- 飯能からのバスの乗客は15人だった。寒い日で途中の道路脇の温度計は-1℃を示していた。乗客は次々降りていき終点手前の名郷(なごう)で降りたのは他には登山者2人だけだった。
- 他の山に向かう2人と別れ、鳥首(とりくび)峠へ向かった。車道は次第に急になっていった。軽トラックが1台下って行った。谷間の道で、日影で寒かった。カラスの鳴き声が遠くから聞こえてきた。
- 廃鉱手前の登山口を見落としてしまい。少し戻ったため約10分のロスをした。登山口から廃鉱を見ながら登っていった。廃鉱が終わり、杉植林を進んで行くと、廃屋群が有った。手袋を落としてしまい、取りに戻ったので、ここでも約5分ロスした。廃屋の横で休憩した。
- 廃屋からは杉の植林の登りだった。やがて谷を離れ日も差してきた。暑くなってきたので、途中でフリースを脱いだ。最後は、つづら折りの急坂になった。
- 足元に広葉樹の落ち葉を見ると鳥首峠に着いた。一休みした。峠の反対側は風が強かった。フリースを再度着た。
- 鳥首峠からは稜線の登りだった。右側は伐採されて展望が良く両神山が見えた。冷たい北西の季節風が吹き付けていた。まるで、冬の北八ヶ岳を思わせる身を切るような寒さだった。フリースだけでは足りなかったので、次の休憩ではレインウェアを風よけに着ようと思いながら歩いた。風は地形によって強いところと弱いところが有った。右手がススキの原になり小ピークに出たところで一休みした。風は少し弱くなり、結局、レインウェアを出す事は無かった。休んでいるうちに35歳くらいの男性単独行とすれ違った。
- 次のピーク、滝入ノ頭で25歳位の男性単独行とすれ違った。やがてブナやミズナラの雑木林になった。蕨山(わらびやま)との分岐点になっている橋小屋ノ頭に着いた。「有間山」の標識が有った。一休みした。
- 橋小屋ノ頭で右折し稜線を有間山山頂(タタラノ頭)に向かった。小さい登り下りが繰り返した。広葉樹の雑木林で一部が防火帯になって切り開かれていた。気持ちの良い道だった。
- タタラの頭は葉を落とした広葉樹に囲まれていた。木の幹の間から関東平野が見えた。風は穏やかだった。日が差して暖かだった。小休止した。タタラの頭からの帰りは少し風が有った。手がかじかんだ。
- タタラの頭から蕨山に向けて急坂を下って行った。鞍部では林道が近づき、あずまやが有った。少し登り返すとの蕨山の一角で、登山道から踏み跡を右に10m程入ると蕨山最高点が有った。樹林に囲まれた殺風景なところだった。登山道に戻り先へ進むと名郷へ向かう下りの分岐が有った。右折して5分ほど進むと蕨山の標識が有る山頂に着いた。ベンチが有った。一休みした。武甲山が見えた。
- 分岐に戻り、急な道を下り始めた。岩場が多かった。所々にロープが据え付けられていた。風が強かった。手が冷たくなり途中で小休止してポケットに手を入れて暖めた。更に下って行くと次第に風が和らぎ手のかじかみも取れた。尾根下降点からは暗い植林帯になり、やがて登山口に出た。林道を少し歩くと出発点の名郷に戻った。
- この日、山中では登山者2人と会っただけだった。あまり休まなかったせいで、予定より1時間ほど早く着き、2本早いバスに乗ることができた。