パレスティナ歴史紀行

 世界中でパレスティナほど物騒なイメージの土地はない。この狭い地域に、ユダヤ人が作るイスラエルという国家と、アラブ人が作る自治政府(もう一方から見れば本当に取るに足らないほどちっぽけな)がある。肩が触れるほど近くに暮らしているこの2つの集団は、本当に恐ろしいことだが、50年間互いの存在すら認めずに、相手を完全に抹殺すべく、壮絶な殺し合いを続けてきた。今も続いている。一体どうしてこのようなことが起きてしまったのか、未だによく理解できない。

 古来、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地エルサレムを巡っては、様々な抗争の歴史があった。 しかし、20世紀に入ってからのユダヤ人とアラブ人の争いは、民衆レベルの激しい憎悪から生み出されたという点で、それまでとは大きく異なっている。このことを考えると、やりきれない思いでいっぱいになる。ユダヤ人とアラブ人は長い歴史の中で、圧倒的に多くの時間共存してきたのに・・・ どうしてお互いが自分達だけの正義を振りかざすようになってしまったのか? 問題を押し付けたキリスト教社会は、この底なし沼の争いをどうするつもりなのか?

 日本人は、古来四方を海に囲まれた天然の防壁の中でぬくぬくと暮らしてきているため、国境という言葉には鈍感である。また、民族問題の厳しさを身近に実感したこともない。そんな日本人の俺が正確に理解することは難しいかもしれないが、国や民族というものに肌で触れてみたいと思ったのが今回の旅をイスラエルに選んだ一つの理由である。

 また、もう一つの大きな理由としては、国や民族と重なるところもあるのだが、宗教とは何かということ考えてみたかったことがある。仏教徒というよりは無神論者に近い俺に、これもまた理解できるとは思えないが、この旅を通して宗教を知る上でのきっかけがつかめればと思い、エルサレムをはじめとして宗教史跡、街を歩く人々を見て、自分なりにいろいろ考えてみた。

 他にも、自分が憧れている地中海、シルクロード世界という切り口でパレスティナ地方を見てみたかったこともあった。ともかくこれからイスラエルへの旅に出発する。

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