無料職業紹介事業の許可基準

第1  法第三十三条第四項において準用する第三十一条第一項第一号の要件(申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること)
 事業を維持運営していくに足る資産又は財政的裏付けを有するものとすること。

第2  第三十三条第四項において準用する法第三十一条第一項第二号の要件(個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること)
 個人情報管理に関する判断
 求職者等の個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されているものとすること。
 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当し、これを内容に含む個人情報の管理規程を定めていることが必要であるものとすること。
(1)  求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
(2)  業務上知り得た求人者、求職者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
(3)  本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について求職者等への周知がなされていること。
(4)  個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する職業紹介責任者等による事業所内の体制が明確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
 個人情報管理の措置に関する判断
 求職者等の個人情報を適正に管理するための措置が講じられているものとすること。
 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要であるものとすること。
(1)  個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
(2)  個人情報の紛失、破壊、改ざんを防止するための措置が講じられていること。
(3)  求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者が求職者等の個人情報にアクセスすることを防止するための措置が講じられていること。
(4)  職業紹介の目的に照らして必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。

第3  法第三十三条第四において準用する法第三十一条第一項第三号の要件(申請者が、第三十三条の四(兼業の禁止)に規定する者に該当する者でないこと)
 申請者である法人又は代表者が料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業の名義人又は実質的にその営業を行うものでないこと。
 置屋業、割賦金融会社等上記に類する事業その他風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業、性風俗特殊営業等職業紹介事業との関係において不適当な兼業の名義人又は実質的にその営業を行うものでないこと。

第4  法第三十三条第四項において準用する法第三十一条第一項第四号の要件(第1から第3までのほか、申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること)に関する判断
 代表者及び役員(法人の場合に限る)に関する要件
 代表者及び役員(法人の場合に限る。)は、欠格事由に該当する者その他適正な事業遂行を期し得ない者でないこと。
(1)  法第三十三条第四項において準用する第三十二条に規定する欠格事由に該当する者でないこと。
(2)  外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
(3)  住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
(4)  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
(5)  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
(6)  虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
(7)  国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。
 職業紹介責任者に関する要件
 職業紹介責任者は、欠格事由に該当する者その他適正な事業遂行を期待し得ない者でないこと。
(1)  法第三十三条第四項において準用する法第三十二条の十四の規定により、未成年者ではなく、第三十二条第一号から第三号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
(2)  外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
(3)  住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
(4)  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
(5)  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
(6)  虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
(7)  料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業の名義人又は実質的にその営業を行うものでなく、また、置屋業、割賦金融会社等上記に類する事業その他風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業、性風俗特殊営業等職業紹介事業との関係において不適当な兼業の名義人又は実質的にその営業を行うものでないこと。
(8)  職業安定機関又は職業安定局長が指定する者の行う「民営職業紹介事業従事者講習会」を受講(許可又は許可の有効期間の更新の申請の受理の日の前二年以内の受講に限る。)した者であること。
(9)  国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。
 事業所に関する要件
 無料職業紹介事業を行う事業所はその位置、面積、構造、設備からみて職業紹介事業を行うのに適切なものであるものとすること。
(1) 位置が適切であること
 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど職業紹介事業の運営に好ましくない場所にないこと。
(2) 事業所として適切であること
 職業紹介事業に使用し得る面積が概ね20m2以上あること。
 求人者、求職者の個人的秘密を保持し得る構造であること。
 事業所名は、利用者にとって業務の範囲が分かりやすいもので、かつ、「無料職業紹介所」(国外にわたる職業紹介のみを行う場合にあっては「国際無料職業紹介所」)の文字を入れたものとし、かつ、職業安定機関と誤認を生ずるものでないこと。
 適正な事業運営に関する要件
(1) 申請者及び申請者の行う他の事業との関係に関する要件
 申請者が国又は地方公共団体でないこと。
 学校教育法に基づく各種学校にあっては、修業年限1年以上の生徒の定員数が40人以上、その専任教員の定員数が3人以上であり、かつ、設立認可後1年を経過したものであること。
 営利法人にあっては、無料職業紹介事業を本来の営利活動に資する目的で行おうとするものでないこと。
 申請者の存立目的、形態、規約等から必要かつ適当であると認められる範囲の職業紹介を行うものであること。ただし、各種学校にあっては、当該各種学校の修業年限6ヶ月以上の課程に係る卒業予定者、卒業生(卒業後3年以内に限る。)及び修業年限1年以上の課程に係る在学生のアルバイトの職業紹介を行うものであること。
 無料職業紹介事業を会員の獲得、組織の拡大、宣伝等他の目的の手段として利用するものでないこと。
 事業主の利益に偏った職業紹介が行われるおそれのある者でないこと。
 労働者派遣事業と兼業する場合にあっては、有料職業紹介事業の許可要件に準じて判断すること。
(2) 業務規程に関する要件
 職業安定法の次の各条文の内容を含む業務の運営に関する規程を有し、これに従って適正に運営されること。
 第二条(職業選択の自由)、第三条(均等待遇)、第五条の三(労働条件の明示)、第五条の四(求人の申込み)、第五条の六(求職の申込み)、第五条の七(紹介の原則)、第三十三条第四項において準用する第三十二条の十二(取り扱うべき職種の範囲等の限定)、第三十四条において準用する第二十条(労働争議に対する不介入)
 なお、この規程は第二に定める個人情報の管理規程と一体のものとしても差し支えないこと。
 名義貸しに関する要件
 他に名義を貸与するために、又は職業紹介責任者となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。
 国外にわたる職業紹介に関する要件
(イ)  国外における取次機関を利用する場合には、当該取次機関の利用について許可を受けたもの以外を利用するものでないこと。
(ロ)  国外における職業紹介を実施するに当たって申請書に記載し、又は届け出た国を相手先国として職業紹介を行うものであること。
(ハ)  出入国管理及び難民認定法等関係法令及び相手先国の法令を遵守して行うものであること。
(ニ)  求職者に対して渡航費用その他を貸し付け、又は求人者がそれらの費用を貸し付けた求職者に対して職業紹介を行うものでないこと。
 全国的又は広域的に組織を構成する公益法人及び労働組合等に係る留意事項
 全国的又は広域的に組織を構成する公益法人又は労働組合等であって、個々の支部等地方組織単位では職業紹介を常態として行うまでの実態がないと見込まれる等の場合には、当該地方組織単独では事業所に当たらないものとして、本部等中央組織に含めて許可して差し支えないものとすること。


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