「台湾進城觀光的旅遊〜泰雅乃民」写真展


作品の解説

「我々の先祖をみんな日本人が殺した」
私は一瞬背中が凍りついた。はんちゃんも、一瞬で言葉を失った。なんてことだ!霧社事件の傷はまだ残っていたのだ!、このお父さんになんて言ったらいいのかわからない。しかし、何故かこのお父さんの顔も笑顔なのだ!どうして?なんだか余計解らなくなった。
(台湾おのぼりさんツアー 霧社・九族の謎編より)

春陽の集落で出会ったおじさんは日本語で私たちにそう言いました。
彼らの住むここ霧社で昔「霧社事件」という事件が起こり、沢山のタイヤルの原住民が大量虐殺されました。
本来なら日本人である我々を憎むはずが、彼らは笑顔で自慢の烏龍茶をふるまってくれたのです。そんな懐のでかい彼らを見て、私ははずかしくなりました。日本の犯した悲しい事件を知らずにこの地に足を踏み入れたからです。

*この作品はオンライン美術館「ペガサスアートフォーラム」に掲載されたものを再編集して再掲載したものです。


●関連資料

台湾地図 【麗しの島】
1544年頃と推定されているが、航海中のポルトガル人によって台湾が発見された。そのときの第一声が「Ilha Formosa!(イラ フォルモサ!)」だったという。ポルトガル語でイラとは島、フェルモサとは麗しいという意味、すなわち「麗しの島」である。しかし、ポルトガル人は航海の途中で美しい島を見つける度に「イラ フォルモサ!」と賞賛し、それを名としたので約10の同名の島があったという。いいかげんなものである。
しかし、現在ではこの「フォルモサ」は台湾を指す固有名詞であり、欧米あたりでそう呼ばれている。

【台湾】
正式名称「中華民国」。中国福建省の対岸に浮かぶ台湾本島(日本の九州よりもやや小さい)と澎湖列島および福建省馬祖島、金門島から構成される国家。しかし、中華人民共和国はこれを国家と認めていない。反対に中華民国政府は「中華民国」という国家はあくまで大陸(中華人民共和国の領土)も含めてひとつの国家であると主張している。台湾側の「国民党」、大陸側の「中国共産党」の二つの政党が台湾海峡を挟んで対立し、現在もそれが続いている。
総面積36,190I。人口2055.5万人(93年)。

【九族】
台湾の原住民の総称。大きく九の部族がいることからつけられた。別名「高山族(かおさんつー)」とも「山地同胞(さんてぃとおんぱお)」とも呼ばれる。
タイヤル族、アミ族、パイワン族、ブヌン族、ピュマ族、ルカイ族、ツォウ族、サイシャット族、ヤミ族である。
彼ら九族はマライ・ポリネシアン系の人種であり、漢民族よりも早く海より移住してきたと見られる。人口およそ32万人。

【タイヤル族】
泰雅族とも書く。人口約7万6千人。中央山脈北部に住み、30ほどの部族に分かれる。かつては部族間で「首狩り」をやっていた。

【霧社(むしゃ)】
台湾の中部にある海抜1148mにある高山の村。周囲を3000m級の山々が囲み、付近には台湾六大湖のひとつである碧湖をたたえる。山紫水明のこの地は高山茶(高地で取れるウーロン茶のこと)の産地として有名な平和な村であるが、日本統治時代にはたくさんの犠牲者を出した「霧社事件」と呼ばれる抗日蜂起事件が起きた地である。

【霧社事件】
1930年(昭和5年)10月27日、台湾の植民地化を進める日本に対して先住民族であるタイヤル族の部隊300名が起こした抗日蜂起事件。日本人を約140名殺害した。蜂起の原因は彼ら先住民族の生活習慣を無視した性急かつ強引な同化政策、官憲の圧政、搾取であると言われるが、結局のところ住む地を奪われた先住民たちの抵抗戦争であった。
日本当局はこれに対して、飛行機による爆撃や毒ガスにより鎮圧。これにより、タイヤル族の戦死者160名、自殺者140名、行方不明者400名、投降者500名とされている。


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