昔の日記

5/11〜5/20


5/11(月)

やばい。ものすごく。


5/12(火)

あと一枚。なんとかなるのだろうか〜。はあはあ。


5/13(水)

河内は朝になっても、まだトーンを貼っていた。終ったのは、出発時間ギリギリ。あわてて梱包し、発送の手配をし、手荷物を適当に詰め込んで、弾丸のように家を出る。

千織さん、単身上京。今日から『都内珍道中』(仮)

12時半に東京駅で、千織さんとみきさんと待ち合わせ。遠路はるばるの千織さん到着早々、『ねこたま』『いぬたま』に遊びに行く一行なのだった。
軽食をとってから、渋谷経由で二子玉川へ。

着いてみれば、駅から数分の、判りやすい場所。同じ敷地内に『ナムコワンダーエッグ2』があったが、平日の上、駅前の東急ハンズが休みだったので、駅から目的地までは、どちらかというと閑散とした印象。
一番手前に『ねこたま』、正式名称『ねこたまキャッツパーク』の門がある。ちっちゃい。
ぐるりを見渡すと、昔昔デパートの屋上にあった遊園地規模である。一瞬、失敗してしまったかと冷や汗が流れるわたし。わたしが責任を感じる必要はないんだが。
正門で、『ねこたまいぬたま共通券』1300円なりを買い、入場。
因みに、共通券でない場合、『ねこたま』は700円『いぬたま』は1000円である。

まず、眼にはいるのは、ビニールハウス。どうやら、大きなケージ(小学校の庭にある動物飼育スペースと大体同じ)の外を、保温の為覆っているようだ。
中にはつながれた猫2匹。眠っている。時刻を見れば午後2時。折り悪しく、ねこどもいぬどものお昼寝タイムである。
更に進むと、ショウウインドウ型のケージがあり、空調の良く効いたマイルームで、どれもこれもお休み中。ちょっとさびしいよ〜、と思っていたところに。

いました。起きてるにゃんこ。アメリカンショートヘア。しかも子猫!!しかも3匹!!!

お互い同士じゃれあったり、外れているホットカーペットのソケットを前足でこねこねしたり、元気元気。見ているこちらも一気に気持ちが盛り上がる。
で、急にテンション高くケージを見て歩く3人。

この時ようやくわかったが、ねこたまは狭くない。

これ以上広くて猫が多かったら、ノルアドレナリンが噴出しすぎて、死んでしまう(笑)
子猫と子育て中の母猫がいるケージは他に3つ。どこにも起きてる子猫がいて、まったく眼の毒だった。子猫の可愛さは凶悪である。
勿論、起きている成猫グループもいる。特筆すべきはスフィンクス。
ETのモデルになったと言われる、無毛の猫である。
この日は夏日だったのだが、そのような日でも丸はげの体には寒いのか、3匹がこちらに背を向け、座っている。
「うーむ、香港の精肉店の鶏(処理済み)みたいだな」と思っていると、千織さんが「おじいさんの背中」と言う。
確かに、うなだれて耳が隠れている後ろ姿は、まるで『銭湯で湯あたりを起こして洗い場に座っているおじいさん』である。
「手拭ふって、ペンペンって、背中たたきそう」
全く持ってそのとおり(笑)

なで肩なので、余計人生の重みを感じるフォルムなのだった。

別のケージにいた、ブチのスフィンクスは、毛のある猫とカップルになったらしく、相手を激しく追いかけ回している。追いかけているスフィンクス(ブチ)がオスである。そして彼の肌には、彼女に拒絶された際につけられた、山ほどの傷跡。
他の猫種なら、毛に邪魔されて見えないし、そこまで命中しないんだろうけどね。
でも、めげる様子は微塵も見せない。エライ。

