朝     NO.14 蒼流レオナ

ある晴れた日の朝のコト、ルルーはいつものように目覚めた。
隣では、恋敵であり、今は良き魔導学校の同級生、アルル・ナジャが心地よさそうに眠っている。・・・、アルルの腕の中には愛しいサタン様のペット、カーバンクルが、よだれを垂らして眠っていた。
ルルーは少々、「きったないわねぇ」と思いながらも、声には出さなかった。アルルが起きてしまうからだ。
(ぐっすり眠ってる・・。寝顔はかわいいのよねぇ。あたくしほどじゃあないケド)
ルルーはくすっと笑うと、アルルにかかった毛布をかけ直した。
 ルルーにとって、アルルは愛しいサタン様を奪った憎い存在のはず。しかしルルーには、そんな気持ちはこれっぽちも−少しはあるかもしれないが−なかった。
 ルルーは、ヒトの気持ちを考えないとか、思いやりのない残酷なコではない。むしろその反対で、誰よりも他人思いで優しいトコロもある。(普段は隠しているが。)
だからこそ、アルルを妹みたいに思っているし、魔導学校のよきライバルとも思っている。
・・・いつか、アルルを超える魔導力を身につけて、サタン様に振り向いてもらうために、ルルーはこの魔導学校に入学したというもの。実際、使えるようになった魔法は「ルルースペシャル」ただ一つだが。
まあ、何も使えないよりかはまし、よね・・・多分。
そんなコトを考えていると、さっきまでの緊張がとけていくカンジがした。
(いよいよ今日・・・ね。魔導学校の期末試験は。)
外ではそれに答えるかのように、起床のチャイムがなった・・。

「ふわぁ〜あ・・・、あれぇ?ルルー、もう起きてたんだ。」
「まぁね。今日は大切な日だし。」
「そっか。今日は期末試験だもんね。」
そう言いながら、二人はパジャマから普段着に着替える。二人は女同士だし、初対面の他人でもないから気兼ねなしに着替えるコトができる。
実際、初めのコロは、「え〜!?アルルと一緒に着替えるの!?」と言っていたルルーであったが、今ではこういうシチュエーションもいいかもね。なぁんて思っている。
ルルーはスタイルがいいんだし、観られたら困るってワケじゃあないでしょ?というアルルの言葉もあったコトだし。
はぁ・・・・でも、もしココにいるのがアルルじゃなくてサタン様だったら・・・★き・・
「きゃ〜〜〜〜〜★そんなコト、ルルー照れちゃう!」
言いながら、ルルーはカーバンクルのほっぺをぎゅ〜っと伸ばしていた。
「ぐぅ〜!」
カーバンクルが悲痛の叫びをあげる。
「ル、ルルー、やめてあげなよ!かーくんが泣いてるよ!?」
しかし今のルルーに、アルルの言葉が聞こえているハズがない。ルルーは今ーミノタウロスいわくー 〜ああサタン様モード〜 にはいっているからだ。
「あ〜あ。かーくん、こんなに伸びちゃって・・・」
アルルは解放されたカーバンクル(らしき物体)を抱き上げると、真っ赤に腫れ上がったそれを痛々しく見つめた。
「ぐっ、ぐぐっぐ〜★」
「か、かーくん・・・そう、よかったね・・」
どうやらカーバンクルは、この格好が気に入ったようである。まったく、訳の分からない物体だ・・。
とうのルルーは、赤くなりながらほっぺに手をあててイヤイヤをしている。
・・・全く・・・。

三人(二人+一匹?)がそれぞれ好き放題やっていると、二度目のチャイムがなった。そう、この予鈴までに教室に行かないと、アウト、つまり遅刻と見なされるのだ。
「あっ、ヤバイよルルー。完璧に遅刻だよ!」
「ええっ!?試験の日に遅刻だなんて・・・!とにかくアルル、急ぐわよ!」
「うん!、って!?ちょ、ちょっと待ってよルルー!!そ・・!」
しかしそんなアルルの言葉も聞かず、ルルーは超特急で部屋を飛び出した・・・。

〜続く〜


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