- 砂沢橋を渡った所に車を置いた。砂沢の一つ南の谷に入って登り始めた。積雪は約20cmだった。しばらく登って左手の尾根に取付いた。ヤブの登りになった。尾根に出てからはわずかな踏み跡のヤブを登って行った。標高510m地点はルートを間違えそうだったので袋を木に結わえ付けて目印にした。
- 尾根にはイワウチワやカタクリが咲いていた。幹に熊の古い爪痕が残っいる木も有った。谷には残雪が見えた。標高610m付近からは古いささくれだった黄色のビニールテープが多くなった。標高710m付近でいったん雪面になった。尾根が狭くなると再びヤブになった。標高860mからは雪面が続いた。
- 標高1080mの平坦地への登りは急で、ピッケルを使った。1080mの平坦地に出ると少し風が強かった。奥の標高1090m地点まで登って風が少し弱まった所にテントを張った。積雪は1.5~2mだった。夜間はテントが風で揺さぶられ眠りが浅かった。明け方になり風向きが変わり吹き付ける風は弱まった。
- 翌朝、テントに余分な荷物を置き、アイゼンを付けて出発した。風が有ったので防寒にフリースとレインウェアを着た。最初の標高差50mほどの急斜面はアイゼンがよく効いた。
- 石見堂岳は真っ平らな山頂だった。遮るものがなく、風がとても強かった。いったん下り、鞍部から赤見堂岳への登りになった。快適な雪面が続いていた。部分的にわずかに急だった。
- 赤見堂岳は360度の展望だった。快晴で朝日連峰や月山の展望を楽しんだ。西側は少し潅木が出ていた。小さな雪庇の後ろに入って風を避けながら休んだ。
- 下りでは日が当たる東側斜面の雪は少し緩んで歩きやすくなっていた。西側斜面はまだ少し固かった。石見堂岳は、相変わらず風が強かった。石見堂岳の最高点には少しだけ岩が出ていた。
- 雪が緩くなった急斜面を下るとテントに着いた。ちょうどスノーシューの単独行者が入れ違いに登ってきたのでびっくりした。日帰りの人で、石見堂岳まで行くとの事だった。
- アイゼンを外し、テントを撤収して重たくなったザックを背負った。最初の急斜面はジグザグにゆっくり下った。風も弱まったので標高951mでレインウェアを脱いだ。
- ヤブの尾根になると、いくつも枝分かれしていて分りにくかった。標高640m地点では間違えて南東の尾根に引き込まれてしまい標高差50mほどを登り返した。標高570m地点も分りにくく少し迷った。標高510m地点で目印の袋を何とか回収した。思いの外、時間がかかって車を置いた車道に降り立った。
- 下りに手こずったものの、二日間、残雪の春山を堪能できて満足した。結局、山中で会ったのは一人だけだった。