- ホテルの朝食を食べて出発。ロープウェイ山頂駅では、ハーネスなどの準備に少し手間取った。
- ブライトホルンとの分岐までは平坦な雪原歩き。高所順応が不十分でツアーの2パーティに抜かれた。分岐を過ぎるとクレバスが多く、トレースはところどころでジグザグになっていた。
- 雪原が終わり、左からブライトホルンの稜線が迫ると、トレースはいったん下り気味に右に巻いて進んで行った。岩が左から迫って来たあたりでは、雪が凍結していた。アイゼンを効かせて通過した。最低地点からポリュックスの南西岩稜基部までは、ゆるい登りだった。息が上がり、いっこうに足がはかどらなかった。
- 岩場の基部にはちょうど下りてきた人が休んでいた。基部取付の凍結した雪面を登ると南西稜の登りになった。そのままアイゼンを付けて登っていたら、下りてきたパーティのガイドと思われる人に「ノーアイゼン」と言われた。確かにアイゼンを付けたままでは登りにくいので外すことにした。
- 岩場は登るに従い難しくなって行った。最も急な所には鎖が有った。剣岳のカニの縦ばい、横ばいを難しくした感じだった。最初の岩をトラバースする鎖は、足場と鎖の間隔が有りすぎ、体が伸びきって苦労した。次の垂直な鎖は力ずくで登った。悪戦苦闘して岩場を通過するとマリア像があった。
- マリア像からは山頂が目と鼻の先に見えた。目算で残り標高差100m。そのまま登ろうとしたら雪が固いのでアイゼンをつけることにした。アイゼンを付けている間に、岩場での興奮状態がおさまってきて冷静になってきた。このまま登ると16:20のロープウェイ駅の最終時間に間に合わないと判断し、登頂を断念することにした。小休止して回りの山の写真を撮った後、下山を開始した。
- 下りでは鎖場のところで2パーティとすれ違った。登り優先で待たされたので20分近くロスした。岩場の基部には先程のパーティのものと思われるストックが雪面に刺して有った。
- クライネマッターホルンへの帰路、最低地点付近では縦走と思われる数パーティとすれ違った。午後になってもこの付近の雪面はところどころ凍結していた。
- 最後は、長い雪原をあえぎならロープウェイ駅へと急いだ。駅の通路扉で、我々に気付いた係員が、「アレ!アレ!」(英語ならGo! Go!)と叫んでいた。扉を閉める時間(16:20)を5分延長してもらい、何とか間に合った。暗いトンネルを小走りで走り抜け最終ロープウェイに乗り込んだ。息をはずませてロープウェイの床に座り込む我々に、声をかけたそうにしていた日本人らしき中年女性も、結局遠慮して声をかけて来なかった。