updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

5040. 会社に派遣が増えるとストの効果が少なくなるのでは
 (156頁)
 派遣が導入されているときに正規従業員だけでストライキをするとすれば、たしかに、心配がないわけではありません。
 派遣労働者の立場からは、ストライキの効果を少なくするという意図がないことがほとんどです。しかし、客観的には、派遣先の事業場で、正規従業員の担当する業務が派遣労働者に代替されているときには、正規従業員だけでは、ストライキの効果が減少するのは当然のことです。

 こうした弊害を防ぐために、まず、職業安定法は、争議中の職場への労働者派遣を禁止しています。

 職業安定法第20条(労働争議に対する不介入)

 公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。
 (2) 前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。  


 労働者派遣法第24条(職業安定法第20条の読み替え:労働争議に対する不介入)

  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第二十三条第一項に規定する派遣元事業主(以下単に「派遣元事業主」という。)は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている「事業所に関し、労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣(以下単に「労働者派遣」という。)(当該同盟罷業又は作業所閉鎖の行われる際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない
 (2) 前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること及び無制限に労働者派遣がされる」ことによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は、その旨を派遣元事業主に通報するものとし、当該通報を受けた派遣元事業主は、当該事業所に関し、労働者派遣(当該通報の際現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣及びこれに相当するものを除く。)をしてはならない。但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者(労働者派遣に係る労働に従事していた労働者を含む。)の員数を維持するため必要な限度まで労働者派遣をする場合は、この限りでない。


 派遣労働者への組織化の働きかけ

 実際には、労働組合が、派遣労働者にもストライキを呼びかけて、できれば一緒に、少なくとも、連帯して行動を起こすことができれば、労働者の団結は強くなりますし、最も望ましいことです。
 そのためには、日頃から、労働組合が、正規従業員だけの利益を守るのではなく、より団結を必要としている派遣労働者のために団結権を行使することが求められているのです。
 派遣労働者を使用者の側にあり、労働組合とは対立するという考え方を克服し、派遣労働者の労働条件と雇用を守るなかで、労働組合が団結を拡大し、強めるなかで、労務屋の横暴を排除することになった「大阪暁明館病院事件」の教訓は大きいと思います(『がんばってよかった 派遣から正社員へ』かもがわ出版、1995年)

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