12月16日
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サッカー
2002 Jリーグアワーズ発表
(神奈川・横浜アリーナ)
2002年のJリーグアワードが横浜アリーナで行われ、年間チャンピオンとなった磐田をはじめ、各個人賞が発表、表彰をされた。
最優秀選手賞(MVP)は、今季26得点を獲得し得点王に輝いた高原直泰(磐田)が獲得した。ベストイレブンには、年間チャンピオンとなった磐田から7人が選ばれている。また新人王は、11月のアルゼンチン戦で初めて日本代表に招集された坪井慶介(浦和)が、フェアプレー個人賞(イエローなし)と合わせて獲得。今季、高円宮杯となるフェアプレイ賞(チーム)には該当チームがなかった。
各賞の受賞者は以下の通り。
◆ベストイレブン
GK:曽ケ端 準(鹿島)
DF:松田直樹(横浜FM)、鈴木秀人(磐田)、田中 誠(磐田)
MF:小笠原満男(鹿島)、名波 浩(磐田)、福西崇史(磐田)、藤田俊哉(磐田)
FW:エメルソン(浦和)、高原直泰(磐田)、中山雅史(磐田)
◆得点王:高原直泰(磐田)
◆最優秀監督賞:鈴木政一(磐田)
◆優勝監督賞 :鈴木政一(磐田)
◆優秀主審賞 :岡田正義
◆優秀副審賞 :手塚 洋
◆J1ベストピッチ賞:札幌ドーム
◆ジョイン賞:浦和レッドダイヤモンズ ジュビロ磐田
●磐田・鈴木監督、涙の受賞
島津製作所の田中耕一さんはノーベル賞を受賞し「私一人の力ではなかった。一緒に研究に従事した仲間も一緒に表彰式に行きたい」とコメントしていた。
賞は、目標にはならない。成果につくご褒美であり、もらうことによって、滅多にないことだが、自分の仕事を落ち着いて振り返ることができる。振り返って、それを支えてくれた人々の顔を思い浮かべ、それがなければ成果があり得なかったこともしみじみとわかる。
「私がこういう賞をいただけるのは、スタッフのお陰です。ここで紹介してもいいですか?」
最優秀監督を手にした鈴木監督(磐田)は、そう言うと、森下GKコーチ、菅野フィジカルコーチ、柳下コーチらの名前を読み上げて壇上へ導き、サテライトスタッフのコーチの名前もあげた。そうして、「ここまで私を支えてくれた妻と子供に感謝したい」と声を詰まらせ、涙を流した。
●得点王・高原「一番欲しかったタイトル」
得点王の高原は、プレゼンテーターの深田恭子から「年齢も近いですし、これからもがんばってください」と言われ、真っ赤になって照れていた。
「ちょっと恥ずかしかったんですけれど……。ジュビロに入ってずっと中山さんを追って走り続けてきて、一番欲しかったタイトルを取れて、少しでも中山さんに追いつけたかな、っていうのもあるんですが、こういうイベントでも、もうちょっと気の利いたことが言えるように、いろいろな面で中山さんから吸収したいと思います。自分も、病気から復帰して、平常心を何とか保ってプレーをしてきました。一番欲しかったタイトルが取れて本当にうれしい」
舞台の登場でも、珍しく派手なアクションをし、照れ屋が精一杯の笑顔を見せていた。
●フェアプレイ賞は今年も該当チームなし
フェアプレーに贈られるフェアプレイ賞 高円宮杯は、この10年間で受賞したチームが97年の神戸のみ。今年もまた該当チームがなく、プレゼンテーターを務めた川淵キャプテンは、「いつも高円宮様がここ(表彰式)に来ると、また今年も渡せないなあ、とおっしゃっていた。宮様の夢は、この賞が優勝チームから出ることだった。来年からは選手もぜひ、そういう意識を持ってプレーをしてほしい」と、11月に亡くなった名誉総裁の宮様の遺志を言葉にした。
●浦和・坪井がW受賞
川淵三郎キャプテンは、イタリアのコリーナ主審が宮様と会談した際のエピソードを披露。
「コリーナ主審は、『私は中田英寿選手を心から尊敬している。なぜなら彼は、イタリアで常に審判の判定に不満を言うことがないからだ』と宮様に話していた。フェアプレイ個人賞を手にする選手は、そうやって世界的に敬意を集めるようになってもらいたい」と、坪井を表彰した。
坪井は「ディフェンダーとしてこの賞をいただいたことを誇りに思い、来年からも精一杯のプレーをしたい」と、新人王とのダブル受賞に気持ちを引き締めていた。
●高原のMVP受賞時のコメント
最優秀選手賞(MVP)を受賞した高原。
「W杯には出ることができませんでしたが、2006年のドイツでは、W杯に出た姿を両親に見せてあげたいと思います」
