コニー・ウィリス掲示板(『航路』ネタバレ掲示板)アーカイヴ


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コニー・ウィリス掲示板 2002年10月9日〜2004年10月27日


■奇想コレクション
2004年10月27日 1:41:42 cedar
はじめまして。いつも楽しく拝見しています。

>大森さま
河出の奇想コレクションでウィリスの短編集が出ると知って、狂喜いたしております。刊行はもう少し先かも知れませんが、じんわりお待ちしていますので、どうぞ気長に頑張ってください!

あ、もちろんスタージョンの2冊目のほうも楽しみにしております。


■コニー・ウィリス掲示板に変更
2004年6月7日 18:17:29 大森望 MAIL WEB
『犬』や文庫版『ドゥームズデイ・ブック』も出たし、『リメイク』も復刊されたんで、『航路』専門じゃなくて、ウィリス作品全般を語る掲示板に変更します。適当に使ってください。

■黒田主上宛「書簡」(『航路』ネタバレ感想含む)転載2
2004年1月23日 19:28:15 梶浦秀麿 MAIL
つづき

 キットの結婚式当日の悲劇! 映画の方の『ムーンライト・マイル』みたいな! なんてことだ! 僕にとっては「知らずに思いっきり人を傷つけてしまうって事態」ってのがツボなんだと思われます。交通事故で即死しても実は死ぬまでは恐い体験かもって言っちゃう、とか5回も結婚式シーンのあるロマコメ『プリティ・ブライド』観せて感想聞くとか! 「悪意をもって企んだとしても、これ以上ひどいことはできなかっただろう」! マジで。うおお、って感じでした。それまで微妙に感情移入できんかったんですが、ここからひきこまれました。
 だいたい留守電きかんわポケベル切ってるわってジョアンナの「忙しい自慢」めいたアタフタ、自信満々な思い込みで走り回る猪突猛進キャラに反感があったんだけど、ここで少し反省して(でも結果的に知らずに傷つけるおちょこちょいがキットには嬉しかったって話になってるのがズルイけど)、んであっけなく死んじゃうんならいいか――ってのも酷い言い方ですが。で、メイジーがまたツボです。マセガキめ!
 しかし登場人物みんな「嘘つき」ってのが興味深い。嘘をつかなきゃいけない世界なんだ、ジョアンナは研究内容の本質をマンドレイクにもリチャードにも言えないし、メイジーも本音はジョアンナとかにしか言えない、他人を思うように動かすには巧い嘘で操らなきゃいけないって知ってるし……と、秘密主義な世界、うっかり本心を話すとヤバい世界ってのが、この現実なのかなぁ。しかもメイジーのように本心を話せる人を見分ける能力や運も必要だってことか。ううむ。
 いかん、長過ぎるメールだ。続きはまた電話とかで話します。でわ。梶浦でした。 2003年9月11日
………………………………………………………
なんだか『航路』掲示板が荒涼としているっぽいので、ドサクサにまぎらして「私信メール流出」っぽく投稿。暇人と呼ぶなら呼んで下さい。ううう。

■黒田主上宛「書簡」(『航路』ネタバレ感想含む)転載2
2004年1月23日 19:15:59 梶浦秀麿 MAIL
つづき

 キットの結婚式当日の悲劇! 映画の方の『ムーンライト・マイル』みたいな! なんてことだ! 僕にとっては「知らずに思いっきり人を傷つけてしまうって事態」ってのがツボなんだと思われます。交通事故で即死しても実は死ぬまでは恐い体験かもって言っちゃう、とか5回も結婚式シーンのあるロマコメ『プリティ・ブライド』観せて感想聞くとか! 「悪意をもって企んだとしても、これ以上ひどいことはできなかっただろう」! マジで。うおお、って感じでした。それまで微妙に感情移入できんかったんですが、ここからひきこまれました。
 だいたい留守電きかんわポケベル切ってるわってジョアンナの「忙しい自慢」めいたアタフタ、自信満々な思い込みで走り回る猪突猛進キャラに反感があったんだけど、ここで少し反省して(でも結果的に知らずに傷つけるおちょこちょいがキットには嬉しかったって話になってるのがズルイけど)、んであっけなく死んじゃうんならいいか――ってのも酷い言い方ですが。で、メイジーがまたツボです。マセガキめ!
 しかし登場人物みんな「嘘つき」ってのが興味深い。嘘をつかなきゃいけない世界なんだ、ジョアンナは研究内容の本質をマンドレイクにもリチャードにも言えないし、メイジーも本音はジョアンナとかにしか言えない、他人を思うように動かすには巧い嘘で操らなきゃいけないって知ってるし……と、秘密主義な世界、うっかり本心を話すとヤバい世界ってのが、この現実なのかなぁ。しかもメイジーのように本心を話せる人を見分ける能力や運も必要だってことか。ううむ。
 いかん、長過ぎるメールだ。続きはまた電話とかで話します。でわ。梶浦でした。 2003年9月11日
………………………………………………………
なんだか『航路』掲示板が荒涼としているっぽいので、ドサクサにまぎらして「私信メール流出」っぽく投稿。暇人と呼ぶなら呼んで下さい。ううう。

■黒田主上宛「書簡」(『航路』ネタバレ感想含む)転載1
2004年1月23日 19:15:12 梶浦秀麿 MAIL
Date: 2003.09.11 07:14:24 Asia/Tokyo
黒田様
 舞城の『熊の場所』を古本屋で見つけて「ピコーン!」に泣きまくり、ファウストの最新作も読みつつあって、後は『暗闇の中で子供』で舞城作品完全制覇っス。もしできればですが、今度維新派を観に東京来るとき持ってきてもらえれば、と思ってひとまずメールします。交換で例えば『奇偶』とか何か読みたいけど買うのはなあってのがあれば教えて下さい。
 梶浦でした。用件はひとまずこんだけです。で。
 コニー・ウィリス『航路』、読了しました。面白かった!
下巻はもう早く続き読まなきゃ気分で一気に。読みはじめて5日間くらいでしたね。キットの過去がわかるシーンでぶわあっっと泣いてしまい、あうあうむせびながらページをめくり続けて、ジョアンナのあっけない死にオイオイと思い、残されたリチャードやヴェイルやキットが、ジョアンナのポッケのテープや備品室でのやりとりやらにニアミスしつつも手がかりを得られないってもどかしさにイライラし、メイジー(なんて気丈なメイジーちゃん!)の聡明さにううっときつつも「よしよし」と思いながら、余韻の59・60章まで、あっという間に読み終わったのでした。「58」って章のことだったのね、みたいな。

つづく

■懺悔
2003年9月19日 0:07:40 シベリア司書
本の見た目・書評から「コーマ」みたいな話だと思って今まで読まなかったことをここに告白いたします・・・申し訳ございませんでした。

●タイタニックでびっくりしましたか?
これは、びっくり。後から読むと伏線はられまくりなんですが、全然思いもよりませんでした。

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
これにもびっくり。絶対生き返ると思ってしばらく読んでました。

●あの結末はどうですか?
私は好きです。「あのじいさんの話は嘘じゃなかったんだ!」と素直に感動しました。単純すぎ?でもジョアンナが今まで相手にしていなかった人たちにも真実が含まれているのがラストに向かってどんどん盛り上げていく感じがしていたので勝手に納得してました。

笑いをちりばめながらラストまでもってくるのはものすごいなーと久しぶりに時間を忘れて読んでしまいました。すごいしあわせ。

#この後続けて「ドゥームズデイ・ブック」を読みましたが、順当にこちらを読んで「航路」を読むと評価が厳しくなるのもわかるようなきがします。

■本日読了
2002年10月20日 21:39:12 塩野洋 MAIL WEB
本日、下巻を読了しました。「訳者あとがき」からここを覗いて見たら、
感想リンクに拙ウェブサイトがあったのでびっくり。嬉しく思いました。


●タイタニックでびっくりしましたか?

