- 午後から雨の予報だったので予定より早く出発することにした。朝はバスの便が悪いのでタクシーで登山口に向かった。運転手に「可愛岳に登ったことがありますか」と聞くと「近くの行縢(むかばき)山には子供と登ったことがあるけれど可愛岳はない」との返事だった。西郷隆盛宿陣跡記念館近くの登山口で下車して歩き始めた。
- 緩い登り坂を歩いて行った。植林と照葉樹林に囲まれた道だった。時々伐採地が有り、目指す可愛岳が見えた。鹿3頭が我々に気付き走り去って行った。「ひらべ山」の標識が坂道の途中に有った。空は次第に晴れから曇りに変わって行った。
- ザレの頭で林道が交差していた。「林道五合目」の標識も有った。斜面を横切って進む道になった。しばらく進むと水場に着き、ガレ場の沢の急登になった。岩がゴロゴロして歩きにくかった。登り切ると「ザレの平」の標識が有った。少し広くなった斜面だった。しばらく歩きやすくなった後、再び急登になった。暑くなったのでシャツ一枚になった。
- 下山路と合流した三叉路からは大きな岩が多くなった。「前屋敷」で分岐になり稜線左下の「ノゾキ」に向かった。「ノゾキ」は絶壁の上で展望が良かった。
- 急坂を登ると稜線を通ってきた道と合流した。鉾岩などの稜線の大岩を縫うように進んだ。
- 山頂に着くと、空は暗くなりポツリポツリと雨が降り出した。奥に見える大崩山(おおくえやま)には雨雲がかかっていた。海の方からは強い風が吹いていた。おにぎりを1個食べて軽く腹ごしらえをしただけで、早々に下りる事にした。
- 下りは三叉路まで稜線通しに進んだ。大きな岩の間を注意深く下った。照葉樹に吹き付ける風の音が大きかった。三叉路からはまっすぐに烏帽子岳に向かった。幸い雨はやんできた。
- 烏帽子岳は南側に出ると絶壁の上で海の展望が良かった。舟形の岩の有る「鬼の舟」で林道を横切った。天気も回復し、緩い下り坂では木漏れ日に癒やされた。最後は神社の階段を下り集落に出た。
- 俵野(ひょうの)に着いた時は、バスまで30分ほど時間が有った。バス停横の階段に腰を下ろし、食べそこなった昼食の残りを食べながらバスを待った。地元の男性が通りがかり、「お昼を食べているんですか」と声をかけられた。「はい。可愛岳に登ってきたんです。雨の予報だったので早く下りてきて、今、お昼を食べているんです。」と答えると、「ありがとうございます」とお礼を言われた。やがてやってきたバスに気分良く乗り込んだ。