updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3004. 派遣先でトラブルを起こし、派遣先から「懲戒処分にする」と言われてしまいました。 さらに、派遣元からもそのことを理由に処分を受けるかもしれない、と言われています。やむを得ないでしょうか。
  派遣労働者は派遣元との間に雇用関係があり、派遣元事業主による懲戒はありえますが、派遣先が派遣労働者を懲戒することはできません。労働者の非行について服務規律違反としての制裁を行うための懲戒は、就業規則の懲戒事由・懲戒手続に基づいて行われますが、就業規則による懲戒は、使用者と労働者の間に労働契約関係が存在することを前提にしているからです。
 派遣労働関係では、派遣労働者が労働契約関係にあるのは派遣元との間です。派遣先は、労働者派遣契約に基づいて労働者を指揮命令することができるだけです。派遣先事業主は、派遣労働者に対して、職場でのトラブルを制止するなど指揮命令の権限はもっています。しかし、派遣労働者は、派遣元の就業規則の適用を受け、派遣先の就業規則の適用を受けることはありませんので、派遣先が派遣労働者を懲戒の対象にすることはできません。
 派遣先は、派遣労働者の非行によって事業の運営が阻害されたときなどには、派遣元に対して労働者派遣契約違反を理由に契約解除や労働者の差し替えを要求することができます。また、被害が大きいときは、派遣元と派遣労働者に対して損害賠償を求めることも可能になります。
 右のとおり、派遣労働者は派遣先から懲戒されることはありませんが、派遣元の就業規則に基づいて懲戒を受ける可能性は残ります。懲戒制度については、元来、根拠そのものついても疑問もありますが、とくに、派遣労働者は派遣元事業場で就労していませんので、懲戒の対象となる規律違反もきわめて例外的な場合に限られることになります。派遣先事業場での行為のうちで、派遣元で懲戒の対象とする必要があるのは、派遣労働者の行為が、派遣会社(派遣元事業主)の信用を大きく失墜させる場合などしか考えられません。さらに、懲戒については、就業規則に懲戒の事由や手続が明確に規定され、それに基づく適正な手続によることが必要です。

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