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産直通信その23:「ウルトラバロックオーケストラ」の小野田さん

レポーター:神奈川県横浜市 ぷるっぷる

97年秋のコンサートだけど、一風変わったレアものステージだったのでご紹介。さて、オープニングは ステージ暗転のまま、先ほど「あのハコはなんだ?」とか「あの中に小野田さんが入っているん だぜ」などといっていたところにピンスポットがあたり、左側から賛美歌の音が聞こえてくる。 それを合図に手に篭などを持った男女が現れ次々にそれらを白い布の上へ置いていく。見る間に そこは祭壇に仕立て上げられ最後に千手マリア様がのせられる。その間に右側からはわけのわからない うなり声のような音が・・・左側が秩序だった聖なる宗教世界なら、右側はプリミティブな衝動や インディオの持つ血を表すように聞こえてくる。と、そこへ一人の人物が祭壇の前へ・・・白い仮面を 付け銅鑼を持った人物。頭には中世のフレスコ画に描かれるような丸い後光をしょっている。かの人物 は司祭のように朗々と歌いあげ、それらに民衆が唱和する。

そのあと仮面と銅鑼を祭壇に置いたかの人物は、まぎれもなくジェームス小野田そのひとになったので あった。続いて彼はスピーカからの台詞にあわせ、演技を始める。「・・・私は見た。世界の果てを。 大きな白い石がごろごろと転がっておおきな穴に入った。・・・」(とっても格調高いようで、それで いてとってもシュールで「何が言いたいの?」といういわく言いがたいもの。一言で言うと「わけ わかんない」のでとても印象深い)途中なぜか台詞とは全く関係ない「顔を洗う」という演技で、 若干の笑いをとりつつもひととおりの演技を終え、飾りたてたしゃれこうべ(作りモノ)を掲げ歌い 始めるのだった。

ステージ奥のスクリーンには小野一郎氏の撮った写真が投影される。いずれも「墓」の写真。花で 飾りたてられたものもあれば、生前の写真を飾ったものも、ろうそくがいっぱいたっているものも。 でもどれもお墓。そこに響きわたる小野田さんの声「めざめよ、よみがえれ」。全体としてひとつの 歌世界を作っているのがわかる。なんか圧倒されてしまう。

とここまでは格調高く語ってきましたが、突然下世話な話を・・・最前列真ん中に陣取った我々 (知り合い3人組)でしたが、目の前の床にガムテープでバッテンにバミってあるのを見て「ここまで 出てくんのかねー」って言ってたんですが、本当に小野田さんが出てきてしまいました(どきどき)。 もー手を伸ばせば届く距離。まさにノドチンコまで見える。同行者の弁「舌のざらざらまで見えた」 「歯の治療跡まで見えた」。そして吹き出す汗の一粒一粒までが見えてしまったのでした、おまけに マイクを通してでない「生声」までが聞こえてきて。あまりの近さに私たちがフリーズしてしまった のは言うまでもありません。このあとステージ上に戻った小野田さんは、もう前まででてくることは ありませんでした。そのかわり最初に登場した8名のダンサーたちが走り回り、飛び回り、踊り回って くれました。

次の曲はキャサリン・グレースという女性ボーカルの曲。最初の宗教的な雰囲気はなくバラードと いった感じ。ウィスパー系の声がキモチイイ1曲でした。

ここでウルトラバロックオーケストラの編成を言うと、ベース、シンセサイザー(奈良部正平さん)、 ピアノ、パーカッション(コンガ他)、アルトサックス(フルート)、太鼓(正式な名前は分かりませんが、 民族楽器って感じの)、そしてゴスペル系の女性コーラス隊(5人)、んでボーカルが小野田さんと キャサリンさんでした。名前を失念してしまったのですが、ベースとパーカッションの人が外人さん。

ぢつはこの後何曲やったやら・・・たしか2、3曲だったとおもう。もう1曲キャサリンさんの ボーカルがあったようななかったような・・・というのも最後の曲がめっちゃ長くて、どこまでが 前の曲かわからなかったのでした。最後の曲はたぶん10数分はあったんだと思う。最初はリズムが 取れないほどゆっくりとした曲が、だんだんテンポアップして途中ゴスペルっぽいところがあったり、 ジャズっぽいところがあったりして、それから急激に早くなって登りつめたかとおもうと、また どんどん遅くなって終わる、という構成になってたはず。(途中、テンポがとっても気持ちよくて、 コーラスの人たちが手拍子したりしてたんだけど、やっていいものやら悪いものやら。踊っていいもの やどうやら。結局おとなしく座ってたけど、やっぱり騒げばよかった(笑)。最前列だから後ろが どうなってたかわかんないけど、たぶん静かにしてたんじゃないかな。あぁシャイな日本人。)

これの途中に流された映像(というか写真)がとってもおもしろくって、もちろん宗教画なんだけど、 とってもわかりやすいの。なんか病人のベッドのそばに死神と天使がいて、病人がクロスを持って祈る と死神が退散したりとか、イエス(子ども)の後ろにマリア様と神様の3ショットとか。それぞれの 人物のしたに名前が書いてあったりとか。なんていうかなぁ、啓蒙漫画を見てる感じ? こういうのが 正しいんだよって正面から主張している感じが笑えたなぁ(不謹慎ですかね)。バックは「聖者が街に やってくる」みたいな脳天気な感じだったし、あれ、楽しかったな。

そしてテンポアップしてまた降りてくるあたりでオラトリオ聖歌みたいになってくるの。このあたりで 小野一郎さんの「ウルトラバロック」の画像がでてくるのだけれど・・・鳥肌たちましたね。 トークショーでもいってたけど「普遍的な感じ」っていうのかな? まさに「その一瞬を切り取って きた」かのような印象。きっと写真展もすごいんだろうな。見てみたいな、と思った瞬間でした。

曲が終わって出演者全員のカーテンコール。「今回のはさわりといった感じでしたね。45分間でした けど。次回お目にかかるときには本編をお見せしたいと思います」って小野一郎さんがいってました。 ということは次回もあるってこと? 期待しちゃお。


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