- 武蔵五日市駅からのバスの乗客は20人ほどだった。乗客は次第に減り、我々の他に終点の藤倉で下車したのは年配の男女二人組の登山者だけだった。行き先を尋ねると同じ「シンナソーを登る」との事だった。「けっこう登る人がいるんだな」と思った。少し雨が降ってきた。二人組はバス待合室の屋根の下で準備する様子だった。「お先に」と声をかけて出発した。
- 河原に下りて沢歩きの準備をしている間に本降りになった。木の下で雨を避けながら小やみになるのを待った。木の下でも雨はたくさん降ってきたのでレインウェアを着た。やがて少し小降りになったので出発することにした。二人組は出発を見合わせているのか、まだ河原には下りてきていなかった。
- シンナソーに入ると最初から急流で滝の多い登りだった。2-3mの滝が次々と現れた。靴の摩擦を効かせながら登って行った。
- 軽快に登って行くと、やがて3段10mの滝に着いた。ロープを出して順番に登ることにした。Aさんに先に登ってもらった。途中に支点が有ったのでシュリンゲとカラビナを使ってロープを確保した。Aさんが登り終えてから登り始めた。下部は滑りやすくて少し苦労した。途中でシュリンゲとカラビナを回収した。上の方は比較的楽だった。登り切ったところで一休みした。雨はほとんどやんだのでレインウェアを脱いだ。
- 休憩後、再び登り始めた。すぐに右手に崩壊地が現れた。水は伏流になっていた。崩壊地を過ぎると右側は植林になった。しばらく進むと伏流は終わり再び水が流れ出した。
- 滝の多い流れを登って行くと3段15m滝に着いた。ここもロープを使うことにした。いったん最初の段を二人とも登り、続いて中段、上段をAさん私の順に登った。中段は少し狭く、背中をこする感じだった。上段は傾斜がゆるくなり手がかりも多くて容易だった。登り終えて難所が終わり、ほっとして休憩した。
- 休憩後は、容易な登りが続いた。4mほどの滝をいくつか越えると、後は緩い流れになった。植林の倒木が多かった。
- 二俣まで登ると水はちょろちょろになった。水を補給した。左俣を少し登り、登りやすそうな所で左手の稜線に向け斜面を登った。
- 15分ほど登ると稜線の登山道に出た。すぐ右上には登山道の標識が有った。登山靴に履き替えた。結局、ここまで二人組には追いつかれなかった。
- 登山道をゆっくりと下った。標高640m地点まで下ると古いベンチが有ったので座って一休みした。天気はいつの間にか良くなり青空が見えてきた。ミンミンゼミが鳴いていた。晴れたと思ったら不安定な天気らしく遠くから雷の音が聞こえてきた。
- 最後は整備された階段を下り藤倉バス停に着いた。約1時間の待ち時間があった。たっぷり休み、服がすっかり乾いてからバスに乗り込んだ。