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第16回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2005に参加した。ことしのヤング・ファンタスティック・グランプリには、韓国のパク・フンシク監督の「人魚姫」が選ばれた。 審査員特別賞はフランス映画「イノセンス」(ルシール・アザロヴィック監督)、評論家が選ぶ南俊子賞は「隣人13号」(井上靖雄監督)に決定した。 自主制作映画・ファンタスティック・オフシアター部門のグランプリは「マリコ三十騎」(真利子哲也監督)、同部門の審査員特別賞は「世界は彼女のためにある」(保坂大輔監督)に決まった。
例年以上に盛り上がり、熱い雰囲気だったと思う。なんといっても吉永小百合さんが夕張を訪れたということが大きい。吉永小百合さんのゲスト出演は、映画祭が近づいて、急に決まった。映画制作で協力してくれた夕張市民に感謝したいというのが出演の理由。故・中田前市長が吉永小百合さんを呼びたがっていたということは有名な話しだが、夕張が「北の零年」の重要なロケ地になり、そして交流が深まり、映画がヒットして吉永小百合さんが夕張を訪れた。 「北の零年」の上映後に吉永さんが「夜間ロケでは、夕張の皆さんに温かいものをたくさんいただき勇気づけられた」と舞台あいさつ。行定勲監督も「映画祭開催で育んできた映画に対する愛情に助けられた。この街に帰ってきて、また映画を撮りたい」と話した。 漫画家・井上三太が、初めて自身の作品「隣人13号」の映像化を許した。ヤングファンタ部門の「隣人13号」は、気迫に満ちた作品だった。 井上靖雄 監督の劇場長編デビュー作。最初から、濃厚な映像に引き付けられた。途中で挿入されるアニメが、不気味さを演出する。多重人格症の主人公を、中村獅童と小栗旬のWキャストで描く試みも成功している。一人二役ではなく、二人一役。ラストは映画的な終わり方をねらったが、それまでの迫力がそがれてしまったことは否定できない。 ヤングファンタ部門の「イノセンス」は、「ミミ」で監督デビューしたルシール・アザリロヴィックの長編デビュー作。外界と遮断された深い森の中の城にある「スクール」で、自然の生態やダンスを学んでいる6歳から12歳までの少女たちの秘められた世界を描く本作は、前世紀の作家フランク・ヴェデキンドの短編作品が原作となっている。なんとダリオ・アルジェントの「サスぺリア」と同じ原作。「サスぺリア」は、結局もっと年上の女の子に変えられた。さまざまな表情の水の映像が魅力的。そして、ラストの噴水のシーンが、とても印象的で力強い。 クロージング作品は「阿修羅城の瞳」(滝田洋二郎監督)。鬼になっていく娘と鬼殺しの恋の物語。映画的な面白さが詰まった作品に仕上がっている。最後なんかは、むちゃくちゃな展開になるが、面白いから許してしまえる。ゲスト出演の宮沢りえは、痛々しいほどやせていたが、映像ではやせている感じがあまり分からない。果敢に殺陣にも挑戦していた。 2月27日のオフシアター部門授賞式で塩田時敏さんは、2月22日の女優イ・ウンジュの自殺に触れ「ことしのオフシアター部門の審査委員の1人としてオファーし、早い時期にOKをいただいたが、その後話しが流れてしまった。もしイ・ウンジュさんが審査委員を受けていたとしたら、夕張に行くということで自殺を思いとどまってもらえたのではと思うと、非常に残念だ。映画人も人の子。いろいろ悩みもある。そういう時には、是非ゆうばり映画祭に来てほしい。夕張市民のあたたかい笑顔を見て生きる勇気を勝ち取ってほしい。夕張は、そういう映画祭でありたいと思っている」とあいさつした。 |
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