- 湯村温泉のバスターミナルにはタクシー専用の電話があった。タクシーを呼び、一番奥の青下(あおげ)集落まで行った。集落で出会った人に「おはようございます」と挨拶をしながら登り始めた。
- 登山道は30分も登ると雪で分かりにくくなった。小さな谷沿いになると木道が敷設されていた。半分雪に埋もれた木道を進んでいくと、やがて沢の二俣に出た。登山道がどちらに向かっているか分からなくなったので地図で確認し、正面の尾根をまっすぐ登ることにした。尾根は雑木に覆われ雰囲気が良かった。広くて緩い尾根で、逆方向だと進む方向が分かりにくそうだった。途中で直角に横切る熊の足跡が有った。
- 上ノ山高原は1mくらいの雪に覆われた広々したところだった。スキーヤーが一人下りてきた。雪が降り出したのでトイレの軒下に入り休憩した。携帯で天気予報を聞いた。降水確率10%で大崩れしない事が分かったので、このまま進むことにした。
- 谷沿いの斜面をピッケルを使ってトラバースしながらショウブ池に向かった。ショウブ池からは美しいブナ林の登りだった。やがて上ノ山高原から迂回してきた道路と出会った。天気が回復して青空がのぞきだした。道路を離れ尾根を再び登って行くとやがて小ヅッコ小屋に出た。小屋は1階部分が雪で埋まり2階から入るようになっていた。中はきれいに整頓され、ここで泊まっても良さそうな感じがした。
- 小屋からしばらくは針葉樹の混じる緩い坂の尾根だった。スノーモービルとスキーの跡が有った。尾根は、やがて一面のブナ林になった。雪の上に伸びるブナの影を楽しみながら登っていった。
- 大ヅッコ付近は霧氷がきれいだった。スキーヤーとスノーモービル2台とすれ違った。扇ノ山への最後の登りはブナのまばらに生える広々とした斜面だった。ブナの根元は雪が融けていた。のぞいた感じでは積雪は2mくらいありそうだった。
- 尾根が狭くなってくると立派な避難小屋の建つ山頂に着いた。避難小屋にはガラスがたくさん使われていて温室のような感じがした。小屋の中から居ながらにして夕日が眺められた。
- 翌日は日の出後すぐに出発した。朝の霞の中で木々の霧氷が輝いていた。小ヅッコ小屋の手前から牧場の方へ向かった。広々とした牧場はどこでもスキーができそうだった。牧場を外れた746mのコブ付近から雪が融けて藪になったところが多くなった。稜線通しで歩くのをあきらめ車道に下りた。ところどころ雪の残る車道を鳥越まで下る間にスノーモービル8台とすれ違った。