昔の日記
2/1〜2/10
祝・日記一周年\(^o^)/
実家へ帰って、とラブるトリオ下巻の挿し絵描き。今回は見開きあとがきもあるぞ〜。
並行して人形のネームを見直していたら、色々不満が出てきたので、シナリオからやりなおし(爆)。
思い立つと、すぐ手を加えないと我慢ならない性格なので、1日かかってリライト。
原作との違いは50%(当社比)>消費者リサーチだと30%しか残ってないとか言われるかもしれん。人形シリーズにしては珍しい。
我孫子さんにOKもらったところで、挿し絵に戻る。作業しながら見ていたリングとケイゾクは、細部がよくわからなかった。んもう。最終日は睡眠4時間でやりました。
今回の滞在中は、犬の散歩1度しか行けなかった…(泣)
原稿を宅急便に乗せてから、今度はスキー行きの荷物を隠れ家から発送しなければならないので、速攻で戻る。まにあって安心。
で、これから人形のネームのやり直しをするのだ。わたわた。
昼近く、ぼんやり洗濯をしていたら、画面に鈴木史朗さんが出ていた。わー、不覚。『いつみても波乱万丈』のゲストは鈴木さんだったのか〜!!ぬかった。ラスト10分しか見られんかった!
何を隠そう(隠してないが)わたしは隠れ鈴木史朗で(隠してないって)、10年前からスポットニュースをビデオプリントしたりしていたのだ。うわははは。
ちょんまげの似合う顔が好きなのだ。
最近は、媒体露出が多くて嬉しいが、こんな不意打ちもある(;_;)
誰か、ビデオに撮ってないかな。無理か。>結構真剣です。
防水加工の腕時計を実家に忘れてきたので、ビックカメラに買いに行く。ポイントカード忘れた。ちっ。人にプレゼントする時は、何買っても惜しいとは思わないのに、なんで自分の物を買う時は、必要なものでも金が惜しくなってしまうのだろう。
スキーの行帰りに読もうと思って、『蒼白の城XXXトリプルエックス』も買う。田中さんの過去の作品の挿し絵ラインナップを見てみたら、初田しうこ、沖麻実也、なるしまゆり、って、こりゃめちゃめちゃ人気者ばかりじゃないですか。目が肥えてしまいますな。
ネームをする景気づけに、立ち読みして景気がよさそうだった『傀儡』1(高橋明)つう漫画も買ってみる。最近は、送られて来る漫画雑誌さえ、パッと見なので(ネタがかぶると落ち込むからだ)、何が面白いのかわからないのだ。高橋葉介の『ミルクがねじを回す時』も買ってみた。でもこのソフトカバーは実家にあった気がしてきた。自分の物買うのは確かに惜しいのだが、殊、本に関しては、全然惜しいと思わないのは何故だろう。
ってなわけで、明日からスキーです。またしばらく更新が止まります。しかし、胃が物理的に痛いぞ。ちゃんと滑れるんだろうか… うーん痛い痛い。早く寝よう。あ、でもネームが…。どうすりゃええのだ。ばーん。暴発。
●リンクの部屋に、荻野目悠樹さんの『荻野目悠樹 横浜西口店』をリンクしました。
今日から、白馬クヌルプでのスキー合宿。
最近『かまいたちの夜』をやった人も多かろうが、クヌルプはゲーム内でシュプールという名で登場したペンションである。
今回はインフルエンザその他のトラブルで、櫛の歯が抜けるように参加者が減ってしまった。
新宿から特急で向かう東京組は、貫井さんとわたしのみ。初めはがんがん喋っていたが、いつもより1時間程起床が早かったので、途中居眠り。
白馬に着くと、雪。スキー上級者の貫井さんにはなんの支障もないくらいの降りだが、わたしには無理。
隠れ家から持参したネームをまんが原稿用紙に写す、というなんでここまできてこんなことしているんだろうと悲しくなるような行為に及ぶほかなくなる。
他の参加者はまだ誰も来ていないので、広いコテージにてぽつんと仕事。さみしい。
2時間ほどして、仕事のため遅れて来た由香さんと、京都から車の千織さんがコテージに現れる。由香さんも原稿持参。千織さんの前で、ふたりして仕事。
