- 初日は冷たい風が吹き時折小雪が舞っていた。中沢浜貝塚遺跡では丘の陰で風を避けながら休んだ。広田小学校の先では、後ろから「こんにちは」と元気な声がした。下校中の小学生3人だった。
- 矢の浦公民館では散歩の女性に津波の話を聞かせてもらった。「私の家は無事だったけれど下の方の家は流されてしまったんです。停電が何日も続きました」と説明してくれた。
- 二日目は良い天気だった。小友から歩き出した。道には昨夜の雪がうっすらと積もっていた。箱根山への途中の小友地蔵は、震災被害者を慰霊して新たに立てられた地蔵だった。
- 箱根山の市民の森では「気仙大工左官伝承館」に寄った。かやぶき屋根の立派な母屋では、囲炉裏の回りで手足を暖めながら建物の説明を聞いた。最後にお抹茶とお団子のセットをいただいた。
- しばらく歩くと津波伝承館に着いた。あいにく休館だった。浜辺では新たに松の苗木が植え直された高田松原が有った。近くには震災遺構のユースホステル跡の建物が痛々しく残っていた。
- 長部漁港からゆるい坂を登っていると散歩の年配男性から「歩いて来たの?」と聞かれたので「小友から歩いてきて長部まで歩きます」と答えると、「3万歩くらいになるのかな」と感心された。
- 三日目は、トレイルを外れて氷上山へ登った。快晴だった。登山道に入ると雪が残っていた。数日前の足跡が有った。途中で軽アイゼンを付けた。風が強く吹くところでは足跡が消えていた。
- 小さな神社を見た後、少し下ると祈祷ヶ原に着いた。広場になっていて海が見えた。脇の小屋の前には二人の登山者がいて、小屋の中にいる人達が出てくるのを外で待っている様子だった。
- 山頂へはしっかりしたトレースが付いていた。積雪は約30cmだった。山頂からは360度の展望だった。広田湾の眺めが良かった。風は少なく、昼食を食べコーヒーを飲んでゆっくりした。
- 下りは陸前高田市街へ直接向かう中央コースをとった。こちらは雪が少なく地面がすぐ出てきた。
- 最終日は小雪が降っていた。唐桑大沢で倉庫の軒下で休んでいると中から男性が出てきた。「雨宿りさせてもらっています」と挨拶すると「寒いから中に入っても良いよ」と言われた。
- 大理石海岸は岩場の景色の良い所で、岸にはつぼみを付けた椿の木がたくさん有った。
- トレイルの案内地図に「あずまや」と記載の場所には、屋根が骨組みだけのあずまやが有った。雪は小降りになっていたので昼食休憩にした。海側に小道を進むと、広田湾を望む岩の上に出た。
- 唐桑の中心部に着くとバスの待ち時間が約1時間有った。バス停前の中華料理店でビールを飲むことにした。店の人は唐桑半島の地図をくれながら「歩く人結構いますよ」と教えてくれた。
- 今回歩いたのは約39kmで、「みちのく潮風トレイル」合計で564kmになった。これで全行程1043kmの約54%を歩いた事になった。