- 奥多摩駅からのバスの乗客は9人だった。途中で全員が下り、終点の鍾乳洞バス停で下りたのは一人だけだった。良い天気だった。林道を歩き始めた。
- 八丁橋には車が1台駐車してあった。橋を渡ったところにゲートが有った。ゲートの手前から山道に入った。急な斜面にジグザクに山道が作られていた。ところどころ石垣で道が崩れないよう整備されていた。岩場を横切るところにはロープが据え付けられていた。ロープの所から少し登ると日なたに出た。紅葉がきれいだった。
- 尾根に出ると勾配は緩くなった。茶色の葉っぱを付けた広葉樹の森だった。登るに従い葉を落とした木が増えてきた。登山道には落ち葉が敷き詰められていた。カサカサと足音をさせながら登って行った。やがて、小さい祠が三つ有った。一番上の祠は壊れていた。風が冷たかった。
- 雨量計の横を通るとすぐに神社が有った。建物は壊れかけていた。神社からはしばらくは右手が桧の植林になっていた。
- 急坂を登り終えると標高1355mの丘に着いた。葉を落とした広葉樹に囲まれていた。鳥が鳴いていた。少しおなかがすいたのでおにぎりを1個食べた。休んでいる間にテントを持った70歳くらいの単独行とすれ違った。
- 更に登って行くと尾根は狭くなった。カルスト地形のような白い岩が多かった。一部はゴジラの背のようにギザギザの尾根になっていた。70歳くらいの単独行が下りてきた。雲取山から来たとの事だった。
- 勾配が緩くなってくると山頂直下の小屋に着いた。小屋の前は木が刈られ富士山が正面に見えた。小屋から少し登ると山頂の神社に着いた。神社の周りだけ桧が植えられていた。山頂周辺には誰もいなかった。右手の斜面は雪がまだらに残っていた。山頂西側の平坦地で倒木に腰を下ろしながら一休みした。いつの間にか曇り空になっていた。昼食のおにぎりを3個食べ、ポットのお湯を飲んで体を暖めた。葉を落とした木の間からは雲取山が見えた。花も咲いていないのに白いシジミチョウが4匹舞っていた。
- 下りは往路を戻った。落ち葉のクッションは膝に心地よかった。最初の下りでは鷹ノ巣山に向かって歩く感じだった。最後の急斜面は、日が陰っても紅葉がきれいだった。登山道入口には行きとは異なる車が1台停まっていた。後は林道をゆっくりとバス停へ戻った。
- 鍾乳洞バス停でバスを待つ間に体がすっかり冷えてしまった。この日、出会った登山者は、登りですれ違った二人だけだった。