わたしは13枚写したところで、一旦休み。由香さんのペン入れを見る。いやあ、丁寧に描いてるなあ。時間かかるのはしょうがないかも。
他のコテージに荷物を置いてきた旦那組が現れる。喜国さん我孫子さん。喜国さんはなんとか朝いちで原稿を終わらせたそうだ。そして我孫子さんの車で来た法月夫妻も来る。
自家用車の二階堂さん、八ヶ岳から来た笠井親子もそろい、スキーから帰った貫井さんと共に集団で温泉。
一生懸命用意して「万全!」と出かけて行ったのに、何故に財布を忘れるんだ河内。サザエさんだろおまえ。入浴料を千織さんに借りる。
湯船では、もっぱら法月夫人史子さんから「だれも知らない法月綸太郎」の話を聞く。あいやーびっくり思わず中国人。でも史子さんが困るので、ここには書けません。ごめんね。
戻ってクヌルプでご飯。クヌルプのご飯は美味しいぞ。今日のメインディッシュはステーキだ。ふふふ。でも胃の悪い二階堂さんは、和食中心の特別メニュー。みんなが覗きに行く。
うちのテーブルのメンバーは法月さん史子さん千織さんだ。
スープが目の前に置かれると、やたら嬉しそうな法月さんだ。史子さんは「よかったねー、うれしいねー」と声をかけている。どかんとフォークを落とした法月さんには「このまま食べる?」と首をかしげて尋ねる。まるでお母さんとぼっちゃんの会話である。愉快(笑)
この場で、インターネットやらNiftyやらパソコン買いなよの話になる。法月さんは、まだキャノワードで原稿を書いているんだそうだ。買いなさいiMacでもいいから。
その後だらだらと、りきやんさんのホームページの話題から、彼とチェシャさんとのカラオケユニット『ハミングバーズ』の話に流れ、ふたりがいかに芸達者か千織さんや隣のテーブルに着いていた由香さんと3人で喋りまくった結果、史子さんがかなり興味を示していたので、おふたりさんは今度関ミスで史子さんを見かけたら、法月綸太郎ファン倶楽部の名にかけて、臆せずさらってカラオケに拉致るようにね。
初日の晩だが、ウィスキーのボトルが開いていて、笠井さん我孫子さん法月さんが飲み始める。わたしも横から2杯程いただく。由香さんは食堂にライトテーブルを持ち込んでペン入れ。中学に合格したばっかりの笠井息子の翔くんは、由香さんの横で手に入れたばかりのノートパソコンをいじっている。彼はよっぽど由香さんが好きらしい。初恋か?
しばらくして解散。笠井親子、法月夫婦はペンションのツインルームに、残りのメンバーは男女で分かれたコテージに移る。
今日はぎりぎりまで寝ないで仕事をする、という由香さんにつきあって、他愛のない話をしながら起きている。女性コテージは、調理台や冷蔵庫があって、居心地がいい。
そのうち、真っ赤に酔っぱらった我孫子さんがひとりで訪ねてくる。
由香さんのペン入れをじっと見ては、色々質問している。まるで翔くんのようだ。
あ「この犬の鼻の頭は、なんで穴が1個空いてるの?」
ゆ「穴じゃなくて、黒い鼻のてっぺんが白く光っているんだよ」
あ「そうか。鼻の穴がひとつだったら、ブタだもんな」
ち・か「ブタの鼻の穴は、ひとつじゃない!!」
そうして夜は更けゆく。
由香さんより一足先の3時頃、布団にはいったが、吐き気がして眠れなくなった。
多分温泉でのぼせたせい。
由香さんが寝に来た5時になってもまだ就寝できず、結局眠れたのは6時。
昨日ネームが出来上がるまでねばったので、連日の睡眠2時間である。なんだかなあ。
それでも、朝食を食べはぐれるのはイヤなので、8時に一番先に目覚める。
由香さんには、こたの足のサイズに、千織さんには、ぽての足のサイズに指を形作り、むにゅむにゅつついて起こす(笑)
