ビデオ実験

 1997年にはいってチームは、近々ビデオカメラを用いた実験をしたいと伝えてきた。1994年にカメラの使用が許されたとき、グループはビデオカメラも使用してよいかと尋ねた。チームはそれに対し、「5分だけなら撮影してもいいです。でも今の段階では、ビデオカメラのモーターによる障害が現れるかもしれません。」と答えた。翌週、グループは撮影を試みたが失敗に終わっている。それ以降、グループは何度か、いつになったらビデオカメラを使用できる段階になるのか、と問い続けてきた。そして1997年5月、ついにそのときが来た。

 新しい実験が始まった。プロジェクトアリスと呼ばれるこの実験はビデオカメラと鏡を用いる。始めの実験では二枚の鏡が置かれ、カメラのアイファインダーの光が二枚の鏡に反射してレンズに映るというセッティングになっていた。通常なら暗闇の中でファインダーの白い光がずっと輝き続けるだけだが、実際に取られたフィルムでは、その光は生き物のように大きさを変えながら脈動し、色もいろいろな色に変わり続けたのだ。またこのプロジェクトアリスの準備段階に記念すべき出来事が起きている。6月5日、新しいテープを入れたカメラのスウィッチが、室内の明かりを落とす前に入れられた。後でそれを再生したグループはテープの最初の部分に、微笑んでいる男性のはっきりした顔が映っているのを見た。この男が物理的に存在していなかったのは確かだ。つまり、これはグループにとって初めての、明かりがついている中で得られた映像となったのだ。


 プロジェクトアリスは第一段階の成功の後、鏡がひとつ取り除かれて第二段階へと進んだ。鏡に焦点を合わせたビデオに、だんだんといろいろな色の光が映り始めた。プロジェクトアリスでは、ビデオカメラと鏡は地下室の端のカーテンで区切られた一角に置かれ、グループはそれとは別にオーディオ実験を地下室の中央で行っていた。12月8日の実験で、グループは「West 3」と呼ばれる場所にいる存在からコンタクトを受けた。ゲルマニウム受容器を通して語られた内容によると、その場所の存在たちの何人かがこのビデオ実験に関わっていて、自分たちの送るイメージの色は、通常はブルーであるとのことだった。1998年1月30日の実験の最後に、スピリットチームはビデオの最初の方をよく見るようにと注意してきた。またチームの一人エミリー・ブラッドショーは、賭けを止めていなかったら今日の結果がよいものであることに半クラウン(イギリスの古い貨幣単位で1クラウンは5シリング)を賭けるのに、と言ってきた。若干話はずれるが、このエミリーが賭けをやめた理由が非常に面白い。

 スコールグループが一連の写真実験をしているときエミリーは、今日は絶対にいいものが写っている、と思うとすぐ調査に来ている科学者たちに向かって「そのことに半クラウン賭けてもいい」という言葉を口にした。しかし一度だけそれが外れ、何も写っていなかったことがあったのだ。その失敗の後、彼女はモンタギューのためにヴィクトリア朝時代の1890年製半クラウン銀貨を物質化し、二度と賭けをしなくなった。

 一度は外れたものの、エミリーの確信は今回も正しかった。その日、ビデオを再生したスコールグループは、ピンクや金の線が画面の上から下に走り、それがやがて四角いスクリーンのようになって、そのスクリーンが回転する中での人間とは似ても似つかない、遠い次元の存在が動いている姿を見たのだ。グループによって「ブルー」と名付けられたその顔は、我々のものとは異なっていた。

映像実験にしばしば映る「ムーヴィングライト」 「ブルー」。この映像は室内の明かりを点けている状態で得られた。

 明かりをつけた状態で鮮明な「ブルー」の顔が撮られた記念碑的なセッションの後で、プロジェクトアリスのセッティングはまた変化した。2月2日の実験で、スピリットチームは次のようなセッティングを要求してきた。

 3月28日、ハンス・シェファー博士をゲストに迎えたセッションにおいて、アランが近所で買ってきた45分の二本パックのテープが封を切らないまま博士に渡された。博士はそれを注意深く開封し、そのうちの一本を選んで日付と名前を書き入れた。地下室の端には、あらかじめ博士がグループに渡してあった彼自身のビデオカメラが三脚に固定されてあり、博士はその中にテープをセットし、明かりのついている中で録画ボタンを押した。5分間の瞑想の後、グループの四人と博士が順番に5分ずつ、カメラと鏡の間の椅子に座り、次に電気が消され、アランとダイアナがトランス状態になってスピリットチームの言葉を述べ始めた。マヌ、ブラッドショー夫人、パトリックというおなじみのメンバーが話す中で、とても遠い次元にいると自分を紹介する、新しい存在も現れた。彼が自己紹介しているその名前を、グループはあとからテープで何度も聞きなおしたが、誰もその正しい発音を聞き取ることができなかった。

 実験が終わり、明かりを消すときに完全に閉めたはずのカーテンが50cmほど開いているのにみんなは驚かされた。シェファー博士はテープを取り出し、サインと日付を確認すると、階段を上りフォイ家のリビングにあるビデオに差し込んだ。テープを再生すると早速、画面の右下に誰でもが認識できる顔が現れた。年のころは50代か60代、黒い髪はおでこが少し禿げ上がり、金属のフレームのめがねをかけている。この肖像は泡の中にあるように見える。たくさんの曲線が彩り豊かに動き回り、曲線のひとつがその泡に入り込むと二人目の顔が見えてきた。
 この後、ビデオ実験はオーディオ実験と組になり、ゲルマニウム受信器で得られる音声がビデオの音声入力端子につなげられることになった。再生されたテープでは、画面に映っている男の唇の動きに合わせて、その声が聞こえるのだ。

異世界の風景?



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