- 初日は晴れだった。小川第二発電所でタクシーを下車して未舗装の道を歩き始めた。しばらく進むと登山口のある夢創塾に着いた。管理人さんにあいさつをして山道に入った。最初はロープのある急坂だった。急坂が終わると植林帯の斜面の登りになった。やがて尾根に出て雑木林の登りになった。
- 300m程登って標高490m付近になると登山道に雪が出始めた。スパッツを付けた。相次いで二人組2パーティとすれ違った。2パーティ目の男女の登山者からは、「稜線は風が強い」と言われた。「大地山(おおちやま)山頂に雪洞を掘ったので良かったら利用すると良い」と言われた。鍋倉山の手前で更に3人組とすれ違った。やはり「稜線は風が強い」と言われた。
- 鍋倉山を過ぎると尾根は上り下りが多くなった。ブナの灌木帯が多かった。時折、木がなくなって眺めが良くなった。狭い稜線のところも有った。
- 大地山山頂はなだらかで広々としていた。木はほとんど雪の下で、雪原になっていた。眺めが良かった。初雪山が見えていた。少し初雪山側へ寄ったところに、すれ違った男女の作った雪洞があった。幸い風はほとんど治まっていた。雪の上に出ている灌木脇にテントを張った。ラジオの天気予報では翌日は降水確率90%との事だった。
- 夜の20時を回ったあたりから雨が降り出した。0時過ぎには本降りの雨になった。朝、起きて外を見ると視界ははっきりしていて初雪山がよく見えた。雨は降り続いていた。低気圧になり高度計は前日より120m高い高度を示していた。視界が良く風もないので予定通り初雪山へ行くことにした。滑り止めの意味も含めてワカンを履いた。ピッケルを念のため持って行った。
- 前日の登山者の足跡が続いていた。1223.1m峰は少し先の尖ったピークだった。少しクレバスが有り、稜線の右寄りを進んだ。ピッケルを少し使った。標高1293m付近は広い雪原になっていた。標高1431mへは少し急な登りになった。風が少し出てきた。1431mからは風が強くなってきた。すぐ先に山頂が見えていた。この日は南東の風で山頂の西側の肩まで出ると強風になった。ストックでバランスを取りながら登った。足跡も消えていた。
- 山頂には電信柱が一本建っていた。奥へ進み少しでも風の避けられるところで5分ほど休憩した。
- 下りは1293m地点手前の鞍部まで一気に下った。ここまで下ると風は無くなった。雨は小降りになった。1231.1m峰をクレバスに注意して進んだ。帰りはピッケルは使わなかった。大地山への登り返しは少し疲れも出てきて足取りが重くなった。
- 大地山のテントの回りは10cmほど雪解けが進んでいた。テントを回収し、ワカンもしまった。重くなったザックを担いで出発した。鍋倉山までは登り返しも多くつらかった。ガスも出てきた。昨日より雪解けが進んで標高500mで雪が無くなった。
- 土砂降りの中、人の気配の無い夢創塾に着いた。この日は登山者には会わなかった。小川第二発電所まで歩き、タクシーを呼んだ。沛然と降り続く雨に打たれながら、タクシーが来るのを待った。