食堂では、笠井息子翔くんの足に刺がささったとの報告。びっくり。廊下の普通は歩かないポイントを摺り足で動いたらしい。長さにして1.5センチ。気の毒である。そういや自分が小6の時も、足の裏にえんぴつささって難儀したっけなあ。
彼は午前中、笠井さんと病院へ。残りは咲花ゲレンデへ。ペンションのワゴンには全員乗れないということで、女性陣は後発に回る。ところで今日の白馬は、由香さんによると、過去の白馬では経験のないピーカンだ。雲ひとつない。確かに日ざしが重い。コテージに戻って日焼け止めを顔やら手やら首に後ろに塗る。揃いも揃って肌が弱いので、きちんとしないと皮膚病になってしまうのだ。日焼けするとその晩熱が出るし。面倒臭いっす。
今回、千織さんはカービングスキーの板と靴を新調。去年までの板と靴をおさがりにくれた。スキーパンツも年末にもらっているので、腰から下が千織さんに変身、の河内なのである。
ところで河内は、去年の白馬以外滑る機会がなかったので、まったくもって1年振りのスキーでなのだが。
思いだせん。
足の踏み込みが全然できない。去年滑った同じコースなので、まだマシだが、フォームが取りきれないうちに、するする下山してしまう。転びはしなかったが、爽快感もない。上達するにはどうしたらいいかもわからない。やっぱりスキースクールにはいるべきだった。
12時くらいに、休憩所に集合ということだったので、そちらに向かうが、坂の中腹で足がつる。去年もつったっけな〜。
レストランで靴を脱いで正座をして、足をあっためながらネギトロ丼を食べる。でも半分しかこなせない。お腹がすいているのに〜。
足は結局治らず。クヌルプに連絡して、迎えに来てもらい、ひとりで帰ることにする。
つまり午前中でリタイア。
ところでオーナーの愛川さんは、今松葉杖をついている。モ−グルの最中に、転んだ人をよけようとして、転倒したそうだ。延びた靭帯は今殆ど治っているのだが、用心の為に支えとして使っているそうだ。完治に近いのだとは聞いていても、バイトくんの代わりに迎えに来てもらった時は、申し訳なくなってしまった。
車中で聞いたことには、シーズンのはじめには、愛川さんでもよくつるのだと言うこと。もらった靴はぴったりなのだが、はきかたが変なのだろうと聞くと、自分の足型に馴染むには時間がかかるので、やはりありふれたことだから、そんなに気にすることないと言うことだった。本式の人にそういってもらうと、安心する。
コテージに戻って、ユニットバスに湯を張って、足をあたためることにする。ところが待っているあいだに、再びつり始め、のたうちまわるハメに。
ひとりの部屋で、タンスの角に小指をぶつけて、叫びまわるのと同じ情けなさ。
20分程湯につけ、痛みがようやくひいたころ、コテージの2階で布団に潜り、30分くらい休む。
起きた後は、やっぱりネームでしょう。くっすん。20枚まで進む。←すごろくみたい。
4時くらいに皆が帰ってきた気配。千織さんと由香さんが玄関に見えたので、手を振ると、
「貫井さんが転んだ!」
との、びっくり発言。
しかも、記憶まで失ってしまった!などど言う。どういうこと〜?
あんまり驚いたので、いつもいつもいらんことまで細かく覚えているわたしが、詳しい状況を思い出せない。
詳しくは貫井さん本人のHPを参照。
貫井さんは、左目の横を切っていて、肩も痛いと言っているが、起きてしゃべれるぐらいには元気。大事をとって、温泉には行かず、寝ていることにすると言う。
本人と話して、始めに聞いた時よりはちょっとは安心したが、一緒にいる面々は、いくら温厚そうに見えても、ホラーな物も書く推理作家たちである。貫井さんが部屋に戻ったあとで、こんなことをつぶやく。
我孫子「朝起きて、冷たくなってるのを見て、後悔したくない人は、今のうちに優しい言葉をかけておくように」
二階堂「万が一のことがあったら、嫁さんと子供はぼくに任せろ」
ふたりとも、自分の旦那だったら殴っとるわ!