この謎の明かされ方は驚きでした。グレッグ・メノッティの「58」「彼女は遠すぎてこられない」(船を代名詞で表現するとsheになるってことですね?)がストレートな謎解きではなく、技法的に使われたので意外でした。

その後、読み進めていくにつれ、タイタニックを題材としたことが存分に生かされていると思いました。読者は映画『タイタニック』のヴィジュアルを想起するので、臨死体験が現実に起こったことのように知覚されるということが実にリアルに感じられました。

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?

刺されてからすぐ、ジョアンナの主観描写に移り、その内容を追っていくと、これは助からないだろうなと思いました。親友のヴィエルが「行かないで」というところでは涙がこぼれました。

●あの結末はどうですか?

タイタニックが沈没してから、ブラックアウトになるのだろうかとも思いましたが、あれはよいと思います。作者が心を自然に解き放ち、想像力を広げて書いたような気がしました。ジョアンナのラストシーンは心象描写ではなく映像のほうがしっくりくるし、赤銅色から真鍮色へと変わる空の色も映画的です。
情景であるなら、それは海の底ではなく海上だろうし、そこに現れるのは抽象的な島や大陸などではなく、具体的でシンボリック、かつ違和感のない対象物がいい。そう考えると、ヨークタウンはぴったりだと思いました。


ブライアリー先生の存在は物語全編を通じてとても重要だと思いました。人間の精神の働きを見事に洞察した、「われわれ人間は、類似性や対比や関係を見出すことで、自分たちの周囲のものを、自分が経験したことを、自分自身を理解しようとする」という台詞(下巻87ページ)には、思わず膝を打ちました。

個人的なツボは、彼女の死後、周囲の人物を動かすのが、仕事や癒し本ではなく、ジョアンナへの個人的な想いであったというところです。
まさに作者があとがきで述べているテーマ、人が献身的に他者を救おうとするミステリアスな心の動きを、大儀やヒロイズムを持ち出さず、ジョアンナ、メイジ−、キットといった特定の個人に収斂させていて、彼女達のキャラクターに好感を持った自分は、完全に物語りに嵌ってしまいました。


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>>塩野さん
2002年10月28日 6:51:34 大森 望 MAIL WEB
 無断引用&リンクで失礼しました。
 非常に好意的に読み込んでいただいているようで、訳者としてもたいへんうれしく思います。どうもありがとうございました。


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教えてください
2003年7月16日 2:49:47 けん MAIL
最初不思議だったのは聡明なジョアンナがすべての人がタイタニックをみるって仮説を立ててそれを証明しようとしてたとこです。今でも解らないんですけど全世界の何時の時代の人でもタイタニックをみるなんてあり得ないですよね?
もうひとつ疑問。NDEの時に体験することは死にゆく体(脳)が何とか生きようと試みる際に発生する神経伝達物質による幻覚なんですよね?ブライアリー先生の「タイタニックはまさしく死の鏡像」と言う言葉からその舞台がタイタニックになった。そこまでは理解できてもNDEの最中、段々死滅する細胞と共に記憶も曖昧になってきますよね?(タイタニックの中に病院のカフェテリアがあったり)
リチャードにNDEは何なのか伝えることやメイジーに約束破ったことを謝ったり、みんなにサヨナラを言ったりと一番したくてもできないこと(文中では守れなかった約束、言えなかったサヨナラの記憶ともうとりかえしがつかないんだという認識)が死の罰だといってますが、脳は死に至る際、恐怖などの緩衝材としてβエンドルフィンとかだしてるのだからタイタニックの中にリチャードやメイジーがでてきて、それがイメージの産物だと解かってても最後の別れをする。そして段々と人も物も空間でさえも消滅していく。これじゃあだめなんですか?
だれか教えてください。

■ひとことお礼にあがりました
2003年5月6日 22:17:57 cedar
はじめまして。
久しぶりにお邪魔したところ、
自分の感想にリンク頂いているのに気づいてびっくりしました。
ありがとうございます & とても恐縮いたしております。

●タイタニックでびっくりしましたか?
びっくりと言うほどではないですが、そうきたか〜、と思いました

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
自分もやっちんさんと同じく、回復した後に
本物の臨死体験とシミュレーションの比較で話が進むのかな、と
単純に思ってましたので、やられた!と思いました。

●あの結末はどうですか?
物語が再構成されるセンスオブワンダーも感じましたし、
48章では泣きそうになりました。

でも、ジョアンナサイドの物語で
ウィリスが結局何を言いたかったのかが判りませんでした。
自分の修行不足だとは思うのですが...

ウィリス自身が、ああいう理性的な死を迎えたい、という事でしょうか。
しかし「これまでの全人生が自分めがけて落ちて落ちて落ちてくる」
ような状況で、果たして人間があれほど理性的でいられるのか...
少なくとも自分は弱い人間なのでムリっぽいです。

ティプトリーの『最後の午後に』を最近読んだのですが
こちらの死のほうが、僕にとってはナマナマしい感じがします。

ティプトリーにはかなりヘコまされたので、
死の淵にいながらも、ジョアンナが何時もの凛とした瞳のまま、
理性的に、心穏やかに生をまっとうできた、その理由が知りたかったです。


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おしえてください
2003年7月16日 2:47:57 けん MAIL
最初不思議だったのは聡明なジョアンナがすべての人がタイタニックをみるって仮説を立ててそれを証明しようとしてたとこです。今でも解らないんですけど全世界の何時の時代の人でもタイタニックをみるなんてあり得ないですよね?
もうひとつ疑問。NDEの時に体験することは死にゆく体(脳)が何とか生きようと試みる際に発生する神経伝達物質による幻覚なんですよね?ブライアリー先生の「タイタニックはまさしく死の鏡像」と言う言葉からその舞台がタイタニックになった。そこまでは理解できてもNDEの最中、段々死滅する細胞と共に記憶も曖昧になってきますよね?(タイタニックの中に病院のカフェテリアがあったり)
リチャードにNDEは何なのか伝えることやメイジーに約束破ったことを謝ったり、みんなにサヨナラを言ったりと一番したくてもできないこと(文中では守れなかった約束、言えなかったサヨナラの記憶ともうとりかえしがつかないんだという認識)が死の罰だといってますが、脳は死に至る際、恐怖などの緩衝材としてβエンドルフィンとかだしてるのだからタイタニックの中にリチャードやメイジーがでてきて、それがイメージの産物だと解かってても最後の別れをする。そして段々と人も物も空間でさえも消滅していく。これじゃあだめなんですか?
よかったら教えてください。

■僕には難しかったです。
2003年7月16日 2:42:15 けん MAIL
最初不思議だったのは聡明なジョアンナがすべての人がタイタニックをみるって仮説を立ててそれを証明しようとしてたとこです。今でも解らないんですけど全世界の何時の時代の人でもタイタニックをみるなんてあり得ないですよね?

