかもしれない。インターネットみたいなメディアがあることによって、アングラ的なものも軽やかに存在出来るみたいな。どろどろしたどマイナー性が成立しにくいのではないか。
 何か、ナゴムとか初期のゼルダとかさねよしいさことか戸川純にはそういうものを求めていたような気もする。戸川は「私アイドル志向なんですよね」なんて言ってたが。
 小劇場演劇と現代美術にはそういう「匂い」がまだかろうじて残っているような気もするのだが、これも風前の灯かも知れん。
ノスタルジィにすぎない?

●タオル●

だんだん雑巾になっていく。
タオルなのか雑巾なのか判断が難しい時がある。
人間。
だんだん死体になっていく。

『かなり重症』

最近発見した家頁

「ムキンポ小僧のそして新しい物語が語られねばならない。新しく生まれ出る言葉たちによって。」
映画館を出た後で、傘を置き忘れてきたことにふと気がついて、暗がりのなかへと戻ってみると、少女はすでに老婆に変身していて、黄色い歯茎を見せて嘲笑うのだ。

「二度寝の王国」
いったん精神が参ってしまうと長針と短針が重なるのが怖くて時計が見られないが、調子にのったら三段積みのベースアンプに飛び乗って

「なまら」
今日は未来に行った。申し遅れたが俺はドラえもんという一面も持っている。

大嘘百貨店
いまさらこんなところで紹介する必要もない超有名家頁だが、最近またはまっているので。

義眼 in LA
まあ役者になるのも悪くないが、結局芽が出ないまま、ロスで怪しげな日本食レストランとか始めて、それも軌道に乗らなくて、職を転々とするうちに不法滞在でアメリカから追い出され、日本に戻ったものの誰にも相手にしてもらえず、公園で寝泊まりしているうちに、中高生の集団にオヤジ狩りの標的にされて、無惨に野垂れ死にしてしまうかも知れない。
脱力サイトヘビィムーン
西アフリカ諸国では松田聖子のブロマイドが魔除けとして珍重される。
PAPERS
ロンドン。 なんという、ふしだらなひびきの言葉だろう。ロンドンなんか、沈没してしまえばいいんだ。
PIPER
漫才コンビ『闘争のエチカ』演芸会 出演/柄谷行人、蓮實重彦
拔本的
電車に乗ったら、乗客みんなナンシー関のクローンやったら恐いで。
愚鈍庵
「トルコからもってくるとよい。」
小泉
画像をクリックすると10メートル先からも見えるようになるよ。
ガラくた新聞
食い逃げをしたんじゃない、させられたんだ
「畑中純 注文の多い版画展」
「『夜行』展」
「橋本勝の『20世紀の366日』」

◆編集後記◆

 ここに掲載した文章は、パソコン通信ASAHIネットにおいて私が書き散らした文章、主に会議室「滑稽堂本舗」の1998年4月〜6月までを編集したものです。私の脳味噌を刺激し続けてくれた「滑稽堂本舗」参加者の皆様に感謝いたします。
 また『彼が目覚める時』は、やはりASAHIネットの会議室「創作空間・天樹の森/フィクション連載」において連載中の作品です。法螺話ですが、笑いを目指したものではないので、笑いたい人は飛ばしてください。
「春の号に比べると内容が薄くないですか?」
 う〜ん『彼が目覚める時』に力いれてたんで、ちょっと弱いかも知れん。
「『ちょっと似てるシリーズ』もこうして並べると単調になりますね」
 これはもうネタぎれだから、次はないよ。
「『不定形俳句』も同じように単調。鑑賞を付けたほうがいいですね」
 うん、その方が面白い。でも『刑事もの』なんかはこのままでもいいような気もする。
「僕は花魁刑事が好きです」
 俺、老婆刑事ってのが気に入ってるんだけど。
「『不定形俳句』ってheigoさんの『造語掲示板』や『愚鈍庵』の『一行詩人の会』の真似でしょう」
 そうだよ。
「ぬけぬけと」
 本当は別のところにモデルがあるんだけど、そういうことにしておいた方が軽薄な感じがしてよろしい。
「『芸能プロダクション・イエロージャップ』は今後の展開はあるんですか。これも真似ですけど」
 謎の黒人演歌歌手というのを考えてるんだけどね。

◆次号予告◆

1998年10月上旬発行予定。
別に楽しみにせんでもよい。

別冊付録『彼が目覚める時』2
季刊カステラ・1998年春の号
季刊カステラ・1998年秋の号
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