出口付近には、入り口にあったのと同じ様なビニールハウスがもうひとつ。こちらは2重のドアになっていて、ヒモなしで自由に歩いている。

言い遅れたが、わたしはひどいネコアレルギーである。
今さら誤解する人はいないとは思うけど、一応付け加えれば、ネコは全然苦手じゃない。大好き。ところが、いつの頃からか、触るとその部分が赤く腫れるようになった。それだけじゃなく、またたく間にかゆくなる。次にくしゃみ。鼻水。喉に毛がはいると喉も腫れる。眼にはいると激痛なので、すぐさま洗わなくちゃなんない。
実は、みきさんも、くしゃみ段階の猫アレルギーがある。千織さんは、こんなわたしら2人を『冒険野郎』と呼ぶ。
で。冒険野郎が、2つめのハウスにはいって何が嬉しかったかと言えば、スフィンクスがいたんである。
『猫アレルギー』は正しくは『猫の毛アレルギー』なので、毛のない猫にさわりゃあ、万事オーライのはずだ。現に壁に貼ってある猫紹介文にも「皮膚アレルギーがある人も買える種」という部分がある。
しかも。このスフィンクスは人なつっこい。(感涙)
不機嫌そうな猫が多い中、ぴょこぴょこと寄ってくる。
さささささささ…触るぞおお。
人さし指で、つつつと背を撫でてみる。
あまり張りがないが、温い体。やれ嬉しや。さあ、おつむをぐりぐりっといこうかな〜、と思った瞬間。

「かゆい」(涙)

人さし指第一関節が、十分かゆくなってしまった(涙)どうやら産毛程度でも、ダメな体になってしまったようだ。やれ悲しや(号泣)
でもいいや。ちょっとでも触れたから。

それにしても、スフィンクスは、しわの多い猫である。いや、ベルシャだろうが和猫だろうが、体毛を剃ってしまえば、こんなしわしわになるんだろうけどね。
特に額には、深いしわがよれよれと、縦横と刻まれている。
「あみだくじ」
とみきさんだか、千織さんが言った。
あみだ。
動くあみだ。
後からはいって来たグループが、脳みそだ〜、わー、そんなヒドいこと言って〜、なんて騒いでいたが、あみだにくらべりゃ、全く普通だよね。

門を出て、隣の建物に行く。そっちは猫グッズ販売店舗。
あるわあるわ。
猫の足の裏まんじゅうから、猫ポストカード、挙句はドラえもんまで。いやあ、ドラえもんってネコだったんだよねえ、やっぱ。
猫の顔クッキーがあったけど、これは食えんでしょう。
WACHIFIELDのかなりリアルな猫耳が売っていて、千織さんがそれを買おうかどうしようか迷っている。こういう笑かしグッズは、人に買うのは嬉しいが、自分で買うのはためらうもんなので、気持ちはよくわかる。そういえば、来週お誕生日じゃないですか、と気がついて、わたしがプレゼントすることにする。
んで、レジに並んでいると、何故かもうひとつ猫耳を持った千織さんが後ろにならんでいる。
「これは、わたしがみきさんにプレゼントするの」
そして、その後にはみきさんが。
「わたしは、カワチせんせえにプレゼントしますよ」
……いったい、全体、何をやっているんだ、わしらは。(笑)

さて、お次は隣にある『いぬたまドッグスタウン』である。
はいってすぐのとこの犬舎では、ロングヘアード・チワワが高いびき。
こちらも、にゃんこたちと同じく、お昼寝タイムであった。
犬舎をゆっくり見ながら、進んでいく。
犬舎には、散歩中なのか、お留守の子もいる。が、ウインドウの横に顔写真が貼ってあるので、家主のご面相だけはわかるようになっている。
2.3歩進むと、そこに。
そこに、もんのすごーく、見覚えのある犬の顔が。

こた。

こただ〜!
由香さんちのこたそっくりの顔写真が貼ってある〜。
本体は留守。
顔の輪郭はちょっとこぶりだが、きょろんとした眼といい、おちょぼな口といい、こたそのもの。こたはオスだが、ここの子は愛ちゃんというメスらしい。
由香さんがここにきたら、狂っちゃうなあ。
犬種はシッパーキー。
「しっぱーきー」「しっぱーきー」「すっぱい、きー」「すっぱいカギ?」「わあん、そんな覚え方したら、返って間違えるよう」
横文字外来語に弱いわたしら3人は、鳩首会談で、犬種を覚えようとする。まるで、はじめてのおつかいを頼まれた幼児である。だが、そんな工夫するより先にどっかにメモれ

シッパーキーは、日本には少ない犬種だと、説明書きにはあるが、こたはこれとなにかの雑種であることは間違いない。こたの親はどこからきたのだろうか?