もうひとつ疑問。NDEの時に体験することは死にゆく体(脳)が何とか生きようと試みる際に発生する神経伝達物質による幻覚なんですよね?ブライアリー先生の「タイタニックはまさしく死の鏡像」と言う言葉からその舞台がタイタニックになった。そこまでは理解できてもNDEの最中、段々死滅する細胞と共に記憶も曖昧になってきますよね?(タイタニックの中に病院のカフェテリアがあったり)
リチャードにNDEは何なのか伝えることやメイジーに約束破ったことを謝ったり、みんなにサヨナラを言ったりと一番したくてもできないこと(文中では守れなかった約束、言えなかったサヨナラの記憶ともうとりかえしがつかないんだという認識)が死の罰だといってますが、脳は死に至る際、恐怖などの緩衝材としてβエンドルフィンとかだしてるのだからタイタニックの中にリチャードやメイジーがでてきて、それがイメージの産物だと解かってても最後の別れをする。そして段々と人も物も空間でさえも消滅していく。これじゃあだめなんですか?

だれか教えてください。


■「航路」素晴らしかったです!
2003年6月8日 11:38:45 小原一馬 WEB
とにかく長さがひたすらうれしい小説でした。しばらく毎日続きを楽しみにしながら読ませていただきました。
コニー・ウィリスは「ドゥームス・デイ・ブック」からすっかりとりこになっていたのですが今回のサイエンティフィックなリアルさには、新しい魅力を感じました。
あんまり素晴らしかったので曲を作らせていただきました。よかったらお聞きいただけるとありがたいです。(感想「曲」ということで)
MP3はこちらから
http://www.muzie.co.jp/cgi-bin/artist.cgi?id=a012373 
MIDIはWEBから どうぞ。

ちなみにアンケートですが

●タイタニックでびっくりしましたか?
びっくりはしませんでしたが、「なぜタイタニックなのか」という主人公と同じ問いをいだきました。

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
ヴィエルが襲われたという伏線もあったし、もともと死の話なのでそういうのもありかとは思いましたが、後ページもいっぱい残っているし、いったいどういう展開なのか、生き返るのもありなのかなーとは思いました。

●あの結末はどうですか?
ジョアンナが生き返らずにその最後の発見を通じて、メイジーが救われるという展開には泣けましたが、最後の最後は科学者としてのジョアンナの死に様として、少々納得のいかない部分はないわけでもありませんでした。その一歩手前をラストとしてもよかったように思います。

■西部戦線異状なし
2003年5月20日 21:27:42 ササミ MAIL WEB
初めまして。ようやく評判の本を読んでしまいました。満腹です。ごちそうさまでした。上巻p.68にヴィエルのセリフで「西部戦線は異常なし」がでてくるのは、すっごい伏線ですね。

■航路感想ページを作らせて頂きました
2003年5月18日 2:00:11 kagami WEB
初めまして。航路、読ませて頂きました。
良作揃いのコニー・ウィリスの著作の中でもダントツに
素晴らしく良いですねえ…(^^
脳内の働きが解明され、脳制御が実用化される日まで生き延びることが
できたらなあと思いました。私はゲーム等、没入性の高い虚構が
とても好きなので、直接脳内に麻薬よりも安全かつ制御しやすい形
でアクセスする仮想現実の実現方法として、
NDEを研究する事には可能性を感じておりまして。
仮想現実を描いた作品としても極めて興味深かったです。

http://www4.ocn.ne.jp/%7Etemp/index.html

こちらの自サイトで感想をUPさせて頂きました。
よろしければリンクに追加して下されば心より嬉しく思います。
では、乱文乱筆失礼致しました。

■ほかの方の感想を求めてやってまいりました。
2003年4月27日 13:59:10 やっちん
はじめまして。夕べ読了しました。あの厚さには辟易しましたが、
とにかく面白かったです。
●タイタニックでびっくりしましたか?
 アレを作者がどう料理するのかわくわくしました。(期待通り)
●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
 臨死体験をして還ってくると単純に考えていたので、
 ストレートにびっくりしました。クヤシイ。
 その後の展開はよかった。リチャードがトチ狂ったのはうけました。
●あの結末はどうですか?
 暗示されている再生への希望感に悲しくなりました。

感動はしていなかったつもりなのですが、午前3時に読了してその後、
モロ夢をみてしまいました。橋でつながった島行き。白いスリップ姿の
島の女の子たち、おんぼろ船のデッキ。
我ながら影響され易いです。


■お邪魔します
2003年3月3日 9:13:22 しょうこ MAIL
航路、母に勧められて読ませていただきました。
あんなに長い本は初めてで(しかも1ページに2段!)ページを閉じた時に全然進んでないのがじれったく思いましたが
段々そんなことは気にならなくなっていました(^_^)
一人一人のキャラクターと自然な訳のおかげで
読み出すと止まらなくなっていました。
悲しい話だと思いました。誰でも死ぬ直前にはみんな忘れてしまうのかなぁ。。。なんだか三途の川とか忘却の川とかを連想しました。
ジョアンナが亡くなった後みんなが一生懸命彼女の足跡を
たどっていたことになんだか救われた感じがしました。
長い長いお話の訳、本当にお疲れさまでした。
とても楽しく読ませていただきました(^_^)v

■初めまして
2003年2月17日 13:02:49 聖月 MAIL WEB
http://www.jaddo.com/book/back19.htm#1

楽しく読ませていただきました。
感想アップしました。↑
自己タレコミです(笑)

■最後のシーンがいつまでも目に浮かびます
2003年1月21日 18:51:29 秋飛行 MAIL
この手の小説は初めてだったのですが、「臨死体験」に惹かれて読みました。実は僕もこのような体験をしたことがあり(あるような気がする)、よく似ていると思いました(事実では!?と)。特に一瞬で行ったり戻ったりするところや、短い時間の間にたくさんの経験が出来ること。そしてその場所が自分の知っているところ、などです。夢のような、でも現実のような、そんなところがとても似ています。

タイタニックの登場には驚きましたが、自分の体に起こっていることを象徴として捉えているところが面白いと思いました。そして、通信士のくだりは、昔無線通信士をしていたので、取り上げてもらって嬉しかったです。
タイタニックが初めて"SOS"を送信した船舶であることは有名な話で、そのために最初は信じて貰えなかったという悲劇もありました。最後まで通信士が電鍵を叩いて信号を送り続けたとありますが、これは通信士の義務であり、脱出する時には電鍵を縛って「ピー」と送信し続けるようにする、と学校で習いました。今思えば、この音ってあの音と同じですよね。心臓が止まった時のあの「ピー」と。
でも現在は、衛星通信で遭難信号を扱うため、人がモールス信号で"SOS"を送信することは、もう、無くなってしまいました。

