- 猿ヶ京からのタクシーは車道に雪が積もっていたので徐行して走った。川古温泉手前の林道ゲートでタクシーを下りたときは雪が降っていた。ゲートの脇を通って林道を歩き出した。積雪は7-8cmだった。先行者のスキーの跡が有った。
- 林道途中のダム脇で積雪が増えたのでワカンをつけた。やがて3人組のスキーヤーとすれ違った。行き先を告げると、「自分たちは林道を別の方へ進んだ」との話だった。林道を更に登っていくと、地形図と比較しておかしい事に気がついた。分岐をスキー跡につられ左に入ってしまっていた。引返して正しい道に入った。30分ほどのロスだった。
- 千曲(せんげん)平の赤テープのところで林道を離れ植林帯に入った。平坦地が終わり尾根の末端に出ると雑木林になった。標高1000m位まで登るとブナが出てきた。粉雪が積もっていて足が膝下10cmくらいまでもぐった。粉雪の下は固い雪なので積雪の割には順調に登る事ができた。
- 標高1370m地点まで登るとクロベが生えて所々平坦になった場所が有った。テントを張ることにした。最初15cm位の深さまで雪を掘って整地した。ところがいざ設営しようとすると強風が吹いてきたので、更に20cmほど掘り下げることにした。結局設営まで50分程かかってしまった。今回は冬用の外張りを付けた。
- 翌朝の室温は外張りの効果で4度までしか下がらなかった。雪は降り続き、テントの壁は下から40cmほどまで雪で埋もれていた。テントに余分な荷物を置き、ワカンを履いて出発した。
- テント場から少し登ると標高1410m地点の岩場に着いた。岩の右側をラッセルしながら登った。慎重に登ったので通過に35分かかった。岩場を過ぎるとブナなどの広葉樹が再び多くなった。新雪のラッセルは時には腰までの深さになった。先頭を交換しながら1時間に100m登るペースでゆっくりと進んだ。1560m付近からは木が少なくなってきた。
- 木の無い急坂を登って行くと、ようやく勾配がゆるくなり、山頂部に着いた。たてに細長く、先端近くが一番標高の高い地点だった。雪が降り続き、視界は200-300m程度だった。高度計で確かに山頂であることを確認した。
- 山頂からテント場までの下りは行きのトレースを使って、とても歩きやすかった。樹林帯まで下ると、木の幹には行きには気がつかなかった赤ペンキが頻繁についていた。岩場の横を巻くところはピッケルを使って慎重に下った。
- テントを回収して、しばらく下ると天候が回復してきた。サングラスを付けた。標高1000m以下になると次第に雪が重くなってきた。表面の雪だけが剥げ落ちそうになり何度か転びそうになった。千曲平からの林道ではワカンに雪がくっつき足が重たかった。ダムの横でワカンを脱ぐと急に足が軽くなった。ダムから下の林道では雪はほどんど融けていた。林道ゲートでタクシーを呼んだ。
- 猿ヶ京でバスを待つ間に近くの酒屋で買ったビールで祝杯を上げた。