ダイハツ・ハイゼットEV



 松本支部初のメーカー製市販EVです。
このタイプのEVは、大半が電力会社や地方公共団体などで主に使われています。ところが、この車は長野県駒ヶ根市で個人が所有し、配達、納品用に10年近く実用で使われたというものです。縁あってオーナーのご好意で当支部に譲渡されました。公共機関で使われたEVは、せいぜい数千キロしか走っていないものが多いのですが、この車はなんと、4万キロを越えています。
 バッテリーの寿命が来ていますので、2010年中に最新のバッテリーに載せ換えて車検を取ろうと思っています。


2010.5.1車検に向けて点検、テスト
 車検を取るべく、点検を始める。以前バッテリーをつなぎ直したときに、制御線をつなぎ間違えて充電コントローラ基板を焼いてしまいました。
部品をダイハツから入手できたので交換してテストです。96V直列接続のバッテリーの両端がバッテリーケース中央に集まるレイアウトのため、バッテリーを外したときに誤配線しやすい。高圧の端子が隣同士というのも危険です。バッテリーが多い旧型はこうなっていません。明らかに問題のある変更でしょう。別に当支部で所有する旧型とは配線が細部で異なっています。ここはハーネスの設計から類推して決め打ちすることにします。
古いバッテリーを充電して仮組みしました。オリジナルの半分のサイズなのでケースががらがらになりました。
 
(左)排気管がない以外は普通のハイゼットと変わらないリアビュー、個人用にも「でんき自動車」のステッカーは付くようです。
(右)仮組みしたバッテリー。
 思い切ってキーをONにしたところ、無事に動き出しました。1年放置してもすぐに動き出すのがEVのよいところ。
走りそうなので本格的に車検に取り掛かることにします。まずはぼろぼろのタイヤとバッテリーの交換。他には特別作業は必要なさそう。
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2010.8.26 車検合格
 夏休み中から準備を始めました。バッテリーはパナソニックのEV用高性能鉛バッテリー、EC-FV1260 (12V60Ah、21kg)を10個購入しました。
オリジナルのバッテリーより小さいため、バッテリーケースに余裕が出た。このため、バッテリーが動かないようにスペーサを入れました。
その他はタイヤ交換、調整しようとしたらもぎ取れてしまったルームミラーの交換など、細かいことだけで車検は問題なく通りました。
 
 (左)車検を取った後のハイゼットEV、ステッカを新調した、(右)新品のパナソニック・バッテリー(固定前)
 バッテリーを完全に充電したところ、実用で20-30km程度走れるようになりました。ただし、オリジナルの120Ahバッテリーに合わせた車載充電器との相性が悪く、タイマーセットに任せると過充電になってしまうという問題が悩みの種です。ガレージの屋根のソーラーパネルで発電する電力量の範囲で走らせることができそうです。

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ハイゼットEV(その2)
 松本支部には、もう1台、ハイゼットEVがあります。これは車検を取った上の車より少し古いモデルで、某官庁が上高地で使用していたものです。普通、官庁で使用していた車は書類が出ないことが多いので車検を取れないのですが、この車はリース品だったために奇跡的に書類付きで出てきました。
 
(左)ほとんど同型のハイゼットEV2号車、(右)旧型のため大型のEB-120を10個搭載している。
 旧型はバッテリーが一回り大きく、電圧が120Vです。新型は96Vに下げられています。このため新旧でバッテリーケースの形状やレイアウトが異なっています。バッテリーが死んだまま長期間放置してあったのですが、1号車の車検取得に合わせて、こちらも復活させることにしました。
まずは古いバッテリーの撤去から。1個42kgある大型バッテリー(EB-150)がケースぎりぎりに搭載されているため外すのが一苦労。二人がかりでロープをかけて引きずり出すのに半日、ことし(2010年)の猛暑の中、重労働でした。
考えてみれば、最大積載量350kgの車に420kgのバッテリーが乗っているのですからすごい話です。
長期間の荷重に車体がゆがんでしまってスライドドアの調子がよくありません。