ジョアンナが死んだときは、てっきりリチャードが助けてくれると思ったのですが、あっさり裏切られたという感じでした。でも、そうすると単なる物語となってしまい、真実味がなかったかも知れません。でも、まだ2章だったので、これからどうなるのか、楽しみになりました。

ラストシーンで、沈んだはずのヨークタウンが登場したことにより、脳が完全に死を認知したんだと思いました。ナイフで波を切り裂くようにというところが、体の肉を切り裂くようにと聞こえ、痛々しく感じました。そして、そのヨークタウンに向かってジョアンナが手を振ったというところが、なんとも言えず、涙が出ました。
最後に気がかりが一つ。ジョアンナがリチャードに書いたあのメッセージ。タイタニックの船上でほかの人のメッセージと一緒に入れたあのビンは、いったいいつ、発見されるのかな?

■やっと読み終わりました
2003年1月17日 14:19:17 なかにし
かなり遅れましたが、やっと読み終わり、訳者あとがきをみて
このページに辿り着きました

●タイタニックでびっくりしましたか?
最初、びっくりしました。でも、もっとも有名な
沈没船なんで、ぴったりはまっていると思います

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
これもちょっといがいでした。でも、彼女の死後のストーリーが
また、航路を引き締めていると思います

●あの結末はどうですか?
爽やかで好きです

確かに前半、同じ事の繰り返しだなと感じるところは
何ケ所もありましたが、自分としてはあれだけの長篇
を飽きる事なく読み終えたのは作者の力量だと思います
ですので、これから『ドゥームズデイ・ブック』を買いに
行こうかなと考えてます。三省堂にあるかなあ

■一番好きなところ
2003年1月10日 11:56:56 くるる MAIL
はじめまして。昨日本を読み終えて、今日この掲示板を読んで、
そうだったのか〜!としきりに感心しております。

私が一番好きなところは、下でyukattiさんも指摘されている、
ジョアンナの死の部分、特に最後の空の色が変わっていくあたりです。
子供の頃、宇宙の図鑑にどっかの惑星の絵(景色)が載っていて、
その絶対地球ではありえない景色が子供心に怖くて怖くて、でも好きで
いつも見ていました。風景は違うのだけど、受ける印象が同じでした。
だからそのときと同じ気持ちでわくわくしながら読みました。
あの惑星の絵は私にとって死の象徴だったんだなーと思いながら。
とても面白かったです。読みやすかったし。

最後に。
●タイタニックでびっくりしましたか?
びっくりしました。 

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
しませんでした。

●あの結末はどうですか
あのラストだから主人公が死んでも読後感がいいのかな、と思いつつ、
ジョアンナの脳が死んで行くに従って、統合イメージが壊れて行くというのが文章で表現できてたら(2001年年宇宙の旅でHALが壊れるみたいに)良かったのに、とも思いました。



■遅ればせながら感想
2003年1月5日 22:34:34 カイエ
正月休みの間に読み終えました。大変興味深く読ませて
いただきました。アンケートについては
●タイタニックでびっくりしましたか?
 あまり驚きはしませんでした

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
 これも、あまり驚きはしませんでした。

●あの結末はどうですか?
 幻覚が生み出した船に対して、手を振って挨拶を送るのは
科学者としてはどうなんだろうかな、という気はいたします。
”死は暗黒と分解に過ぎない”と認識するのは、勇気の要ることでは
ありましょうけれど。

 私が「航路」を読んで最も感銘を受けた個所は、実は上巻のp.141
に出てくるロナルド・ケルソの発言です。誰にとっても、死期は
毎分毎秒近づいてくるのに、これを直視できる人は少ない。
それだけに、彼のエピソードがたかだか1ページ未満で終わるのは
残念ではありました。個人的には、心理学者の手で記述された
「イワン・イリッチの死」みたいなストーリー展開になると
嬉しかったのですが。


■たれこみ継続
2002年11月26日 23:39:17 湯川光之
姫川みかげさん
http://www.cc.rim.or.jp/~mikage/book/book-200211.htm#kouro
ヒラマドさん
http://zabon.s12.xrea.com/200211c.html#22_t1


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たれこみ&感想リンク感謝
2002年12月7日 2:12:41 姫川みかげ MAIL WEB
>>湯川光之さん

たれこみしていただき、ありがとうございます (^^)

>>大森望さん

感想リンクありがとうございます。
ちなみに「感想リンク」ページでの私の名前が「姫島」になってますので、恐れ入りますが「姫川」に訂正お願いします。





■感想たれこみ
2002年10月29日 22:53:54 湯川光之
大野万紀さん
http://www.asahi-net.or.jp/~li7m-oon/thatta01/that174/utiwa.htm
水鏡子さん
http://www.asahi-net.or.jp/~li7m-oon/thatta01/that174/midare.htm


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>>湯川光之さん
2002年10月31日 0:17:22 大森 望 MAIL WEB
 情報提供感謝。早速追加しておきました。


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再び、たれこみ
2002年11月8日 23:50:03 湯川光之
津田文夫さん(THATTA ONLINEより)
http://www.asahi-net.or.jp/~li7m-oon/thatta01/that174/tuda.htm

たなかなつみさん
http://www.max.hi-ho.ne.jp/tanakan/20021014.html
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PDF形式ですが……
2002年11月18日 20:59:52 湯川光之
「シティリビング大阪」に載った評が、ネットでも
公開されています。

http://www.citywave.com/osaka/marugoto/20021115/1115-15-4.pdf

■直接関係ないのですが・・・
2002年11月15日 8:27:52 まさこ
最近の“nature"に、「右大脳皮質の角回とよばれる箇所を刺激したところ、体外離脱体験が繰り返し起こった」という内容の研究が載っているそうです。ご参考までに・・・。

■読み終えました
2002年10月29日 21:57:42 yukatti MAIL WEB
はじめまして。香雪日録を感想リンクに入れていただいております
(橋田壽賀子ドラマのようだとか中島みゆきの「海よ」がしっくりきたとか勝手なことを書いておりました)。

昨晩読み終えて、満足のため息をついて本を閉じました。
いろいろ文句じみたことも拙サイトに書いたりしていましたが、実に面白かったです。
訳文もなんというかとてもこなれていて読むのが楽しかった。良い小説をありがとうございました。

短めにアンケートにお答えしようと思います。拙サイト10/29分日記に読了後の感想を書いてさっきアップしたところです。

●タイタニックでびっくりしましたか?