温泉に行き、夕飯を食べ、しばらく食堂で話したあと、女性陣4人はコテージに引っ込んで、旦那などの話。みんな仲良しでいいな〜。
盛り上がってるところで、男性陣登場。笠井さん、我孫子さん、喜国さん、法月さん。お酒の飲めない喜国さん以外は、全員へべれけ。楽しくない話題が出てしまう。娯楽の場では、出ない予測じゃなかったのか? まあ、一種の解決を見た点のみでは、よかったとも言えるが。
少なくともわたしは全面的に不愉快。楽しい話がしたかったのに。ずっと前からこの旅行楽しみにしてたんだよ。
中盤、したくない爆発までしてしまう。爆発すると、自己嫌悪にかられて、悪い夢を見てしまうんだ。押さえたって小規模な悪夢は見るんだ。だから避けたかったのに。
男性陣と史子さんが戻った後でも、気になって、3人で話を整理する。2人ともわたしよりづっと大人だ。また色々気になって眠れないわたし。なんかすげえ嫌な日だった。今度は睡眠3時間半。限界。
という訳で、やっぱり悪夢を見、目覚めると、大雪。
滑るのか否か判断がつかないまま、普段着で食堂で。思えばこれがマチガイの始まりだったのだが、このときは何も考えていなかった。
席に着くと、貫井さんが吐き気しているという噂。午前中、近所の病院に行くと言う。スキーは、その帰りを待ってからってことに。
由香さんがクヌルプの犬取材を頼んでいたので、愛川さんが、いつもは家の奥にいる、ポメラニアンのナナを連れて来てくれる。
愛川さんの手から降りると、かーーーーーーーと走り寄ってきて、その場に居合わせた全員の顔をひとりひとり見ながら、ぺろぺろぺろぺろしっぽふりふりふりああああああ可愛い。きゅううう(抱きしめる音)。
一旦コテージに戻って、コテージの裏のおそらくピレネーとラブラド−ルの雑種のとてつもなくでかい犬のシン(オス)と、なんの雑種だかわからないが、とても由緒正しい日本雑種の顔をしている、ちいちゃい犬ラブ(メス)と遊ぶ。
シンは、とにかく人と見れば抱きつきまくり。長身の貫井さんでさえ、初日にはよろけていた。わたしも初対面では不覚をとったが(ひっくりかえったのだ)、そこはでかいトトの飼い主。シンの目の前に手をかざすとそれ以上は寄ってこないのだ。すごいきっちりした犬だなあ。
ラブは、はじめ子犬にしかみえなかったくらいにちいちゃいので、シンほど押しは強くないが、それでも大変な喜び様。他の宿泊客は大抵シンにばかり気を取られて、ラブに気づいてくれないそうだ。うわあああああ、愛しいラブ!!!
記述したのは、今が初めてだが、実はここに来てから毎日遊んでいたのだった(爆)。
詳しいことはいずれ由香さんが漫画で描くと思うが、この二匹は長野五輪の後、置き去りにされていて、1ヶ月ほど連れ立って白馬を放浪していたのである。熊くらいでかいオス犬と膝に乗りそうなメス犬の放浪。ああ泣ける。
あたし、ラブ。だれがつけたのか知りません。
気がついたらひとりぼっちで、雪の中を歩いていました。
寒かった。女の子が来て、お菓子をくれました。一生懸命食べました。お礼を言おうと顔をあげたら、そこにはもう、だれもいなかった。
長い長い知らない道を、ずっとずっと歩いていたの。そんなある日、シンちゃんと会いました。シンちゃん、とっても大きかった。雪のかたまりみたいに白かった。でもちがっていたのはね、とってもあたたかい。
シンちゃんはいいました。
『雪の降る日は、ぼくが守ってあげる。だって毛がふさふさだから。雨の降る日も守ってあげるよ。ぼくは体が大きいから。だからこれから一緒にいよう』
あたしのからだはシンちゃんのしっぽくらい。シンちゃんずっとずっとだよ。ほんとうだよね。約束ね。
などと言う物語を語って聞かせたら、由香さんはうるうるしてしまいました。ごめんなさい喜国さん。
ひとしきり遊んで自室に戻り、千織さんとわたしは仮眠、由香さんは帰り支度。今日は二階堂さんと喜国さん由香さんが一足先に帰るんである。二階堂さんはスキーのはしごをしたそうで、足がもう限界らしい。
仮眠から目覚めてみると、由香さんもいなければ荷物も残ってない。千織さんと速攻でスキー仕度。貫井さんを病院に連れて行ったのが二階堂さんなので、もう戻ってきていて、既に帰る状態なのかも。
「準備できた?」「万端だね!」「日焼け止めよし」「荷物よし」「帽子よし」「部屋のカギよし」とお互いを確認し、クヌルプ本館のロビーに走る。
「あー、よかった!3人ともいたよう」
ほっと一息したわたしにむかって、我孫子さんが言った。
「…河内さんのソレ、スキーパンツなの?」
…。
ジーンズです。
万端のはずじゃなかったのか!
