- 袋駅から歩き始めたときは、まだ暗かった。交通量の多い国道から左折して舗装された林道に入った。谷間の道だった。新幹線の高架の下をくぐった。静かな林道だった。カラスの鳴き声がした。時折、谷間の後方から新幹線の通過するゴーッという音が聞こえた。林道は、やがて未舗装の道になった。しばらく進むと人家が有った。前の広場で小休止した。
- 林道の終点は標高225mだった。川の対岸にも比較的新しい林道が有り、林道終点で合流していた。山道に入ると、最初の少しだけは林道跡の登りだった。林道跡が無くなる頃、炭焼きの跡を見た。
- あまり歩かれていない踏み跡程度の道を登っていった。赤テープがあちこちにあった。標高400m地点でいったん沢を離れ、右手の急斜面に取り付いた。岩場の登りでロープを頼りに登った。50mほどで登りは終わり、斜面を横切る道になった。やがて元の沢沿いの道に出た。
- 沢沿いの道は最後にロープの急斜面を登って林道に出た。一休み後、林道を左手に15mほど登ったところから再び標識に導かれて山道に入った。急坂から斜面を横切る道に変わると、やがて道の合流点に出た。標高570m地点で女岳との鞍部の少し上だった。合流点からは尾根上のよく踏まれた道になった。急坂でロープが付けられたところも有った。
- 最後の岩の多い所を登り切ると山頂に着いた。南側と東側の展望が良かった。西側には少し下がると祠が有った。祠の先は絶壁になっていて眺めが良かった。空気が霞み、海岸線がかろうじて見える程度だった。最高点に戻り昼食休憩にした。夫婦の登山者が3組、相次いで登ってきた。そのうちの一組に「手袋を下に置き忘れていませんか」と教えてもらい祠の前に手袋を置き忘れていたことに気がついた。
- 下りは先ほどの合流点まで戻り、少し進んで鞍部に出た。十字路になっていて正面が女岳だった。女岳は樹林に覆われているとのガイドブックの記載のため、行くのはやめにして、そのまま右折して下山路に入った。植林帯を下っていくと林道の登山口に出た。
- 林道をのんびり下った。振り返ると矢筈岳がよく見えた。車道に出て、湯の鶴まで歩いた。
- 湯の鶴からの予定のバスは休日が運休だった。タクシーを呼んで新水俣駅へ戻った。