びっくりしませんでした。

宮澤賢治『銀河鉄道の夜』でタイタニックの乗客が突然出てくるほうにかつて驚いたので。また、小学生のころ子供向けの『タイタニック号の最期』(タイトル失念してますし別のタイタニック本かもしれません)を妙に気に入って繰り返し読んでいたりもしたので、これらふたつのせいで、「死」とタイタニックについての回路が自分にも出来ているのかもしれません。
また『航路』というタイトルだったから、船の話があれこれ出てきてもどこか「なるほど!」という気がしたということもあったのかも。

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
刺されたのにはたいそう驚いたけれど、治療の甲斐無く死んだことには驚きませんでした。掲示板の以前の書き込みにありましたが、彼女が死ぬのはこの小説では必然のことと思いました。

●あの結末はどうですか?
空の色が変わっていく描写は凄みがあって良いですね。すばらしかった。

ラストには納得です。ラストのそれからをどう受け取るかは読み手側のそれぞれに任されていると思います。
脳がすべて駄目になり死ぬ瞬間に人間の精神が何を感じるか。最後の発光がおこるのかしら、と想像してみたりしているところです。


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>>yukatti 様
2002年10月31日 0:13:49 大森 望 MAIL WEB
 わざわざありがとうございます。香雪日記の感想は楽しく拝読してました。29日分も早速コメントリンクに追加させていただきます。
『銀河鉄道の夜』にタイタニック乗客が出てきたのなんかすっかり忘れてましたが、そういうつながりもあったんですね。
 橋田壽賀子ドラマのようだっていうのは最高の誉め言葉だと思いますが、『航路』でいちばん驚くのは登場人物の私生活がまったく書かれていないところ。この人たち、休みの日にはなにをしてるんだろう。

 ちなみにジョアンナが死んでからの展開でぼくが思い出したのはジョン・アーヴィングの『ガープの世界』と『ホテル・ニューハンプシャー』の結末部分でした。よく考えると全然違うんだけど。


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私生活は謎ですね。
2002年10月31日 1:21:03 yukatti MAIL WEB
どうもありがとうございます。

>『航路』でいちばん驚くのは登場人物の私生活がまったく書かれていないところ。この人たち、休みの日にはなにをしてるんだろう。

これ、わたしも気になってました。
普通なら病院から夜遅く部屋に帰って疲れたため息をつくジョアンナや苦悶するリチャードなんかが出てきそうなんですが、仕事を終えるとこまでであとはさっと翌朝になってしまう。
私生活を感じさせるのはリチャードがポケットに食べ物を詰め込んでること(支度にいそしんでるリチャードを想像。なんとなく、まめそう)、ディッシュナイトで出てくるヴィエルの部屋(これも具体的なことまではあまり書き込まれてないけど居心地良さそう)と、キット=ブライアリー先生の家(こちらはわりに詳しいかな)くらいで…。忙しくて自分にあんまり構ってられなさそうなジョアンナのカーディガンには毛玉ができてるのではないかとか想像しちゃって心配だったりもしました(よけいなお世話ですが)。

>『ガープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』
どちらもとても好きな小説なんですが、なるほど言われてみると。生死の認識とか、主役級が死んだ後の残された人のそれぞれのあり方とかもどこか似てますね。ガープの結末はずばり死なんだけれど暗くない。

それと、どちらも翻訳で読ませてもらってるので原文の文体などが似ているかどうかわからないのですが、19世紀ディケンスなどを範としてるアーヴィングとウィリス『航路』(今回初めて彼女の作品を読んだのでとりあえずこの作品限定)、ストーリーテラーとしてのあり方・小説作法がどこか共通してるんじゃないかなと思いました。どっちも長くてくどくどきっちり書いてあって(笑)、つまり題材として新しいこと書いてるんだけれど根本のところは古典的・伝統的。

■遅ればせながら、感想です
2002年10月21日 2:23:07 宮前 MAIL
商品版の届いた日曜日中(というよりは月曜日早朝)には読み終えていたのですが、掲示板に書く間がありませんでした。もう2週間もたっていますね^^;。
(いろいろ勘違いしていたところもあるのですが、読んだ直後の印象でそのまま書きます。)

○『ドゥームズデイ・ブック』を読んだときにも思いましたが、非常に読みやすい小説でした。最近「読書力」の落ちてきている身ですが、この長さの長編を一気に読み通したのは久しぶりだったりします。

○最後3章ぐらいはしっかり感動させていただきました。メイジーの「ディズニー禁止」がなぜか頭に残っています。

○第一部は、時間があまり経過しないのに多大なページが費やされていて、少々イライラしながら読み進めました。冗長な感じがする一方、最後まで読むときれいにまとまるので、結果としてはOKでした。(しかし、ソープオペラの嫌いな人は放り投げそうな気もします。)

○第二部のあたり、もしかしてドラッグ(体験)小説になりかねないなーと思いながら読みました。誰にでも有効なわけではないし、習慣性もなさそうなので、安心(何が?)。

大森さんのアンケート(?)について。。。
●タイタニックでびっくりしましたか?
あまり驚きませんでした。

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
第二部末に大どんでん返しがあること自体は各所で書かれていて、心の準備はしていたはずなのに唖然としました。
第三部に入ってしばらく、きっと生き返ってくるに違いないと期待しながら読んだのは、そのショックに対する補償行動だったのだろうと後から思い返しています。

●あの結末はどうですか?
読んだ直後は最終章(というよりは、第三部の「三途の川の手前」の場面)は、そこへ至る過程で何の象徴なのか説明されながらとはいえ、第二部までの徹底的に神秘主義を否定していた書き方と違和感を持って読みました。
子どものころ「アンドロメダ病原体」をSFとして読んだのが、今読むとSFとして読めなさそうなのと似た感覚があるようなないような(多分違う)。

ともあれ、大変いい物語をありがとうございました。
# でも、この機会に読み返した「ドゥームズデイ・ブック」の方が
# 肌にあうようなので、続編の翻訳を期待。あわせて「ドゥームズ
# デイ・ブック」が重版 or 別形態で出るとうれしい。--------------------------------------------------------------------------------
re: ドゥームズデイ・ブック
2002年10月28日 6:55:10 大森 望 MAIL WEB
>>宮前さん
 『航路』より『ドゥームズデイ・ブック』のほうが好きっていう人はけっこういるみたいですね。
 『航路』が好調のせいか、なんとか『ドゥームズデイ・ブック』の文庫化は決まりそうです。それにつづいて『To Say Nothing of the Dog』刊行という段取りになる模様。

■映画
2002年10月28日 1:51:39 きむらかずし MAIL
映像的予備知識としての映画『タイタニック』を観ていなかったので、ちょっと悔しかったです(『ポセイドン・アドベンチャー』だったら大昔、テレビで観たのに)。

一方、臨死体験つながりでは、個人的には『ブレイン・ストーム』を外せないと思うのですが、ちっとも登場しないのは、映画としてマイナーだからでしょうか。『アルダード・ステーツ』は出てくるのになぁ。

日本のマンドレイク(?)、丹波哲郎さんの映画は『大霊界』でしたっけ?--------------------------------------------------------------------------------
re:映画のタイタニック
2002年10月28日 6:47:19 大森 望 MAIL WEB
 ぼくも原書で読んだときは映画版見てなかったので大丈夫です。
「SOSタイタニック/忘れえぬ夜」のほうは子供のときに見てますが、ほとんど覚えてなかったし。
 翻訳のとき、しかたなくレオ様の『タイタニック』もDVD買って見ましたが、まあそれほど怒る映画でもないような。