●名波の表彰式後のインタビューから
ベストイレブンを4年ぶりに獲得(4回目)した名波は授賞式後、囲みのインタビューに応じた。
(以下、抜粋)
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──満足していないのに選ばれたと言っていましたが
名波 もし優勝できていなければA級戦犯と呼ばれるところだから(表彰もチームの結果があってこそ、という意味)。
──1年前を思うと、表彰されることには感激もあるのでは
名波 もちろん1年前を思えば、ナビスコ杯の決勝は病院のベッドの上で見ていたし、チャンピオンシップは足を引きずりながら見に行ったわけだから。その意味ではここまで支えてくれたトレーナー陣、全国で怪我を治そうと協力してくれた人たち、応援してくれたサポーターのみなさん、みなさんに恩返しができたとも思う。ピッチに立っていることが何よりの恩返しになると思うけれど、それにプラスアルファができたかもしれない。
──表彰とは別に、今年の目標に対しての達成度は
名波 仕事としては、僕個人が個人を評価するようなものではなくて、例えば中盤の福西、服部との連動の中で、90分のうち(100%を完璧とすれば)70%くらいはできていたかと思う。その分の伸びしろは感じることができたと思うし、来季につながっている。
──こうして勝ち続けて、次の目標は
名波 もうこれでいいや、と思っている選手はいないでしょう。優勝でも、ドゥンガに言わせれば「お前ら3敗もしたのか」って話になる。目標はいろいろあるし、勝ち続けることもまた大きなモチベーションになる。長老も、チームを元気に引っ張ってくれているしね(と後ろを中山が通り過ぎて笑いが起きる)。
──高原選手のMVPについて、パスを出した側から
名波 もともと素晴らしい選手だったわけで、それにさらに磨きがかかったシーズンだった。今日のスピーチでもね、アイツが「両親に感謝したい」なんて言うとはね。俺も聞きながらちょっと感激したね。中山さんのアドバイスとか、あったみたいですけど。
──来年は2月からアジアチャンプオンシップが始まりますね
名波 チーム的にも個人的にも今、アジアでどのあたりのレベルかを知ることはとても楽しみだし、当然、タイトル、賞金がかかっていることはあるんだけれど。今はリハビリに専念して、2月の時点で合わせて行きたいね。
──代表もまたアウェーが増えそうですね
名波 代表は呼ばれれば自分の力のすべてを出して貢献したいと思うし、まあ自分が選ばれていなくても、誰かが代表のいいものを持って帰ってきてくれると思う。だから、チームからタカ(高原)がたとえいなくなっても(もし移籍しても)、また新しい血が入ってくると期待している。 |
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●高原、「移籍は代理人に任せています」
MVPの高原は、日頃の照れ屋を返上、メディアの質問にも積極的に答えていた。ハンブルグへの移籍については、「代理人に任せます」と貫いた。
「シーズン通じて波のないプレーができた。特に印象に残ったというよりも、シーズンを通じて続けることができたのがうれしい。アルゼンチンから帰ってから、記者のみなさんにはずっと、「(どう変ったのか)それはプレーで判断してください」と言い続けて、それを証明できた。得点王は最高の栄誉ですし、中山さんが一緒にいることで、「盗む」ことは本当に多かった。(移籍については)今は自分から何とも言えません。代理人に任せているので」
●7人は多い? 少ない?
4回目のベストイレブンに選ばれた中山は、磐田から7人も選ばれたが、と聞かれて「少ないくらいですよ」と話した。隣で藤田が「ちょっと多すぎるかな、と思ってしまいました」と話しており、コントラストが絶妙。
「自分が選ばれたから言えることですがね。これで満足したら進歩がなくなる。4回目の受賞だからではなくて、素直に感激しています。これからは世代交代があるのは当然で、自分はその中で生き残っていくためにレベルアップをしていきたい。難しいけれど、もっと強い自分を作りたいと思う。(今回の受賞の理由は? の問いに)友達が一杯いるから(囲み会見も爆笑に)」

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