その後は、フレンドリーパークという犬を放してあるスペースで遊ぶ。オス犬軍団はヒトの腕に盛ってきてかなりイヤだった(笑)が、メス犬の方は、友好的で楽しかった。後のほうでは愛ちゃんも来たので、「こたこた〜」と追いかけ回して写真を撮る。
しかし、愛ちゃんは『走るこた、吠えるこた、懲りないこた』である。『動かないこた、無言のこた、すぐ飽きるこた』を見慣れている当方にとっては、非常な違和感があった(笑)

ひとしきり遊んで、犬グッズの店へ。
うーん。どう考えても、ねこグッズのが可愛い。
ちょっと買い物をして、猫の店に戻り、また買い物。
千織さんは、初日からかなりの散財(笑)
帰りがけに、もう一度『ねこたま』にはいる。その日一日は何度でもはいれるのだ。昼間、毛有りメスを追いかけていたスフィンクスは、わしらの目前で男の本懐をとげた。あっぱれ。

かわいいもの満喫して、にこたま(最近は『ふたこ』と呼ぶらしい)を離れる。
ご飯は池袋東武のARCO。
今晩は、大塚のビジネスホテルに宿泊。大変安かったのだが、他2人の部屋とちがってワタシの部屋の調度品は、事務机とパイプ椅子だった。しかもとてつもなく広いし。(笑)でも、わたし的に60年代の国産B級アクション映画な気がしたので、面白く休んだ。

翌日チェックアウト時にもらったレシートには『近日ダブルにウォシュレット導入!』と嬉しそうに印字してあった。ラストの『!』に、えっへん、てな感じが読みとれた…


5/14(木)

朝、10時に池袋・いけふくろうで待ち合わせ。
ベッカーズで軽い朝食をとって出かける。
今日の予定は、横浜八景島シーパラダイス。

いけふくろう一番乗りは、加納さん。加納さんは今日のために、すばる7月号の原稿を〆切りより10日も早くあげてしまったのだった。すごい。
由香さんと友子ちゃんも到着。(友子ちゃんは、大森さんの義妹である。旦那さんはトーレン・スミスさん)ぞろぞろと横浜へ向かう。

いやあ。横浜は遠い。
だが、女の集団はのべつまくなしでしゃべりまくり、遠路よりも乗り過ごしのほうが100万倍も怖いのだ。特に加納さんは、心がシーフードに飛んでいて、夢心地である(笑)
幸いにも、路線を間違うことなく、シーサイドラインに乗車。
実は、途中の『鳥浜』で降りれば、マリーナにおいしいお店があるとの情報を得ていたのだが、5人中3人が方向音痴なので、踏みとどまる。
八景島についたのは、丁度お昼。きびきび入島したのは、お腹がすいていたからに他ならない。
レストランプラザのポリネシアン料理『TOROPICAL・INN・Palmeston』はボリュームがあって、よかったざんす。

満腹のカラダにいきなり遊園地はヘビーね、ということで、まず水族館。
屋外の広場に面した外壁に、ガラスを張った丸窓があり、なんだろうと覗くと、イルカの水槽!!
「イルカじゃあああ」
俺を中にいれろおおお、とばかりに、大興奮してガラスを叩く千織さんとわし(^_^;) ほっとくといつまでもそのままだろうということを見てとった他のメンバーに促され、やっと入場口へ。

中にはいって、パンフレットを分けあい、ゆっくり進む。一番後方でもたもたしていたわたしは、ふと人数を数えてみる。
…ひとり足りない。

「ひとり足りないよ〜」
「誰?」
「由香さん」
最近、熱帯魚を飼い始めた由香さんは、興奮のあまりずんずん先へと行ってしまったのだろうか。手分けして探索するが、どうしてもみつからない。ふっと、悪い予感がして、振り向くと、
ピー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜−−−−−−−−−−−(南の方から、妨害電波が飛んできたので割愛させていただきます)

