- 一ノ沢山での小休止を終え毛猛山へと向かった。雪もすっかりゆるみ、暑くなってきた。登りになってしばらく進んだ所で、ブナのまばらに生える平坦な場所を見つけてテントを張った。まだ日も高いので、ゆっくりとくつろいだ。
- 翌朝は、冷え込みも無く、朝からゆるんだ雪だった。キックステップを使って毛猛山へと向かった。山頂が近づくと密ヤブになった。木が進行方向と逆向きに茂り、荷物が引っかかって苦労した。ヤブから出ると毛猛山の狭い山頂に着いた。360度の展望だった。
- 毛猛山からの下り始めのヤブを過ぎると、雪の稜線が続いていた。消えかけた足跡が残っていた。中岳を越え、時々ヤブの混じる快適な稜線を百字ガ岳へと向かった。ヤブには踏み跡が有り、比較的歩きやすかった。百字ガ岳への登で日帰りの単独行とすれ違った。これから先の行程の情報を入手した。
- 太郎助山は雪の丸い山頂だった。本当の山頂よりも雪の積もったところの方が高くなっていた。雪の上には、なぜか毛虫がたくさんいた。太郎助山からの下りのヤブにはショウジョウバカマが咲いていた。足沢山手前の鞍部付近のヤブにはカタクリがたくさん咲いていた。足沢山への登りは少し急でピッケルを使った。
- 足沢山には前日の幕営跡が数箇所有った。単独行の情報では、これより下にあまり良い幕営地は無さそうなので、時間は早いが、ここで幕営することにした。展望が良かった。横の岩の上で湿ったシュラフと靴を乾かした。時々雷鳴のように雪崩の音が聞こえた。
- 最終日は9時台の列車を目指して出発した(逃すと15時台まで無かった)。標高1000m以下になると稜線に雪は無くなりヤブになった。踏み跡はしっかりしていた。イワウチワがたくさん咲いていた。930mの尾根の分岐には両方とも赤テープが有った。前日の単独行に教えてもらった右側の道を通った。分岐から762mピークにかけては危険マークが付きそうな岩場が数ヶ所有った。最初の危険個所を過ぎたところには、通るとほっとして一服するのか、たばこの吸い殻が少し落ちていた。最後の所は蟻の戸渡りのようなところだった。
- 762mピークを過ぎると尾根が広くなり、再び雪が出てきた。最後の新緑のブナ林を下ると線路の横に出た。鉄橋(人用の通路有り)を渡り国道に出た。後は、通行止めで車の通らない国道を、山の余韻を楽しみながらのんびりと駅まで下るだけだった。