スコールグループの終焉


 1997年の7月、スピリットチームとスコールグループはこれからの実験の方向性について長い間話し合っていた。そして8月、SPRメンバーに対して「これからしばらくはグループの四人だけで集中して実験をしたい」旨が通達された。その、誰も試みたことのない最終実験について詳しく述べた、スピリットチームのマヌの言葉を要約しよう。

「目的は、我々スピリットチームとあなた方の間、そしてそれ以上の次元間をつなぐ、完全な次元の扉を作ることです。これによって、各次元の知識・エナジーを行き来させたり、あなた方が愛する故人や我々と実際に出会う機会を作ることが可能になります。我々はどんなに疑い深い人でも納得させられるだけの、死後生存の証拠を作り出したいのです。しかし今まで一緒にやってきた実験で、すべての人に霊が存在することを示すのは不可能でしょう。それでもこの扉ができ、そこを通じて流れ込むエナジーを利用すれば、全人類の意識レベルを変える事ができるかもしれません。」

 前述のビデオ実験は、実はこの扉を形作るための予備段階でしかなかったのだ。1997年の暮れには、地下室の片隅でビデオカメラの前に置かれていた大きな鏡を通じて、異世界の住人がグループの地下室を訪れるようになってきた。チームが「エナジーの専門家」と呼んだ存在は、暗闇の中でロビンとサンドラの手を取り、その手を自分の顔に導いてくれた。そのときの感触によると「頭の毛はまばらで柔らかく、そして短く、鼻は大きくてかなり平べったい。肌はとても滑らかで、頬やあごの線は人間とは異なる」ということだ。それでも、霊が実体化し、スピリットライトでその全身を見せてくれるといった体験を何度もしているグループにとっては、この出来事はたいした驚きではなかった。だが、1998年に入って現れた存在たちには、グループもさすがに興奮した。

 その日、実験が始まると何かがあちこち動き回っている音が聞こえてきた。それから少ししてサンドラは自分の腕に優しく触れてくる存在を感じた。その感触は更に強くなってくる。彼女はチームの許しを得て、その存在の手足に触ってみた。

「このときには、その存在が私たちとはかなり異なった体をしているのがわかってきたわ。その脚をどのように形容したらいいのでしょう。脚と言うよりは付属器官と呼んだ方がいいかもしれません。象の鼻のように固く、先には吸盤のような手触りのものがついています。触ったときに温かかったのには驚いたわ。その彼、彼女かしら、とにかくその存在から、息を吹き出したり唇を打ち合わせるような音が聞こえてきたのよ。まるで我々に話しかけようと努力しているみたい。」

 この後、何種類かの存在が、スピリットチームの世界よりもずっと遠い次元から「完全な次元の扉」を通じて訪れるようになる。この実験が続き、科学者たちの監査にも堪えたなら、世界は変わっていただろう。ところが、チームとグループはこの絶頂期に、ある障害が起こり実験を止めなければならなくなった。

 1998年11月、スコールグループの関係者たちはロビン・フォイからファックスを受け取った。それによれば、なんと、未来からの干渉のために実験を続けることができなくなったというのだ。我々の時間軸の未来で、過去を探査する実験が始まった、いや、これから始まると言い直すべきか。その彼らが、チームとグループが次元の扉を開ける度に干渉して来るというのだ。その干渉によって音声・ビデオともに乱れ、ゲルマニウム受容機からでてくる甲高い雑音のためにアランとダイアナはトランス状態でいることができない。つまりスピリットチームと交信することが全くできなくなってしまったのだ。チームは完全に交信が不可能になる前に、他次元に住む時空の専門家を呼出して何とかしてもらおうとした。その存在、ヴァーレンヒーリックは最後に撮られたビデオ交信の中で「このような干渉は時空の法に反するとても乱暴な行為で、続けるのをこのまま認めるわけにはいかない。この問題を何とかするために、そちら側でも協力して欲しい。つまり実験を中断し、未来の彼らが干渉できる空間を作らないで欲しいのだ」と伝えてきた。

 それにしても「異次元の存在」、そして「未来からの干渉」とは。せっかく死後の世界の実在性を信じかけていた心を微塵に打ち砕いてしまう突拍子もない話ではないか。だが、この一連の出来事に対してモンタギュー・キーンはこう言った。

「最近のグループの変化は何かを変えるものではない。起きたことは、確かに起きたのだ。科学的調査が行なわれた事実は誰にも変えられない。もう少しいくつかの実験をやりたかったのは確かで、実験中止の知らせには正直言ってがっかりした。しかしスコールグループの実験は、これは私の個人的な考えだが、人間個性が死を超えて生き残ることを示す、今まででもっとも印象的な証拠を集めたのかもしれない。我々SPRの三人は、調査の成果であるスコールレポートを公表し、大勢の吟味の目に喜んでさらしたいと思う。」

 彼らの実験の余波は、グループが発行し続けている機関紙とともに世界に広がっている。現在、世界各地で彼らと同じような実験グループが立ちあがり、すでにスピリットライトが飛び回る段階まで進んだグループもいくつかある。これらの複数のグループたちが最終実験に成功したとき、世界は変わる。そして、そのときは着実に近づいている。


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