無事、由香さんも合流し、水槽に寄っていく一同。
しょっぱな、『北の海の仲間たち』の水槽。
カワウソ、ラッコが悩殺すべしと待ち構えている。ラッコはぷかぷか浮いて夢うつつだが、次第にガラスの壁に寄ってきてしまう。
あらら、ぶつかる、とみつめていると、彼は眼をつぶったまま、手をけだるげに差し上げて、ひょい、なんて、オバQのような指先でガラスを支えたんである。
うーん、生活のにおい。

ホッキョク熊は、どっちの方向に泳いで行っても、ガラスの際を確保、かつ、かならず客の方を見ている、できたお方だった。みきさんはすっかり追っかけと化し、ありていにいえば、全くのパパラッチだ。「しろくまーしろくまー」とつぶやきながら、右へ左へとデジカメを構えて走る。熊はきちんと意識しているようで、すんでのとこで避けるあたり、ゼッタイ人がはいっている、と確信するに到る。

セイウチ・ペンギンにもまんべんなくフェロモンを出した(出すなよ)わしらは、タカアシガニのところでは、「うまそう」なんて言っている。言い訳しておくが、『わしら』というのは便宜上の用法で、カワチ本人は、そんなでっかいのひとりで食うなんて考えただけでも、胸やけがするのだった。(ひとりで食うな)

水中エスカレーター付近では、みきさんがまた「エイーエイー」とホシエイの腹を撮っている。(笑)

そして。
シロイルカ!!

「シロイルカじゃああああ」
「メロン〜メロン〜」
千織さんとわたしは、またもやケモノと化す。にっこりと笑みを浮かべた(ように見える)シロイルカの水槽の前に身を乗り出すと、子連れと幼児を押し退け(ごめん)ガラスにはっつく。ちなみに『メロン』とはイルカの丸いオデコの名称である。イルカはここで反響させて、音波をだすのだ。
シロイルカは俗に『海のカナリア』とも呼ばれて、声の良いことでは有名なのだった。その声がスピーカーから流れてくる。
じいいいっと、ガラスにはっついているが、イルカは微妙にわしらの位置からそれて近づいてくる。
「あっ!」千織さんが何事かに気づく。
「あっちのコドモにちかづいてるううう。くやしいいい」
たしかに、柱1つ隔てたガラスに幼稚園入学前とおぼしき幼児が、父母と一緒に立っている。
イルカはその子に近づいては、遠くにターンするのだ。
あるTV番組で、イルカは子供が好き、といっていたのを覚えている。
「くやしいからちっちゃい子のふりして、しゃがんでみようか!」
「イルカはかしこいから、そんなのすぐ見抜くよ!」
そういう問題じゃないのだが。
アイコンタクトをしたのち、ふたりしてじりじりと幼児の場所に近づき、去るのを待つ。
オトナの長所は幼児より辛抱強いところだ。
やがて幼児はイルカのヒットポイントから離れて行った。決してわたしらが見つめていたせいではない。
そして、念願かなう。
イルカが(水槽越しだけど)こっち目がけてやってきた。
「はううう」「イルカイルカ」「わしのもんじゃあ」
イルカが来るたびに、我を忘れて意味不明なことをうめくふたり。
どのくらいそうしていたのかわからないが。
由香さんだか誰だかに「行くよ」と言われて、しぶしぶその場を離れたのだった。
千織さんとふたりだったら、閉館までそうしていたかもしんない。まあ、こん時だって、いたきゃずっといてもよかったんだよね。オトナは得だね。(へへん)

気を鎮めて、反対側の水槽も見てまわる。ミジンコみたいなサイズのクラゲが、ホコリみたいにふわふわ浮いている。小さいのに、どれもこれもカサのカタチが違うの。愛らしい。
ちっちゃなハコフグの仲間がいる。わたしの頭の中では『アンディ・フグ』という言葉が渦巻く。
なんでやねん。
2つ隣の水槽に人がたまっている。なんとクリオネだった。
クリオネは最近有名なので、知らない人は少ないと思うが、貝の一種。だが、貝殻は退化してしまっている。話名はハダカカメガイ。体長約1センチ。
ゴールデンウイークガイドでは5/10までの公開、ってことだったんだけど。
で、覗き込んでみると、
半分くらい死んでるじゃん(;_;)
でも、飼育のヒトは責められない。下に沈んでるのも、きっと今朝は元気だったんだよね。すると、上でぷかぷかしている一見元気そうなのも、あと数日の命…(;_;)
一回北の海から連れてきたもんを、流氷の下に帰すことは不可能だろうし、ここで命をまっとうするしかないんだろうなあ。
ウーパールーパーにしてもエリマキトカゲにしても、人間の好奇心のなんと業の深いことよ。

