- 満員のバスは、ほとんどの乗客を大垂水で下ろすと、一人だけになった乗客を乗せて走り去って行った。大垂水峠の歩道橋を渡って山道を歩き始めた。今回は山岳会の山行で21人の団体だった。80歳代も半ばになろうかという会の最長老A氏も参加していた。A氏は久々の参加で、今年初めての山登りとの事だった。21人はA氏を後から2番目、サブリーダーのB氏を最後尾に長い列になって歩いて行った。
- 登山道は斜面を横切る道から尾根の道へと変わっていった。周囲は広葉樹林だった。次々と登山者とすれ違った。前方に山が見えたところで一休みした。風がさわやかだった。更に尾根を登り平坦になった標高610m地点で一休みした。周辺にはイカリソウが咲いていた。
- 次の峰が大洞山だった。ベンチとテーブルが有った。木に囲まれて展望は無かった。小休止しただけで出発した。更に緑の中を登り下りするとコンピラ山に着いた。ベンチに座って昼食休憩にした。木陰で涼しかった。
- コンピラ山から見晴台まではヤマツツジ、キンラン、ジュウニヒトエ、ホウチャクソウが咲き、春を楽しみながらの山歩きになった。見晴台からは津久井湖が見えた。あいにくと丹沢の山々は雲の中で見えなかった。最初は余裕のあったA氏も中盤を過ぎると休むたびに荒い息をハーハーさせていた。ヘビースモーカーらしいA氏は、休むごとに煙草を1本吸っていた。それでも、A氏は山登りの後の温泉とビールを楽しみにしているらしく、頑張って歩いていた。
- 緩い登り下りを西山広場へと向かった。途中にはホタルカズラが咲いていた。西山広場にはベンチが有った。ベンチ周辺には毛虫が多くいた。次の三沢峠まではヤマツツジがきれいだった。
- 三沢峠からは林道の下りになった。リーダーから「ここから林道なので今日の山登りはここでおしまいです」との案内があった。A氏が遅れだしたので、つきあってゆっくり歩いた。途中でA氏は転んで顔を怪我してしまった。A氏は「XX会(山岳会の名前)もこれで最後だな」とつぶやきながら何とか立ち上がった。梅ノ木平に出た所でタクシーを呼んで高尾山口駅へ戻った。
- 駅で車から降りるとA氏は「風呂に入ってビールを飲んでから帰る」との事だった。唖然とする我々にサブリーダーB氏が「仕方がないので今日は最後までつきあいます」と笑いながら言った。