- 三之瀬に着いたときは雨が降っていた。昼食を車の中でとっているうちに、雨が小降りになったので出発した。30分も歩くと再び本降りになりレインウェアを着た。将監小屋には濡れねずみになって着いた。宿泊者は5人だった。まきのストーブにあたって衣類を乾かした。素泊まりにしていたので米を炊き、お酒を飲みながら夕食にした。
- 翌朝、雨は上がっていた。回りの山々にはガスがかかっていた。朝の新鮮な空気を吸いながら屋外で朝食をとった。
- 昨夜の雨で草木が濡れていたのでレインウェアを着て出発した。山ノ神土からは縦走路を離れ、少し笹のかぶった樹林帯の道を和名倉山へと向かった。濡れた笹にレインウェアが役立った。道はしっかりと踏まれていた。水場を過ぎると笹原になり展望が開けた。雲取山や富士山が見えた。笹原には鹿の通るけもの道が縦横に走っていた。
- 東仙波手前のピークは少し岩場になっていた。この付近にはアセビが咲いていた。シャクナゲの木も多かった。東仙波を過ぎて次の登りにかかると、ダケカンバの疎林になった。時折、西側の展望が開け、谷の向こうに白い山が見えた。地形図で確認すると南アルプスだった。しばらく進むと秩父湖から登ってきた学生5人組とすれ違った。ところどころ、かつての伐採で使われた錆び付いたワイヤが放置されていた。
- コメツガ、シラビソ、ダケカンバなどの森を進んで行くと、秩父方面への分岐が2箇所あった。この付近は地形の特徴が乏しく、現在地を判別しにくかった。分岐を過ぎると千代蔵ノ休場と呼ばれる開けた斜面に出た。苗木のような小さなカラマツに新緑の葉がきれいだった。
- 樹林の間の狭い道を通っていくと、山頂に付いた。わずかの切り開きの中に日が差し込んでいた。ツエルトを敷いて腰を下ろし昼食とした。昨日のウイスキーの残りを飲み、お茶を沸かしてくつろいだ。
- 山頂を出発する頃にはガスが出てきていた。帰りは縦走路まで往路を戻った。時折、樹林を出て見通しの利くところが有ったが、唐松尾山がかろうじて見える程度で展望は思うように得られなかった。縦走路から三之瀬へと標高が下がって、ようやくガスが晴れた。カラマツの新緑やヤマザクラがきれいだった。三之瀬の間近で雲取山から来た8人組に抜かれた。この日、山中で会ったのは結局2組だけだった。