…でもパジャマの下でなくてよかった。仮眠の時、いつもみたいに着替えてたら、寝巻きのまま飛び込んでいたかも(汗)
ごまかし笑いしながら、コテージへフェードアウト。ふりだしに戻る(泣)。
貫井さんはCTまで撮ってもらえたらしく、異常はないとのこと。一安心。大事をとって今日もお休み。
残りの人は、お昼からスキー場へ。『ゴンドラ駅』まで、ペンションの車で送ってもらう。
ゴンドラ駅のラーメン屋が旨いというのだ。
でも、いくら旨いから、といって、わたしのこの腕前で頂上一歩手前まで行くのは、後から思えば無謀なのだ。
だが、我孫子さんは「斜面で滑らなくて、林間で降りればいいよ」という提案をするので、まだ腕前が不安な、法月、史子、河内の三者もOKしたのだ。
しかし、食ってしまえば、やはり旨いラーメンだった。
結構無言でラーメンを食らう大人たちの中で、翔くんはひとり元気だ。そして、由香さんが帰ってしまった今、彼は我孫子さんに張りつくことに決めたらしい。浮気か? 我孫子さんも本当に子供が好きなんだなあ。
腹ごしらえを終えて、外に出ると、我孫子さんが早速仕切る。
「この近くで、2・3本滑ってから、林間で降りよう」
なんですって?
話が違うではありませんか!?
「いやだああああああ」
抗議するが、我孫子さんはすぐには譲らない。
「河内さんの腕じゃ無理だけど、法月くんふたりは平気だよ」
じゃああ、わたしはどうなるのううう? ひとりで降りるのおおお? 初めて来たんだもん、道なんかわかんないよう。
途方に暮れかけた時、史子さんが叫ぶ。
「林間で降ります」
おお、きっぱり言ったぞ。助かった。
残念そうな我孫子さん。
余談だが、下の方で滑っていた時、史子さんはどこにいようとすぐわかったものだ。例え、こっちがリフトに乗っていようとも、上方にいようとも。
史子さんは、滑りながら「ひぎゃああああああ」と叫ぶのだ。
見た目はおとなしいが、結構豪快なのであった。
自己主張がきちんとしてるので、頼もしいのだ。(ちょっと違うか)
困るのは、法月夫である。
雑談で自己主張がないのは、キャラが立っている証拠なのでかまわないのだが、一旦ゲレンデで行方不明になってしまうと、夫人でさえ見つけられないのだ。
来年は、蛍光ピンクのウェアを着てきてもらいたいものだ。
話は元に戻る。
で、林間コースを順当に降りて行くことになった。
当然のように、先頭に立つ我孫子さん。
新宿の雑踏だろうが、粉雪舞う雪山だろうが、彼が含まれている集団で、彼が先頭を取るのは、地球が回っているのと同じくらい普通のことなのだ。
そして、間違いが起こる。
「林間、こっち」
すすうっと、右へ行く。
あっと言う間に5ミリ位の大きさになる。
ついていく皆。
右へ右へ突き進むのだが、なんだか、斜面が急になって行く。
「平気なのう?」 確認をとっても、「大丈夫」と言って、あくまでも右下へ。
後ろからきた笠井さんが、珍しく声をかける。
「待てよ?」
…待てよ…?
我孫子さんが滑って行ったのと逆方向へ、様子を見に行く笠井さん。
「我孫子くんが行った方は、パノラマコースになる」
パノラマコース。
つまり、急斜面で、下界が展望できるところである。
有り体に言えば、うまい人しか行かないとこだ!
危うくハマるとこだった!
我孫子さんの場合、本人からして『自分が正しい』と思い込んで、揺らぎがないから、相手もするっと同調しちゃうんだよなあ。
いつもとちがって、今回は命にかかわることだからなあ。はあ、危ない危ない。
史子さんは、本気で震えていた。
おそるべし、我孫子武丸の言霊。
晩、ようやく馬鹿話。
話題は、何故かまた『7月に降ってくる、恐怖の犬玉』(先月あたりの日記参照)
今まで、『犬玉=かわいいむくむくな一匹犬説』(主に女性支持の説)『犬玉=生死はわからないが、犬が沢山みっちりまとまって球作ってる説』(主に男性支持の説)のふた手に分かれていたのだが、ここで一気に新説2個。
『犬玉=ミンチ説』
「ひき肉の玉でしょう」と笠井さん。わああああ、恐い! でも新しい。
『犬玉=エネルギー説』
「犬玉と言うのは、後づけの命名であって、落ちてきた時は『犬玉』とはわからないわけ。要するに、なんらかのエネルギー体、例えば、八犬伝の八房の玉のようなものが飛翔していって…」
流石、法月さんである。与太話でも、考察。
ああ心が和む。
結論としては、
「クヌルプのポメラニアンのナナちゃんは、どうみても玉犬だし、名前も大王の月の名前と重なっているし、じゃ、7月にはナナちゃんがいっぱい降って来るってことで!」
人の意見聞きながら、全然考慮にいれていない女性陣であった。
明日、雪が降ってなくて、足の状態がよかったら滑ることにし、早寝。