- 二日目、二王子岳から二本木山を経て赤津山への縦走路に入った。雷岳手前までは快適な雪の稜線が続いた。雷岳からはヤブが多くなった。1150m峰への急登は、ヤブの木が滑りやすく腕力を使って無理やり登った。1150m峰頂上の雪面に出るところは約70度の雪壁を登る必要が有った。腰の高さと胸の高さにピッケルであらかじめステップでを作ってから這い上がった。下は雪庇で曲げられた木で、その下は奈落の底。アドレナリンが大量に放出された。
- 雨が降ってきたため行動を停止し、ヤンゲン峰手前の窪地にテントを張った。設営中に単独行が抜かしていった。
- 三日目、雨の中、昨日の単独行が引返してきた。9時過ぎに雨が上がり薄日になったのでテントを撤収し出発した。
- 赤津山への急な登りになると霧が出始めた。赤津山山頂は強風が吹いていた。視界も無かったので行動をあきらめ風の少ない一つ東側のアンテナの有るピークの斜面を掘ってテントを設営する場所を作った。山側はテントがすっぽり入る高さまで掘った。下側には雪のブロックをテントの高さまで積み上げた。テント設営が終わる頃、霧が晴れて展望が開けた。夕方から雨が降り始め、せっかく作った雪のブロックが崩れ始めた。夜間はテントが風であおられた。
- 四日目は雨は小降りになったものの風は相変わらず強かった。出発して10分も歩かないうちに視界20-30mの霧に巻かれ進行方向が分からなくなり行動を停止した。テント場よりは風が少ないので、そのまま2時間以上待った。霧は晴れなかった。最後はラジオで一日中曇りの予報を確認し、あきらめて磁石を頼りに進むこととした。
- しばらくは広い稜線のわずかな起伏に磁石を合わせて進んだ。1318mから次の尾根に乗る所が分からず、同じ標高を左右にうろうろした。結局、下りてきた所をそのまままっすぐ下って次の尾根に乗ることができた。後は広い稜線の高みをコンパス通りに進み藤十郎山との鞍部に着いた。鞍部から藤十郎山までは狭い稜線で分かりやすかった。
- 藤十郎山から小ピークを二つ越え、尾根のジャンクションまで来た。そのまま進もうとするI氏にジャンクションまで来た事を伝え休憩とした。1330mの丘では左に90度曲がる尾根がうまい事見えた。1348mピークの先でコンパス通り進んでいたら尾根の左に出てしまい、トラバースして尾根に戻った。1407m峰はピークの前後5-10mがヤブだった。久しぶりに草地で休む事ができてほっとした。1469m峰への登りには左下が奈落の底の急斜面があった。キックステップで進むI氏を念仏を唱えながら見ていた。急斜面の上で追いつくとI氏はザックからピッケルを取り外していた。
- 二ツ峰の登りはヤブだった。えびの尻尾がついた枝を鷲づかみにして体を引っ張りあげた。手が冷たくなった。
- 二ツ峰先の鎖場を下り、崩れ落ちそうな雪庇の先の平坦地に設営した。前日の予定地だったので一日遅れだった。
- 最終日は晴れ。アイゼンを効かせて門内岳に登った。一日遅れのため杁差岳は省略して頼母木山から西俣ノ峰を経由して下山した。約35人の登山者とすれ違った。枯松峰で出会ったT氏に新発田駅まで送ってもらった。