- 洞川(どろかわ)温泉のバス待合室の外に掛かっていた温度計は11度を示していた。少し肌寒かった。登山届をポストに入れてから歩き出した。温泉街を抜け、「ごろごろ水」で水を補給した。
- やがて林道の登りになった。周囲は植林で暗い雰囲気だった。少し霧雨も降ってきた。五番関トンネル入口にある登山口にはバイクが停めてあった。
- 登山道に入り五番関まで登って奥駈道に出た。植林に囲まれ寒々しい場所だった。山上ヶ岳側には女人結界の門が有り、ここからは女人禁制で有る事を示していた。テントを張っていると、山上ヶ岳から山慣れした感じの男性単独行が下山してきた。文字を書いた鉢巻をしていたので、しばしば山上ヶ岳に登っている様子だった。「バイクの方ですか?」と尋ねると、「ああ、まだ有りましたか。良かった」と言われた。「はい、私が通った時にはですけれど」と返すと、「朝は雨が降っていて、やむのを待って8時頃に出発したんです」との事だった。水場は大天井ヶ岳(おおてんじょうがたけ)の巻道を20分程歩き、下から水音が聞こえた場所で1-2分下ると有った。
- 翌朝はテント内が3度まで冷え込んだ。外は冷たい風が吹き、冬一歩手前の感じだった。しっかり防寒して暗いうちに出発した。
- 空が白んでくると東の山のシルエットが見えた。やがて明るくなり、朝日に照らされた大天井ヶ岳山頂に着いた。
- 山頂からは岩場の下りになった。正面にこれから向かう吉野方面の大峰奥駈道縦走路が長々と見えた。下りが終わり大天井ヶ岳の巻道と合流した所が二蔵(にぞう)宿小屋だった。新型コロナウイルスの影響で扉は固く閉じられていた。
- 縦走路は左側が杉植林、右側がブナなどの雑木林の事が多かった。ピークは巻く事が多かった。次の足摺宿には入ることができた。中は土間になっていた。
- 四寸岩(しすんいわ)山への途中で「山上ヶ岳まで行く」との若い単独行者とすれ違った。四寸岩山は左側が伐採されていて西から南にかけての展望が良かった。振り返ると山上ヶ岳が見えた。いったん落ち葉の多い急坂の下りになり、やがて緩い植林帯の下りになると林道に出た。
- 林道を少し進んだ後、再び山道に入った。一つピークの右側を巻いた後、少し登ると吉野山の最奥の山、青根ヶ岳に着いた。この日、ここまでに出合った登山者は一人だけだった。山頂は右側2/3が植林に覆われていた。残りの左側1/3は広葉樹で黄葉がきれいだった。つがいの鳥が黄葉の中を飛び回り、やがて去って行った。
- 青根ヶ峰から下って行くと金峯神社に着いた。観光客が7-8人いた。次の高城山休憩所は南側の展望が良かった。「上の千本」のベンチで休憩後、黄葉を見ながら車道を下っていくと吉野の門前町に着いた。平日の割には大勢の観光客がいて賑わっていた。土産物屋を横目で見ながら近鉄吉野駅まで下り、今回の山行を終えた。
- これで何回かに分けて歩いた奥駈道の踏破が完了した。