屋上でイルカのショーを見て、遊園地スペースに移動。
まずは、軽くアクアライドへ。その真ん中のバーズガーデンという鳥の集まる場所では、かものひなを堪能する。
アクアライドというのはタイヤ型のいかだに円陣を組んで座り、急流を下っていくアトラクションである。
順番に流れていくはずが、わたしらのタイヤは、2台もの後続に抜かれる。
流れの狭間にひっかかってしまって、身動きがとれず、どうしたらいいのかわからなくなる。
次のタイヤが通りすぎる時に助けを呼んでもらおうか、とマジで相談しはじめたころ、やっと流れに乗り始める。
こんな意表をついた展開のアトラクションは初めてだった。

アクアライドを降りた加納さんの足取りが、急に軽くなった。ほぼスキップと言っていい。
「次はブルーフォールね〜」
今回の加納・千織組の第一目的は、この4月末にできたばかりのブルーフォールであった。高さ107M最高落下速度125km/h最大重力4G。
なにやら、25階建てのビルと同じ高さなんだそうだ。
そっから椅子に座って、自由落下で落ちるアトラクションなわけ。
ほとんど臨死体験ちゃうか?これ?
この情報を耳にいれた時から、ふたりはうきうきしていた。同乗するかと思われた友子ちゃんも遠慮をしている。高所恐怖症の由香さんみきさんわたしはなにをか言わんや。みきさんは「へんたいや。こんなんのるやつみんなへんたいや」と誰に言うでもなくうめいている。へんたいよばわりされた人間と言えども、落下直後は、恐怖におののいた表情をするに違いない。
実際、ずっどんとおっこってきた修学旅行生の中には、たまらず泣き出している子もいる。
こうなったら、落ちてきた直後の写真を撮るという楽しみに全てを注ぐしかない。

25人定員なので、列はさくさく進む。ふたりとも笑っている。が、千織さんは若干怖がっているよう。
しかし、曇りのない加納さんの笑顔である。

約1分半後。

わたしらは見た。
すっどんと落ちてきた直後、カメラ目線で手を振る加納さんの笑顔を。
おまけに走って降りてくる。千織さんと言えば、ちょっと遅れてやってきて、何か言おうとしている。
「何?千織さん」
千織さんも笑顔は笑顔だが、良く見ると唇が震えている。
一息吸って、吐き出した言葉がこれだった。

「こわい」

加納さんは相変わらずにこにこと笑っている。
おそるべし、加納朋子(笑)

その後は、サーフコースター、オクトパス、ウォーターシュート、と行って、ラストはお土産物屋でキュっとしめる。サーフコースターはみきさんを除くみんなが乗ったが、加納さんはこれのが怖いと言っていた。でも千織さんも友子ちゃんも笑いながら乗ってるし。オクトパスはなめてかかっていたのに、思いがけないキモチ悪さ。みきさん、マジで泣く。

夕闇の中、金沢八景大橋を渡って帰るが、友子ちゃんと由香さんはかっこよく肩を組んだりしている。
「いやあ、アメリカンとイタリアンはやっぱり違うね〜」と感心をする残りの人。
本当にアメリカンな友子ちゃんはさておき、何故に由香さんがイタリアンなのか。
喜国家では「イタリア人のように愛して」という堅い約束ごとが取り決められていることを、わたしたちが知っているからである。

東京ボヘミアンと化した千織さんとわたしは、その晩イタリアンな喜国家にお泊まり。
午前0時ころ、近所の『デラックス銭湯』に行って体をほぐし、戻ったあとは、こたを足元にしたがえて、眠る。寝る前に『タレント名鑑』を見せてもらって、どうしても思い出せなかった女優さんの名前(5/10参照)を見つける。川上麻衣子だった。