■ブライアリー英文学集成
2002年10月17日 15:19:53 大森 望 MAIL WEB
 有里さんのところで、『航路』登場文学作品の調査が行われています。
http://alisato.cool.ne.jp/diary/200210b.html#11_t1
 現在は、作中に引用されている作品の原典リンク集があります。邦訳のほうはシェイクスピアの一部ぐらいしかオンラインでは読めないんですが、興味のある方はぜひ。


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ブライアリー英文学集成 開設しました
2002年10月20日 22:39:37 有里 WEB
大森様、リンクありがとうございます。
[ブライアリー英文学集成 〜『航路』登場文学作品解説〜] 開設しました。
http://alisato.cool.ne.jp/diary/kansou/briary/index.htm
まだ英詩のところしか終わっていないので、暫定版ですが。

ツッコミや関連リンクのタレコミ歓迎します。
引用元の作品や著者について解説してくれる人も募集中。

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re:ブライアリー英文学集成
2002年10月22日 15:45:57 大森 望 MAIL WEB
 ありがとうございました>有里さま。
 これは大労作ですね。翻訳する前にこれがあったらめちゃくちゃ便利だったのに(笑)。
 引用文献をぜんぶ読んでるわけじゃないので、あんまり細かくチェックされると、さぼってるところがどんどんバレてくるんじゃないかと心配なくらいですが、どうもご苦労様です。


■面白かったです。
2002年10月18日 12:04:47 東 えりか
「WEB本の雑誌・NF室長のことば」にも書きましたが
単なる読者として、大変楽しませてもらいました。
大森さんはなんとなく分かるでしょうが、この物語、私のツボです。

深刻なノンフィクションを大量に読んでいる(それも好き好んで)身としては
全体的に漂う浮かれた感じには違和感がありましたし
アルツハイマーの患者を抱えている家族は、現実とは違う、と思われるでしょうし
臨死そのものについても、精神医が真摯にかかれた本を読んでいますので
枠組みそのものが荒唐無稽と思われても仕方ないですよね。
そんなことが頭を過ぎりながらも、面白く読めたんですから
やっぱりコニー・ウィリス、すごいです。

何を読んだときの感じに似ているか、しばし考えたんですが
夢枕獏さんの「サイコダイバー」を最初に読んだときの
胸のなかに起きるわくわく感が近いですねえ。
まあ、こっちはまだ終わってなくて、最終章までたどり着いていないんですが。
今考えてみれば、あの小説も側頭葉の刺激から起きる
共感覚を利用して、人の精神にもぐりこんでいるのですからあながち遠い話じゃない。
(獏さんが凄いと思うのは、彼が小説で立てた理論が、その後現実化しちゃうところですよね)

病院の中の迷路は、いろんな人が結構使う手法ですよね。
最近では恩田陸さんの「ドミノ」とか。
あのへんのハラハラさせるところなんて、さすが手だれ。

タイタニックも(映画見てなくてよく分からなかったけど、本は読んでます)ジョアンナが死ぬのも、
そんなにびっくりしなかったなあ。
それより『航路』の直後に読んだ、松井計『ホームレス失格』に
「死の暗喩(メタファー)」という表現がやたら出てきたほうが驚いたかも。

私にとっては、封印していた久々の翻訳小説でした。
とにかく楽しめました。ありがとうございました。


■『航路』増刷決定
2002年10月17日 15:15:35 大森 望 MAIL WEB
 おかげさまで増刷が決まりました。先週末、紀伊国屋チェーンでの売上が急上昇したのが決め手になった模様。こんな長い本なのに読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

>>モンモランシ様
 英語で10時間はすごい。ぼくは20時間ぐらいかかった気が。

>>藤田一美様
 お嬢さんはもう中2ですか。早いなあ。そこまで若い人はまだだれも読んでないと思うので、もし読んだらぜひ感想を教えてください。

>>天川和久様
 どうもご無沙汰です。『航路』の病院描写はけっこう『ER』に頼ってる気がしてたんですが、一応リアリティはあるってことでしょうか。

 


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リアリティ
2002年10月17日 21:09:43 天川和久 MAIL
病院のリアリティがあるかといわれると難しいかも。いやあくまでも自分は日本の病院の人間なんで。ジョアンナみたいな立場の人もいないしERでもあんな暴力的な患者は少ないです。

そういえばうちの病院にはサイバーパンク好きな作業療法士はいますけど。

■聞き上手
2002年10月16日 17:07:34 天川和久 MAIL
ご無沙汰をしてます。
「航路」大変楽しませていただきました。
大森さんがメッセージの難しさについて言及されていましたが、
患者さんの話を聞き取る難しさがよく表現されていると思いました。
自分的にはSFと医学ミステリーの中間ぐらいですかね。

■久々に集中して読みました
2002年10月15日 13:25:32 藤田一美 MAIL
第1部はゆったりと読んでいました。
第2部、第3部は一気呵成に読み切ってしまいました。
おかげで、子どもの相手もせず、昼食もカップうどんでした。
先に『航路』を読んでいた夫は理解してくれましたので、家内安泰です。
SFかどうかという点で、私としては『アルジャーノンに花束を』や『ブラックジャック』と同じ引き出しにしまいたい(分類したい)と思いました。
それらと同じくらい面白く読め、作者の力量に感動したということも付け加えます。
中2の娘に「あんた、読みよし」と薦めました。

●タイタニックでびっくりしましたか?
 ふ〜ん、そやけどなんで? って感じでした。
 第3部でタイタニックではないところに行っている人が 出てきたところの方が驚きでした。
 ということは、「遠すぎる」とか「五十八」とか口走って死んだ 人はどこへ行っていたんだろうと、新たな謎が浮かび そっちの方が気になります。

●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
 えっ!? 死んでしもたん? って感じました。
 そのあと、「死後の世界」でしきりにメッセージを発信しようと
 努力する姿に、だれがどうやってメッセージを受け取るんだろう? と 大変気になりました。
  
●あの結末はどうですか?
 ええ終わり方やん! と思いました。
 爽やかなハッピーエンドでよろしい。
 仏教徒の私としては輪廻転生したジョアンナでもOK。

『ドゥームズディブック』が家になかったので早速注文しました。  
  


■やっと読みましたので参加させてください
2002年10月14日 1:22:18 モンモランシ
朝から読んでてやっと読み終わりました.英語で10時間なら自慢してもいいですよね(笑) それだけ読み方が雑だということでもありますけど.

1.タイタニックでびっくりしましたか?

そういう設定なのかとそのまま受け止めました(漏れ聞いていたせいもありますけど).

2.ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?

こちらは驚きました.

3.あの結末はどうですか?

第3部という意味では,メッセージの受け渡しが死者が生前にばら撒いた断片で行われるところが読みどころであることは確かですが,やはりストレスがたまりました.結末としては納得です.

