- 上野原駅前は広いバスターミナルになっていた。乗るバスが分からず、うろうろしていると、通りかかったバス会社の人に「どこ行きに乗るんですか」と聞かれた。「無生野(むしょうの)です」と答えると、「このバスです」と教えてくれた。
- バスに乗り込むと、教えてくれた人が担当の運転手だった。「どこまでですか」と聞かれたので「大地(おおち)までです」と答えた。バスの乗客は他に二人だけだった。親切な運転手で、下車時には「次が下りるバス停ですよ」とわざわざ教えてくれて、バス停の少しだけ手前の登山口の真ん前で下ろしてくれた。
- 舗装路の急坂を登り始めるとすぐにキャンプ場が有った。管理人がいたので「おはようございます」と言うと、「山登りですか」と挨拶された。
- キャンプ場からは荒れた林道になった。左手奥に山頂部を雑木林で覆われた目指す矢平山が見えた。
- やがて舗装された車道に出た。車道を一登りで大地峠トンネル入口に着いた。トンネル手前に登山道の入口が有った。車が一台駐車してあった。
- 杉植林の中の登山道を登り始めた。鹿に皮を食べられるのを防止する目的で、木の幹には紐が巻き付けられていた。植林が終わるとアカマツの林になった。
- 稜線まで登ると風が強くなった。最初は稜線を右折して矢平山とは反対側に進んだ。旧大地峠からは倒木が多くなった。
- 登り着いた甚之函山は植林に囲まれていた。木の間からは道志の山々が見えた。一休み後、稜線に出たところまで戻り、今度は反対側の矢平山に向かった。こちらも少し倒木が有った。
- 広々とした矢平山山頂は南側が雑木林だった。北側は植林だった。風が少し有った。風の少ない東寄りに行き、落ち葉の敷き詰められた地面にシートを敷いて昼食休憩にした。落ち葉は5cm位積もっていて、ふかふかで気持ちよかった。木はすっかり葉を落とし日が差して暖かだった。木の間に見える道志の山々の上には富士山の頭が白く見えた。食事が終わるとコーヒーを飲んでくつろいだ。コーヒーを入れたカップを落ち葉の上にそっと置くと、カップは半ば落ち葉に埋もれそうになった。
- 山頂からの下り始めの緩い坂はすぐに終わり、急坂の下りになった。岩場でロープが付いていた。丸ツヅク山との鞍部まで急坂は続いた。周囲は雑木林だった。登り返した丸ツヅク山も樹林に囲まれていた。
- 丸ツヅク山からの下りで少し左に進みすぎて登山道を外してしまった、GPSで確認して右寄りに修正して登山道に戻った。右が雑木林、左が植林の尾根の急坂を下って行くと寺下峠に着いた。
- 寺下峠からは、しばらく緩い下り坂の後、急斜面をジグザグに下る道になった。ロープが取り付けられていた。20m位下をイノシシが2頭走って行くのが見えた。
- 小鞍部からは斜面を横切る道になった。ロープの付いた箇所が有った。途中から水道ホース沿いの道になった。
- 最後に水道施設を見ると登山口に出た。この日、山中では誰にも会わなかった。
- 車道を歩いて梁川駅に向かった。月が山の端にかかりそうに見えた。長い橋で桂川を渡り、国道を通って駅に着いた。待合室は無人駅とは思えないほどきれいだった。