掲示板に投稿された夢の中から、心を癒してくれそうなものをセレクトしています。
(その9)





偽・神曲 by 夢遣い 2002/09/02


まず、寝入りばなに、ホテルのエレベーターで上へ上へとのぼる夢を見た。

階が上がるにつれてエレベーターの中は窮屈になる。どうも建物の設計ミスらしい。

最上階(23階)までのぼると、小さな子どもたちがいて、

学校は閉鎖され当分お休みだと言っている。

そこからさらに階段が3階分ほどあり、どの階にもフロアいっぱい布団が敷き詰められて、

小学校〜大学時代の先生たちが伝染病にかかったとかで寝かされている。

見ると、握りしめた拳の指の間から黒大豆みたいなものがびっしり生えてくるという奇病だった。

知っている先生を見つけては、慰め、励ましてそこを去った。

   *

目覚め間際に見た夢は対称的に、地下へ降りていく夢。

能楽堂の地下に浴場やカフェ、病院、結婚式もできる広大なフロアがある。

物足りないくらい「いい子」だったはずのかつての同級生(女性)が、

くわえ煙草で、コーヒーカップを載せたソーサーを持ちぶらぶら歩いていた。

かと思うと、先輩がテーブルに頬杖をついて恋人と語り合ったりしている。

わたしを案内しているのも実は意中のひとで(全部女性)、

同性愛的秘密を共有している先輩とわたしは互いにニヤッと笑って片手で挨拶する。

「うまくやってるね」というようなニュアンス。

   *

上へのぼったり地下へ降りたり、

なんだかダンテの「神曲」のようだと思うのだが、

どう考えても、上より下の方が、

天界より地界のほうが、

親密で暖かく心地よいのだった。



りんごの時間  by きっき  2004/04/21

 
高校生のわたしは

小雨の降る中、いわゆる原チャリで登校する。

なんとか間に合って慌てて教室に行くが、

その日の時間割が、まるで思い出せない。

隣の席の子に、「1時間目なんだっけ?」と聞くと、

「りんごだよ。2時間ぶっとおし」

という返事。

黒板の横の時間割表にも、「りんご」と書かれている。

皆、机の上に2個のりんごを用意し、先生の来るのを待っている。

私はなぜか青りんごを2個持っていたのでそれを机の上に出した。

やがて入ってきた先生は、サンタクロースそっくりの、年取った外国人だった。



シベリア鉄道  by 山川海子  2002/10/27

 
その風景はどこまでも、横へしかのびていかない。

両左右に、ではなく、私の「夢の画像」の中では、列車の進んでいく、その「右」方向にだけ、のびてゆく。

列車はどんどん進むので、風景は、出発地(夢の始まり)を起点に、永遠にのびてゆく。

無限だと思われるその風景に、しかし、広漠さはない。

そのシーンは、横へ伸びていくに従い、縦の方向に縮んでゆくようでもある。

どんどん細く、細くなっていく風景。


夢の中で、私はなぜか「シベリア鉄道」に乗っているのだと強く確信する。

雪は、石のように硬く凍って、大地に貼りついている。

もう絶対に、二度と連絡をとることのできない人のところへ、この列車に乗ってなら、会える気がしていた。

いや、この列車にのった目的はたったひとつ、その人に会うためだけなのだ。おそらく。

片道切符は、薄い氷の切片でできていて、どんどん溶けてゆく。

あの人には、果たして会えるのだろうか。

青白い雪原に、突如、真っ赤な信号機がぎらりと閃いて、

私はあの人には会えまいと、絶望したところで、目が覚めた。



海と月  by 夏海  2003/04/04

 
ディープブルーの深い海の中。

まわりには誰もいない。

魚と、大きな岩と、ゆれる緑の海藻の間を、

ひとりぽっちで泳いでいた。

少しさびしくなって、水面へ向かった。

すばらしく冷たい空気を吸い込んで、

あたりを眺めてみた。

夜だった。

暗い空に星が瞬き、明るい満月が静かに浮かんでいる。

そして、その向こうに

眠りおとずれぬ大都会の島があった。

私は、もう一度海に潜った。

前よりもさらに深く。

水の中で息ができることを不思議にも思わないで―。

ついに、白い砂が見えてきた。

ゆっくりと砂に足をつける。

さらさらとした、きれいな砂だった。

岩の間を、すりぬけながら泳ぐ。

色とりどりの魚が、静かに泳いでいる。

私は、ふいに哀しくなってきた。

つくった光が多い大都会は、

私たち人間の住みかであり故郷でもある。

星も見えぬ、空気も汚れている。

それでも故郷だ…。

暗い深い青の海は、

冷たく、優しく、そして美しい。

こちらのほうが、私の本当の故郷ではないのだろうか。

夢の中で、私は、立ちすくむ。

夜空には、まだ月が浮かんでいる…。



うたたねに  by 東条雷士  2004/07/09

 
蒼穹を背にした、純白の高峰。その頂。

 眩しいばかりの白と、

透き通っているのに仄昏いほどの蒼、

色彩はただそればかりなのです。

そのような場所を眺めおろしているのでした。

 見ました、かの頂にすわる白衣の女神を。

 髪は長く、

膝に和琴を据えて奏でていますが、

旋律が耳に届くことはありません。

 そのひとはこちらを仰いで、笑いかけてきました。

おそらく特別な意味などはない、

ただそこに小生が在るから笑みかけたというような、

それはそういう笑みでした。

 不思議な土の色に透けて、

そして力強い女神の双眸を覗きこんで、

ひどく近しい誰かによく似ていると思いました。

それが誰かは知り得ない、

けれど皮一重も隔てぬほど知り尽くした誰かなのだと感じました。

そう、彼女を女神だと思ったのと同じで、まったく理屈なく唐突に。

 よぎる旅先の風景のように、意味を探る間もなく目覚めました。

目的の駅までまだかかる電車の中で、指を無意味に動かして、

すりぬけてゆく余韻を追いました。


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