4.じつのところ,3分の2あたりまではいつもの退屈なウィリスなのでどうなることかと思いました.『リンカーンの夢』,『ドゥームズデイ・ブック』,To Say Nothing of the Dog と,ウィリスの長編とは肌が合ったためしはないんですが,たしかに今回は後半は見事でした.

5.厳密にいえばSFではないんでしょうけど,やはりロジックが読みどころですので,SFファン向きの作品かなと思いました.一般小説として読んだ場合は,論理へのこだわりがうるさ過ぎるし,ドラマも軽いし,文章もあっさりしすぎているように感じます.ま,ウィリスとは肌が合わないし,sitcom にも臨死体験にも興味がないせいがあるんでしょうけど.

6.コメディとして笑えたのはジョアンナの姉(妹かと思ってました)の登場シーンぐらいでしょうか.シリアスな場面のすぐあとにこれは上手いと思いました.

7.結末でのヨークタウンの登場は,ミスター・ウォジャコフスキー経由で Ancient Mariner と繋がりますので,何度も出てくる resurrection のイメージだと単純に受け止めてました.ただまあ,宗教的な方向に流れるというよりは,瀕死の脳が見せている最後の救いの機能の発露ぐらいの印象ですけど.

8.The Secret Garden の箱に「鍵」を入れているところが個人的にはウケました.

■re:『航路』と直接は関係ない話ですが
2002年10月13日 16:49:45 冬樹蛉 MAIL WEB
>湯川光之さま

 スレッドの上限をオーバーしたので、新規発言でリプライします(ほんとに
謎な仕様の掲示板ですね。Opera だとうまく動作しなかったりするし)。

>さらに二段か三段ぶっ飛んだ「超トンデモ」な展開を期待していたのですが、

 わはははは、たしかにトンデモも「超」までゆけば、また別の面白みが出て
許容範囲に入ってきますからね。

>庄司薫さんの四部作の改版が中公文庫から出ています。

 ありがとうございます。湯川さんの日記でも拝見しました。庄司薫が、いま、
この時代にアレらの改版を出したという事実にはたいへん興味があるので、どこ
が改まっているのかそのうちチェックしたいと思います。

■最終章の解釈について
2002年10月13日 9:04:22 田波正 MAIL
> これは確信犯でしょう。

確信犯でしょう?

だって、
「さて、このあともう一幕ありますが、
どんな話になるかは、みなさんもうお察しのことでしょう」
ってエピグラフなんだから。


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第三部の構成について
2002年10月13日 12:44:55 田波正 MAIL

もしかしたらすでにどなたか指摘されているかもしれませんが、
(この伝言板はすごーく読みにくいです)
『航路』第三部のポイントは「構成のしかた」にあると思われます。

一見すると、このパートは、
死後の世界からメッセージを伝えようとするジョアンナの行動と
そのメッセージを受けとろうとするリチャードの行動を
カットバックで描いているように見える。
しかし、もし臨死体験が瀕死の大脳が引き起こしたメタファーだとしたら、
実際にはそうではない。
現実の時間順序でいえば、ジョアンナの臨死体験は、
第二部が終わった時点ですでに終わっているはずです。
(死後2時間が経過すれば、脳細胞は完全に活動を終えているでしょう)

したがって、このパートは過去と現在とを
あたかも同時に起こっているかのように書いてあることになる。
しかも、ジョアンナが死後の世界から伝えようとしている
(かのように見える)メッセージとは、
「臨死体験が瀕死の大脳が引き起こしたメタファーである」ことに
ほかならない。
ここでわたしは作者のたくらみの深さにうなりました。


--------------------------------------------------------------------------------
まさにそこがみごとです
2002年10月13日 16:28:03 冬樹蛉 MAIL WEB

>現実の時間順序でいえば、ジョアンナの臨死体験は、
>第二部が終わった時点ですでに終わっているはずです。

 SF系やミステリ系の読者は当然そう思って第三部を読み続けるわけ
ですが、ジョアンナ側にも“そのあと”があると当然のように期待し続
ける読者もいるはずで(つまり、まさにマンドレイクが結果的には正
しい?)、例の「十字架」あたりは、そのオプションすら閉じすぎな
いための確信犯、大森さんの言うところの「ぎりぎりの歩み寄り」で
すね。まあ、マンドレイクは極端にしても、そこそこの宗教心の持ち主
まで無下に切り捨てないようにしている。小憎いといえば小憎いです
けど。

 私が気になるのは、それがウィリス個人の心情の率直な反映なのか、
アメリカで出版することに多少気を使ったプラグマティズムなのかとい
う点です。ウィリスに後者の思惑が皆無だと言えば嘘になるでしょう
が、べつにアシモフやヴォネガットみたいな筋金入りの“敬虔な無宗
教者”の本だってそう毛嫌いされているわけでもなさそうですから
(けっこう迫害もあるみたいですけど)、私自身は、ウィリスなりの
優しさの発露だろうと歩み寄りたいところです。

 ヴォネガットの「アイザックはいま天国におります」という冗談に
爆笑する人って、アメリカにはどのくらいいるもんなんでしょうね?


■最終章の解釈について。
2002年10月9日 13:40:21 大森 望 MAIL WEB
 すみません。この掲示板の仕様をよく知らずに運用してたんですが、スレッドのバイト制限があるみたいですね。うーん、使いにくいかも。

 というわけで、新スレッドにしましたが、鈴さんの「最後の場面」に関するコメントです。
(あ、そういえばウィリス日本語サイトから鈴さんのhttp://www.geocities.com/yashigani/bl004.html#passageに勝手にリンクしちゃってすみませんでした。この感想は売り方とかを考えるときにたいへん参考にさせていただきました。いまさらですがありがとうございました。

 で、最後のヨークタウン登場場面ですが、アンテナが十字架に見えたりするので、露骨と言えば露骨ですね。これは確信犯でしょう。だからSF読者の中には「最後の最後で転んだのかよ」と怒る人も出るんじゃないかと予想してたんですが、そういう意見はいまのところないようです。
 あのラストは、それでも救いを求めたい読者の気持ちにぎりぎりのところまで歩み寄った結果だと思ってるんですが。科学のふりをした詐欺は断固糾弾するけど、(ミセス・ウーラムの扱いとかでもわかるように)宗教的な救済までは否定してない。最後にああなるのは、疎遠だったお姉さんの影響がジョアンナの潜在意識にやっぱり残っていたんだなあとも解釈できるわけで、そうするとあのお姉さんの唐突な登場はヨークタウンの伏線だったのか――みたいな読み方も可能かも。
 死んだら(人間の心が)どうなるかについては、だれにもたしかなことはわからない――というスタンスなので、臨死体験の幻覚で宗教的なビジョンが立ち現れることは、小説全体とは矛盾しないと思います。ヨークタウンに迎えられてあの世に行くんだと思う読者がいても、それはそれでかまわない。そういう希望にすがりつく気持ちまでは無下にしないってことでしょう。--------------------------------------------------------------------------------
もひとつ感想リンク
2002年10月9日 21:19:06 鈴
レス、ありがとうございます。(これぐらいなら容量制限だいじょうぶでしょうね?)
うちのページはもうずっとほったらかしにしてあるんで、おいでになる方には申し訳ないですが、もちろんリンクはかまいません。