5/15(金)

10時に起きたら、由香さんももう起きていた。勿論喜国さんも。わたしらの足元で寝ているこたは、既にひと散歩してきていたらしい。
由香さんのお手製ブランチを食べ、そのままダラダラして、こたの抜毛とったり、ビデオで粘土アニメ(ああ、横文字だから、やっぱりタイトルわすれちゃったよう)見たりする。

午後、4人してC塚さんちにお邪魔。マンションの下まで迎えに来てくれたC塚さんは、「音を立てないで、はいってきてくださいねえ。そうすると巨大猫ぽんちゃんが見れますから」と言う。
C塚さんちには、猫が3匹いて、その子らと会うのも、この度の重要な目的なのである。
貫井さんが曰く『ぽんちゃんは1メートルある』らしいが、シャイな為、なかなか人前に姿を現わさないんだそうだ。
で、ぽんちゃんに気配を感じられないように、と、息を潜めてドアを開け、 ぞろぞろと家宅侵入する。
簡単な作戦だったが、これが図にあたり、だいどこに入ろうとしていたぽんちゃんをGET。
ぽんちゃん、いきなり人間に囲まれ、ダイニングの真ん中で金縛る。
ぽんちゃんは灰色ベースの長毛種で、表現は拙いが、ミュージカル『キャッツ』のメイクみたいなはっきりとした顔立ちの猫である。美猫なのに人前に出ないなんて、もったいない。
金縛った挙句、ぽんちゃんはベランダに面したサッシとソファの間、20センチくらいの隙間に陣取り、人々に向かって『シャアアア』と威嚇しつづけるのだった。
対照的なのが、まめちゃん。
まめちゃんは、丸顔で、色はまるで紅茶のシフォンのような、おいしそうな猫(笑)
とってもひとなつこく、初対面の相手がいても平気。
おまけに芸がある。
靴フェチなのであった。
喜国さんはまめちゃんのタメにわざわざ年代物のズックをはいてきたくらい。
そう、どういった靴フェチなのかというと、喜国さんの靴のにおいが大好きなのだ。
(1)まず、普通に、くんかくんかと匂いを嗅ぐ。
(2)他猫もよくやるが、自分の体を対象物にすりつける。
(3)対象物の上に仰向けにねそべり、片手でかき抱く。
(4)やがてうつ伏せになり、両腕で対象物を抱擁する。
(5)感極まると、対象物の穴に頭をつっこむ。しばし静止し、堪能する。
更にエスカレートした時は、耳のうしろまでつっこむ。
そんなにまで、喜国さんの足が好きなので、踏まれるのも、もの凄くアリなのだ。ふにゃんふにゃんとうめき、骨抜きになり、どうにでもしてと据膳状態だ。喜国さん、男前である。
(ところで、まめちゃんの性別はどっちだったっけ。喜国さん、ホモ嫌いだったよね(笑))

もういっぴきの、虎猫ぴにゃちゃんは、ぽんちゃんに輪をかけた人見知り猫で、押入に隠れたまま、最後まで姿を現わさなかった。

しばらく雑談ののち、ステーキハウスへ。
向かう車の中で、昨日のシーパラでのサーフコースター(ループが海上にまで張り出したジェットコースター)がいかに怖かったかを、喜国さんに語る由香さん。
「前シーパラ行ったときは、乗らなかったよね?こわかったあ」
そこで喜国さんが一言。
「由香ちゃん、前一度乗ったじゃん」
「嘘。まこ、他の誰かと乗ったんじゃない?」
「由香ちゃんと乗った!」
「嘘。あんなに怖かったら覚えてる」
「乗ったよ」
押し問答の末、『恐怖のあまりになかったことにしてしまったのだ』という結論に落ち着いた。うーむ。由香さんたら(笑)

夕飯を食べながら、なつかしの漫画なんかをする。アストロ球団やら、リングにかけろ第一部の終り方やら。

食べ終ってすぐ、駅に向かう東京ボヘミアン。今日は一旦河内家に戻るのだった。


5/16(土)

