updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3150. 1 生理休暇はありますか?
 女性の派遣労働者は、派遣先事業主に請求することで、いわゆる「生理休暇」を取得することができます。
 女性の労働も過密になっており、健康を破壊する人が少なくありません。
 生理休暇は母性保護の基本です。疲れているときなど、生理痛などで苦しいのに無理をして仕事を続けたために、中高年になって身体に変調をきたす女性が少なくありません。生理休暇をしっかり取得することは派遣労働者にとってはきわめて重要なことです。

 1985年の労働基準法改正で、生理休暇の規制は大きく変りました。労働基準法第68条は、「生理日の就業が著しく困難な女子に対する措置」として、次のように定めています。つまり、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」のです。

 労働者派遣法では、労働基準法第68条の使用者として責任を負うのは「派遣先事業主」です。
 生理休暇は、労働基準法では無給でもよいのですが、派遣元での就業規則や就業条件明示書で規定されているときには有給となります。

 労働基準法第68条(生理日の就業が著しく困難な女子に対する措置)

 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。


 女性が平等を言うのであれば、男性にはない保護を撤廃するべきだというのが経営側の主張でした。男女雇用機会均等法と同時に労働基準法の女子保護の縮減があり、生理休暇がそのやり玉にあがって、大きく後退することになったのです。本来なら、ドイツの「賃金支払継続法」のように、男子を含めて身体の調子が良くないときでも休業できる制度が必要であったと考えます。
 ところが、1997年には99年4月から女子保護規定を全面的に撤廃する労働基準法見直しが通ってしまったのです。しかし、この見直しでも労働基準法第68条はそのまま残っています。

 正社員も、しっかりと自分の健康と生命を大切にして、過労死に追込まれないように労働者としての権利を守る働き方をすることが必要ですが、とりわけ派遣社員は、非正規の雇用形態で働かされているのに、「過労死」するまでの過密労働を強制されてはたまったものではありません。

 労働基準法では、まだ、私たちの先輩たちが頑張って残してくれた「生理休暇」の制度が、上のように規定されています。長く健康で働いていくためにも、派遣労働者としても、この制度をしっかりと行使することが必要です。
 医者の診断書の提出は不必要  もし、派遣先で、生理休暇を請求したのに、医者の診断書などの提出を求めるなどの対応があっても、労働基準法ではそのような要件は定めていません。診断書の提出を、生理休暇請求の手続として、就業規則などで定めることも労働基準法に違反することになります。
 労働基準法の趣旨に反するような「生理休暇」取得の妨害行為は、労働基準法違反になります。労働基準法第120条は、労働基準法第68条違反の場合、使用者には、「30万円以下の罰金に処する」と定めています。悪質な派遣先の上司については、労働基準監督署への法違反を理由に申告することが可能です。

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