 1号車に仮に搭載していた古いバッテリーを引き取って搭載、重さが半分になったので車体が少し持ち上がりました。
キーをONにしたところ、静かに動き出しました。こちらもとりあえず復活です。
ガソリンエンジンではこうはいきません。この車は聖高原のクラブハウスに置いてあるのですが、ここには200Vの電源がありません。
バッテリーは時間をかけて1個ずつ充電しました。

 この車は縁あって2014年8月、日本EVクラブ京都支部に譲渡されました。
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ハイゼットEVその後

 車検を取ってからは、近所の用足しに使っていたのですが、バッテリーに大きなトラブルが2回ありました。いずれもオリジナルと違うバッテリーを載せたことによる充電トラブルでした。最初のトラブルは車載充電器によるものでした。オリジナルの車載充電器にはタイマーが付いています。てっきり充電時間のタイマーと思っていたのですが、実際には、充電時間は電圧検出端子による自動設定で、タイマーは押し上げの時間を決めるものでした。電圧検出端子を繋がなかったので過充電で最初の一組がだめになりました。
 次は用心してユアサの開放型鉛電池用の48Vの充電器を2台使いました。これはしばらくうまくいっていたのですが、いつもの「普通充電」ではなく、「均等充電」というモードを使ってみたくなったのが運のツキでした。またしても過充電! 気が付いたらガレージの中に白い蒸気と酸のにおいが…。またバッテリーがパーです。後で充電器の特性を調べてみたら、こちらの場合も、「均等充電」にすると押し上げのタイマーが倍に伸びる設定でした。それに充電終止持の電流が数アンペアと、けっこう大きいようです。結局同じことを2回やったわけで、EV-1260の充電特性を把握せずに鉛用の充電器を使ったのが間違いの元でした。とりあえず適当な成り行き任せの充電器と開放型鉛電池の組み合わせというのが、手入れが面倒で性能も悪いのですが素人には一番合っているようです。

ここまでバッテリーがいかれてしまうと(自分が悪いのですが…)、お財布が厳しくなってきます。とうわけでハイゼットEVは本部ガレージからお役御免ということになり、ソーラーパネルはパソコンのバッテリーを充電するほかは、せっせと中部電力に電気を売っています。市内の移動は自転車とバスで十分ということで、新しいEVは導入しないことになりました。さて、ハイゼットEVですが、結局山の中のクラブハウスにもらわれてくることになりました。山の上の一番近いスタンドが廃業してしまったのでEVは便利なのですが、今度はレンジが問題になってきます。ふもとの村まで片道約6km、ただし帰りは急勾配の登り、かなりスリルのあるドライブになりそうです。

 いろいろな使い方で実用ということを考えると、松本市周辺のような地方都市では、本当の市内だけの移動というのでなければ、市町村合併の影響もあって役場へ行くというような用事でも片道10-15kmはかかるということがけっこうあります。これはレンジ2-30キロの鉛電池EVには厳しいところです。コストの面でもバッテリーの寿命と走行距離を考えると、ガソリンのほうがまだ安いということで、鉛電池を使ったEVは実用にはなりそうにありません。かといって、リチウムイオンということになると、今度はバッテリーが高すぎます。市販のEVが、バッテリーを買うと車が付いてくる?ような値段で売っている現状では、リチウムイオンを積んだEVを自作するくらいならミニキャブMiEVを買ったほうが良さそうです。

 どのくらい使えるものかわかりませんが、知り合いからEV-1260を安価で譲ってもらいました。
充電器は、今、某専門メーカの製品をテストしています。AC200V専用なので、性能は良いのですがコンセントの確保が問題です。
また、200Vのプラグの種類がたくさんあるのも使いにくくしている元凶です。

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