犬猫めぐりばかりしていたので、かなりカジュアルなかっこをし続けたふたりだが、今日はスカートをはいてみる。貫井さんちに行って、B子ちゃん(生後半年)に会うのである。千織さんははじめて。
ケーキを買って、4回目にして覚えた貫井家への道を先導しようとすると、千織さんはたったか行ってしまう。
1年前に1回来た順路を覚えているのだ。しくしく。

お宅のドアを開けるといい匂い。A子さんがパエリアを作って待っていてくれたのだった。嬉しい。
まず手を洗って、B子ちゃんのほっぺをぷにゅぷにゅやる。挨拶がわり。
こないだ喜国さんと我孫子さんが、B子ちゃんに初めて会ったときも、まず『ぷにゅ』とやったそうで。
そらもう赤子はほっぺでしょう。
(カワチの友人には20とおに越えても、赤子のほっぺをもった女子がおり、まず会うとぷにゅさせてもらうのだが)
で、A子さんの弁。
「我孫子さんが、B子ちゃんのことすっごい優しい眼で見てくれて、わたし胸がきゅん、ってなっちゃった」
おお、ここにも男前がひとり。

朝ご飯を食べて出てきたのに、パエリアがおいしくて、もりもり食べてしまった。
B子ちゃんは、今日一回も泣かない。とってもよい子でした。

まだ陽のあるうちにおいとまし、竹本さんの仕事場へ。
ここんとこいつもお手伝いがいたのに、今日はめずらしくひとりで作業中。
ひとりでやっても、みんながいても、進む量はあんまりかわんないらしい。

千織さんが通し読みしているので、わたしも、最新のとこを含め、しばらく振りに再読する。
いままで、物語がどう展開するのかはわかっても、はっきり言って竹本さんの漫画に対する体力と気力、持久力が不安だったので、内容にふれるのは避けてきたのだが、コレはやっぱ面白いです。
ああ、ちゃんと完結しそうだ、というのも今回の分で見えてきたし(失礼な言い方かもしれないけど、竹本さんの小説の読者だったら、この心配わかるよね)、ミステリ仕立てじゃなくても、かなりスリリングな物語です。
先が楽しみ。しかしあいかわらず、ネームやらずに下書きした先からペン入れしちゃってて、普通だったらワヤになる部分出てきそうなもんだけど、でもこのクォリティでコマ割ができるんだもんな。凄いよなあ。登場人物も多いんだけど、読者を全然混乱させないし、ほんとに漫画にブランクあったのかな、って感じ。
絵柄が古い、って気にしてるみたいだけど、絵柄っていうのも道具の一種なんで、この物語を描くには、有効な絵柄だと思うです。なんせ、小説で表現しにくい『行間』にあたるところが、人間の表情なんかにダイレクトに出ているもんね。
やっぱ、天才っているもんです。竹本さん。

それにしても、植島くんはめちゃくちゃポイント高い(笑)
この漫画が発表されたら、コミケで『植島×牧場』本が雨後のタケノコのように発行されるかもしれん(笑)

千織さんはベタ塗りとトーン貼り。わたしは新しいトーン設定を作って、挙句の果てに何枚かお持ち帰りをする。やっぱ、自分の仕事場にある道具が全部そろってたほうが、進むんだよねえ。

ここんとこ、帰りが遅くなってばかりいたので、こちらも早めにおいとまする。
池袋駅で、駄菓子を見つけ、また散財。
1時間100円の有料駐車場から、あわてて車を出し、デニーズで遅い夕食。はあ、きっちり3食食べてしまった。食後は『人に言えないアビコくんのヒミツ』話をする(笑)


5/17(日)

9時に起きて、朝ご飯を食べ、千織さんをお見送り。

途中、JRで、埴輪のようなカオをした女子高生を見る。
ただの高校生が埴輪なら、どっちかと言えばカワイイのだが、この子はセンス悪すぎ。
当然ながら顔黒。シャギーのはいったショートヘア(黒に近い茶髪)にラルフローレンのニットベスト白の襟元紺赤ラインあり。のスポーツバッグ。第2ボタンまではずした白ブラウスの胸元には、ちょミニの制服スカートと同じチェックのリボンタイにお約束のルーズソックス。
ここまでは、普通。
アクアブルーの小花を連ねたガラスのチョーカー、イミテーションありありのリングを両手にいくつか。ピンクのチェック柄のキティちゃんの携帯ケースとキティちゃんのキーホルダーが紺のスポーツバッグにじゃらじゃら。メイクはこれまたパールピンクのリップ、アイシャドウは海苔のようにまぶた上に2センチで、眼の醒めるような水色。バッグから取り出したサイフは豹柄地のキティちゃん

