- 下市口までの近鉄特急からは、田んぼのあぜ道にヒガンバナがたくさん咲いているのが見えた。下市口からのバスは13人の乗客だった。途中の天川川合で大半が下車し、洞川(どろがわ)温泉に着いた時は3人になっていた。バス待合室横のポストに登山届を提出して歩き始めた。曇り空だった。
- 温泉街を抜けると静かな車道の登りになった。途中の「ごろごろ水」では10台ほど車が停まっていてポリタンクに水を汲んでいた。毛又(げまた)橋で直接山上ヶ岳へ向かう道と分かれると、舗装された林道の登りになった。周囲は杉の植林帯だった。
- やがてトンネル手前の登山口に着いた。あずまやとベンチが有った。休んでいると車がやって来た。登山口の様子を見に来た60歳位の夫婦だった。挨拶して、これから上に登る事を伝えると。「今年3件ほど事故が有ったので、きーつけてね。」と言われた。
- 岩のゴロゴロした登山道は少し登りにくかった。一部にロープも有った。登り着いた五番関は短い草の生えた幕営適地だった。山上ヶ岳方面の道には「女人結界門」が有った。テントを張った。水場は山上ヶ岳方面とは反対側に5分程下った所に有った。チョロチョロで3リットル汲むのに10分かかった。
- 夜の間ににわか雨が数度降ったが、出発時は星空になっていた。ランプを点け女人結界門をくぐって大峰奥駈道を南へ歩き始めた。最初は山の斜面を横切って進む道だった。稜線に出た所で一休みした。明るくなってきたのでランプを消した。休んだ所から一分ほど進むと鍋冠行者堂が有った。
- 稜線はブナ林で、心地よい風が吹いていた。朝日が横から差してきれいだった。次第に青空が広がってきた。北側の展望が開けた所では遠くに大阪方面のビル街が見えた。
- 洞辻茶屋で洞川温泉から直接登る道に合流した。すっかり晴れたので、サングラスを付け、帽子をかぶった。
- 洞辻茶屋からは、たくさんの石碑や静まりかえった茶屋を見ながら登った。鎖の付いた岩や木の階段は濡れていて滑りやすかったので注意して登った。途中で霧が出てきたが、すぐに晴れた。
- 山上ヶ岳山頂に着いた。登山口を出て以来、ここまで誰にも会わなかった。山頂にも人の気配は無く、宿坊は固く扉を閉ざしていた。立て札に「9月23日まで令和記念の開帳をする」ことが書かれていた。一週間前までは賑わっていたらしかった。宿坊裏の最高点に向かった。途中の笹原からは、稲村ヶ岳方面の展望が得られた。最高点には三角点が有り、木の間から大普賢岳が見えた。
- 山上ヶ岳からの奥駈道はカエデの多い稜線だった。少し紅葉が始まっていた。水音が近づいて来ると小笹ノ宿に着いた。水量の多い水場が有った。祠が有った。苔の生えた岩が多かった。
- 小笹ノ宿からは、少し登った後、緩い下りが続いた。ブナやカエデ、苔の森だった。阿弥陀ヶ森分岐で「女人結界門」をくぐった。奥駈道を大普賢岳を目指して歩いて行った。