- 前日、竹芝桟橋からの夜行の船に乗り込んだ。今回は5人のグループだった。船の中でワインを少し飲んでから眠りについた。
- 大島の岡田港に着いた時は、まだ真っ暗だった。予約していた9人乗りのタクシーに乗り込み登山口の三原山温泉に向かった。ところどころにツバキやサザンカが咲いていた。運転手が徐行してヘッドライトで照らして教えてくれた
- 三原山温泉は、この日は休業日だった。閉まって暗い玄関の前でパンを食べて腹ごしらえをした。食べ終わって歩き出す頃にはすっかり明るくなっていた。
- 少し下るとカルデラに入った。照葉樹の樹林帯だった。やがて木が無くなって視界が開けてきた。荒野を進む道で、まるで外国に来たような感じがした。朝日に照らされた三原山がきれいに見えた。途中には溶岩の岩がごろごろしているところもあった。
- 大島公園へ下る道との分岐からは山頂への登りになった。軽石のような小石の積もった道が緩く登っていた。登りつめたところが火口壁を一周するお鉢巡りの道だった。時計回りに標高の高い方へ向かう事にした。火口側の壁から水蒸気の白い煙が上がっていた。振り返ると雲の上に白い富士山が見えた。
- 登りつめた最初のピークが剣ヶ峰だった。反対側に伊豆諸島の島々が見えてきた。空気の澄んだ日で、神津島や御蔵島が見えた。東風が少し強かった。小鞍部まで下ると少し風が弱まった。
- 最高点の三原新山の左側直下を通過し、お鉢巡りを3/4周した火口壁の最西部まで歩いた。少し風を避けられる場所が有ったので腰を落ろして休む事にした。船で飲んだワインの残りで乾杯し、パンやお菓子を食べてくつろいだ。富士山はいつの間にか雲の中に入ってしまっていた。
- 火口展望台まで来ると、車で2人組が登って来た。火山活動を調査しに来た人らしかった。火口展望台に登った後、火口西展望所まで行ってみる事にした。コンクリート舗装された道だった。火口西展望所からは火口が良く見えた。風が強く写真を撮っただけで早々に引き返した。
- 火口展望台からお鉢巡りの道を少し進むと三原山頂口へ向かう道との分岐点に着いた。すぐ下の三原神社に寄り道した後、コンクリート舗装された歩道を三原山頂口へ向かった。所々に10人ほどが入れそうなシェルターが有った。道はやがてカルデラの中の平坦な道になった。周囲は潅木帯だった。数人のハイカーとすれ違った。
- 三原山山頂口には数人の観光客がいた。我々の物々しい登山姿を見て、「その装備じゃないとだめなんですか」と聞かれたので「靴さえ歩きやすければ大丈夫です」と答えた。「どれくらいかかりますか」と聞かれたので「山頂まで1時間位です」と答えると「そんなにかかるんですか」とがっかりしていた。
- バスで帰りの船の出る元町港に下った。港近くの食堂で島名物の「べっこう丼」を食べ、火山博物館を見学してから帰りの船に乗り込んだ。すでに手持ちのアルコール類は飲み尽くしていたので船内の自販機で缶ビールを購入して祝杯を上げた。