プラス。パールのはいったパープルのつけ爪(指先よりはみ出た部分推定1.5センチ

なんと言ってもつけ爪がトドメだった。これはおミズ系と思われても仕方ないでしょう。それにしても色彩感覚ゼロ。あんまりといえばあんまり。

東京駅で時間をつぶし、新幹線改札でばいばい。
帰路は、超絶眠くなる。朝、くしゃみが止まらなかったため、飲んだ風邪薬のせい。
帰宅して1時間ほど眠り、犬散歩。
もうすぐ家、というところで、社交ダンスに行っていた母と会う。
トト、吠える吠える。
ドレッシーなカッコしてたから、わかんないでやんの。
コロはすぐわかっていたようなんで、コイツやっぱ子供だなあと思う。


5/18(月)

とりあえず、寝る。久しぶりに遅寝。11時半に起きる。ぼーっとしながら、竹本さんとこからあずかってきた宿題をやる。他人の原稿いじるのは、飽きがこなくていいなあ。
あとは、たまっていたメールを日付順にREをしたり、フォーラムの発言にぶらさがったり、月末の京都鞠夫オフの喫茶店の予約をとったり、日記を更新したり、編集部からの電話の応対をしたり、みきさんの体の調子が心配だったので連絡したり、母の電話が壊れたので、ナンバーディスプレイの最新機種を買ってきたり、その設定をしたり、NTTにその申込をしたり、自分のツーカーの料金コースを変更したり、といった用事で一日が終る。

キリ番報告・5000・高崎うさぎさん。ありがとう! 『弥生』の読者さんでしたか。ますますありがとう。竹本さんとこも、近日新しい絵に差し替えます。
ついに5000カウントまで行きましたね。 奇しくも今日は設立2/18から3阜獅゚にあたる日でした。これからも、がんばって更新しますんで、よろしくね<ALL


5/19(火)

朝から、ひどい貧血と胃痛。久しぶりである。
仕事のない時でよかった。
午前のうちに、医者に行って、薬をもらう。その後は、しょーがないから、寝ている。
昼間、母がたこ焼きを食べたいというので、焼くが、油がハナについて、あんまり食べられなかった。ぼーっとしてるので、焦がしたし。
夜は、鞠夫オフの件で、千織さんと電話。「いつもより、間をおいてしゃべってはるわ」と言われる。2年前に通信をやりはじめ、オフ会の場で『マシンガントーク』と称されるようになったが、わたしは元々、しゃべらない子と認識されてだったのだ。少なくとも、短大のクラスまでは。
いつから、こうなったのだろう。
おまけに「いるかいないかわかんない子」という位置だった。
なのに『マシンガントーク』。
今さらながら、自己同一性のほーかいである。

我孫子さんは、夕べようやく仕事が終ったらしい。お疲れ様。(;_;)

貧血がひかないので、早寝しますです、お休み。


5/20(水)

体調は今日も同じ。胃薬がきかない(;_;) でも天気がいいし、えいやっと起き出して、犬洗い。
さすがに良く乾く。コロは怒っている(笑)。
ジロンは、体調が万全じゃないので、お風呂はやめ。
乾いた頃、いぬたまで買ってきた新しいひっぱり綱をやると、トトは我を失ってしまう。
重いのに、どこへ移動するにも持っている。おかげで、古い綱が洗える。

物が考えられないので、とりあえず機械作業でできることをする。というわけで、
竹本さんとこのページのカットをリニューアル。あと、なつイラ作品リストルーム(旧・作品リスト)最新報告にちょっと追加。

21:55におそるおそる行ってみたらですねえ。竹本さんのページが1002カウンタでした。家主が記念すべき1000番踏む、なんてことなくてよかった。めでたい。


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