派遣労働者の適正な派遣就業の確保を図るため派遣先が講ずべき措置に関する指針

1990年10月1日  職業安定局業務調整課民間需給調整事業室

 1 目的

  この指針は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「法」という。)の規定により派遣先が講ずべき又は講ずるように努めるべき措置を適切に実施するための方法及び当該措置を適切に実施するために派遣先が考慮すべき事項を示すことにより、派遣先における派遣労働者の就業管理の改善に向けての努力を促し、もって派遣労働者の適正な派遣就業の確保に資することを目的とする。

 2 労働者派遣契約の遵守等

 イ 労働者派遣契約の遵守

 派遣先は労働者派遣契約の定めに反することのないよう

 <1> 労働者派遣契約で定められた就業条件を当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他派遣労働者の就業に関わりのある者(以下「関係者」という。)に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に掲示する等によりその周知の徹底を図ること

 <2> 定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業状況が派遣契約に反していないことを確認すること

 <3> 派遣労働者に直接指揮命令する者から、定期的に当該派遣労働者の就業状況について報告を求めること

 等派遣先事業所の実態に即した適切な措置を講ずること。

 ロ 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認

 派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際して、派遣労働者の就業条件を当該契約において的確かつ明確に定めるために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件の内容を十分に確認すること。

 ハ 労働者派遣契約の解除の事前申入れ

 派遣先は、業務上の都合により労働者派遣の役務の提供を受けることが困難になりやむを得ず当該労働者派遣契約をその契約期間中に解除しようとする時は、派遣先事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うよう努めること。

 3 適正な派遣就業の確保

 イ 苦情処理体制の整備

  派遣先は、派遣労働者の派遣就業に関する苦情の適切かつ迅速な処理を図ることができるよう、苦情の申出を受けた場合における処理方法及び派遣元事業主との連携のための体制をあらかじめ定めておくこと。

 ロ 関係法令の関係者への周知

  派遣先責任者は、法に規定されている派遣先が講ずべき又は講ずるように努めるべき措置等の内容や法第3章第4節に定める労働基準法、労働安全衛生法等の適用の特例等の関係者への周知の徹底を図るために説明会の実施、文書の配布等の措置を講ずること。

 ハ 派遣元事業主との連絡体制の確立

  派遣先責任者は、派遣元の事業場で締結される時間外・休日労働協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについて派遣元事業主に情報提供を求めさせる等派遣元責任者との連絡体制を確立し、連絡調整を的確に行うこと。

 ニ 派遣労働者に対する説明会等の実施

  派遣先は、派遣労働者の受け入れに際し、説明会等を実施し、

 <1> 派遣労働者から申出のあった苦情の派遣先による処理方法についての説明

 <2> 派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生措置の内容についての説明

 <3> 派遣労働者が円滑、的確に就業するために必要な、指揮命令者以外の派遣先の労働者との業務上の関係についての説明及び職場生活上留意を要する事項についての助言等を行うこと。

 4 派遣先責任者の適切な選任

  派遣先は、派遣先責任者の選任に当たっては、

 <1> 労働関係法規に関する知識を有する者であること

 <2> 人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること

 <3> 派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限等を有する者であることなど派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めること。


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