掲示板に投稿された夢の中から、心を癒してくれそうなものをセレクトしています。
(その7)





にほんの美  by なつこ  2002/12/04

 
近所の小さな公園に、

桜や梅が満開に咲き誇り、

薄桃や紅色があふれている。

うすく花びらの舞う空は、桜の色と重なっていたけれど、

木の肌の色に映えて美しかった。

*

一本の桜の木の下に

マシンがあった。

スウイッチを押すと、

ブン、と音がして、メーラーが立ち上がる。

*

「花曇の空、キレイです」

好きな人にメールを送った。



足音  by なつこ 2003/01/04

 
わずかに着崩したモノトーンのスーツ、

黒い短髪をスタイリッシュに決めた細身の男性、

背丈は172cmくらい

――が、カメラの前を通りすぎる。

映し出されたのは、彼のライトサイドの横顔で、

耳には

錠形をした銀色のピアスが重そうにぶら下がっている。


彼の目は、10m先にある部屋に注がれている。

どこかの

コンテンポラリーアートミュージアムの一室。


彼はいまから、その絵をみにいく。

何か真剣な色が、

わずかであるけれどもその瞳にあらわれている。


どんな絵なのかは、

彼にしか、

わからない。



人形  by  なつこ 2003/04/20

 
手足のスラリとしたアフロヘアの女性が

目の前のスツールに腰かけて、足を組んでいる。

顔は見えないけど、

美人だと思う。

煙草を吸っている。

場所はどうやら、ダンスフロアのまん中らしく、

廻転をやめたミラーボールが、

彼女の頭上で

光を失っている。

ミラーボールの表面の小さな鏡ひとつひとつに

彼女が映っているかを確認しようとしたけれど、

ぼんやりとした光に、逆に照らし返されただけだった。

「人の役に立つことを、するべきよ」

彼女は言った。

言ったあと、微笑んだようだった。

僕はあいまいに、うなずいた。

次の言葉を待ったけれど、

そこで目がさめてしまった。



ホリディ  by  あまね  2003/06/14

 
真っ白だ。

いや、そんな目の痛む色じゃない。

クリーム色……。もっと透き通っている。

まるで、

木漏れ日に からだ全体を包まれているような。

ただ、その色の中にいる。


そして音が、

いつまでも頭の奥底で響いている。

宝石が、聞こえない音を放つのと同じ。

形としての音が聞こえるわけではなく、

心の中にひっそりと入ってきて、ずっと鳴り続けている。


これは、誰かの違う世界なのかもしれない。


あまりにも優しく守られて、

孤独な思いの消えるのが分かる。


 でも、それを考えたら、おしまい。



待ちびと  by 東条雷士 2003/06/29

 
白い、白い階段の下に立って、

見上げていた。

少年が降りて来るのを待っていた。

 彼は盲目だと知っていて、

手助けしなくてはと思うのに、足は動かない。

 だが同時に、その人が確実にここへたどり着くと確信してもいた。


少年はゆっくりと降りてくる。

その片手に墨をふくんだ筆が握られている。


 両の腕を差し出して彼を待っている。
 
必ずたどり着くのだと、

幸福な思いで知っているのだ。



鍵  by あまね 2003/08/11

 
幼い少女がいた。

さんさんと降る雪の中、必死で走っている。

その手にぎゅっと鍵を握り締めている。

雪の冷たさに足は感覚を失い、もつれかけ、

それでも歯を食いしばって走り続ける。

誰かに追われているのだろう……。

必死に走ったその先に扉があった。

形はない。

漠然と、扉という認識だけが。

少女の握っている鍵は、

繊細な装飾を施されたアンティークだ。

扉が開いた。

少女は言う。

「絶対に、彼を助け出してみせる。扉はあるのだから」



僕らは繋がっている  by 波路  2004/01/25

 
時代は中世。

私たちは「街」の勢力に対抗する仲間だ。

人里離れた「泉」(イズミ)と呼ばれる所に身を潜めている。

ある晩、夢をみた。

御殿に新しい女天皇がいらっしゃる夢だ。

その事を仲間のひとりに話したら、「オレも同じ夢をみた」と彼は言った。

他の仲間も同じ夢を見ていたという。

私たちの心は、みな繋がっている。


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