歌詞「椰子の実」
作詞=島崎藤村 作曲=大中寅二
1 名も知らぬ 遠き島より
流れ寄(よ)る 椰子(やし)の実ひとつ
故郷(ふるさと)の岸を はなれて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)
2 旧(もと)の樹(き)は 生(お)いや茂(しげ)れる
枝はなお 影(かげ)をやなせる
われもまた 渚(なぎさ)を枕
ひとり身(み)の 浮寝(うきね)の旅ぞ
3 実をとりて 胸にあつれば
新(あら)たなり 流離(りゅうり)の憂(うれ)い
海の日の 沈むを見れば
たぎり落(お)つ 異郷(いきょう)の涙
思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国にかえらん