調子にのりますが、「アンサンブル」のVoid Which Binds のVol.3を細井さんがウェブ版にしてくださってまして、そっちにも「航路」とウィリスの他の話について書いてあります。最後の数ページです。内容紹介が主で、読了された方にはあまり意味がないものですけどね。

それなりに気をつけた形の警告つきですが、タイタニックのネタバレもしてますので、せっかくですからこちらにリンクしておきます。(やっぱり、このネタバレには賛否あるとおもいますので、ファンページではまずいとおもいます)
http://www.fan.gr.jp/%7Ehosoi/VoidWhichBinds3.pdf


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縁なき衆生の読解ですが
2002年10月10日 3:54:21 冬樹蛉 MAIL WEB
 最終章については、私は大森さんよりもずっとミもフタもない読みかたをしました。ヨークタウンにはまったく宗教的な意味づけを感じず、ジョアンナの脳が最期の活動で、「三日で復活した」→「ヨークタウン」「キリスト」→「十字架」とメタファーや象徴の連想ゲームをやった結果、ああいうものが出てきたんだろうなとシンプルに捉えました。結局、最終章のヴィジョンは「少女」「復活」「希望」という概念のまわりを、「ジョアンナのシナプスなら最後の力をふり絞ってこう発火するだろうな」と納得がゆく事物が絡み合って出てくるわけですよね。いわば全篇が「ジョアンナのシナプスなら最後の力をふり絞ってこう発火するだろうな」と読者に論理的に納得させるための伏線の塊みたいなもので、あのお姉さんが唐突に出てきたのは、むしろ“最終章に過剰に宗教的な意味を持たせないため”ではないかと思っているのです。「ああいう姉がいるんなら、“復活”のメタファーとしてヨークタウンとキリストとがごっちゃになって出てきても不思議はないな」と理屈で納得しちゃう。
 ジョアンナの脳が「少女」「復活」「希望」をめぐる連想ゲームを最期まで健気に行なっているドライヴとして、ジョアンナが生きた証としての“想い”が働いている。ジョアンナの脳が、最期の活動で描くヴィジョンに“なにを選ぶことになったか”が泣かせます。これは、だんだん知能が衰えてゆくチャーリイ・ゴードンの脳が、元の知恵遅れに戻ってしまっても離さなかった記憶――あの「ついしん」――が泣かせる構造とまったく同じです。
 私が気に入ったのは、ジョアンナが最後に伝えたかったメッセージがメイジーを救ったという事実が、ジョアンナの最期の臨死体験とメイジーのサーカスの臨死体験描写がまったくなかったとしても、きちんと論理的に成り立っている点です。ミもフタもないんですが、まさにミもフタもないからこそ私にとっては感動が大きいです。死をこれだけ書きまくっているのに、最終章ではジョアンナが死んでゆく過程が描写されればされるほど、むしろ彼女の生の一回性・有限性の輝きのみが鮮烈に立ち上がってくるんですなあ。そこが巧いと思いましたですね。


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もちろんそういう風に読めるし、
2002年10月11日 12:32:07 大森 望 MAIL WEB
 ぼく自身はそういうふうに読んで納得したんですが、それはSFレベルでの納得だという気もするので。初読のときは、『コンタクト』映画版の結末にちょっと似てるんじゃないかと思いました。カンザスの螢狩りの記憶が甦るシーンが抜群にいいので、それに比べると、ヨークタウン登場は、意外性の効果はあるにしても、やや唐突なのでは。ブラックアウトして終わってほしかったと思ってるわけじゃないけど。


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たった十時間余りでできる「あなたはナニ系?」診断
2002年10月12日 3:45:53 冬樹蛉 MAIL WEB
 「それはSFレベルでの納得だという気もする」ってのは、この小説の特徴をよく表わした名言ですね。たしかに、ミステリ読みはミステリレベルの納得をするだろうし、ファンタジー読みはファンタジーレベルの納得をしそうな気がするのです。それを許すオプションを巧妙に開いたままにしてありますね。そう言われて気がついたのですが、ひょっとすると、臨死体験をマンドレイク的な意味での“向こうからのメッセージ”と解釈してしまうナニでアレな人にも、そういうレベルで納得したまま感動のうちに読み終えられるオプションすらあるのではなかろうかと、ちょっと愕然としました。哀れな唯物論者のジョアンナは、死の直前マンドレイクに語ったように、臨死体験はあの世からのメッセージだと悟り、危ないところで救われたのでしたー――と読みたい人には(ちょっと都合の悪いところもあるけど、なあに、人は見たくないものは見えないもので(;^^))読めてしまう気さえします。自分がナニ系の読みかたをする読者なのかを自己診断するのに恰好の小説かも。宜保愛子氏と大槻義彦氏に読んでもらったら、両氏とも「感動した。すばらしい」と意気投合(?)しちゃったりして。腰巻にコメントをもらったらすごかったでしょうね。「宜保愛子・大槻義彦絶賛!」なんて腰巻の本が平積みになってたら、「どどどどーゆー話やねん??」と、みなレジに持ってゆくこと請け合い。

 「『コンタクト』映画版の結末にちょっと似てる」――オッカムの剃刀のアレですね。そう言われれば、似てますね。ただ、『コンタクト』の場合は、あの“録画時間の問題”があるので、不必要に解釈が収斂しちゃうかもしれませんね。アレがなきゃ『航路』に迫ったのに(笑)。

 でもやっぱり、SF読みの多くは、『航路』に関しても、オッカムの剃刀ふるいまくりの読みかたをしちゃうんでしょうね。ミもフタもなければないほど感動するという回路が、SF読みの多くの中にはあるような気がしますし。


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『航路』と直接は関係ない話ですが
2002年10月12日 21:12:47 湯川光之
>冬樹蛉さま
>人は見たくないものは見えないもので(;^^)

いまABCテレビ(テレビ朝日系)を見ていたら、バズ・オルドリン氏への
「インタビュー」(もちろん都合の良いように編集済み)を流した後で、
ゲストたちが「やっぱり怪しい、月には行ってないんでしょ」とか言いたい放題。
私は『航路』に、いわゆる「トンデモの人たち」を哄笑しながらも、
さらに二段か三段ぶっ飛んだ「超トンデモ」な展開を期待していたのですが、
現実世界でのビリーバー(というか科学アンビリーバー)を見てしまうと
やはり『航路』はあれでよかったのか、という気持ちになってきました。

あとこちらはぜんぜん関係ない話ですが、冬樹さんの日記でも言及されたことのある
庄司薫さんの四部作の改版が中公文庫から出ています。あとがきなどの
追加は無いようですが。

■おはようございます。
2002年10月9日 8:56:42 玉葱
目覚ましにしている携帯がうんうん言っているので、また今晩ゆっくり来ます。
ウィリスもラッカーも好きです。大森さん、翻訳してくださってありがとう。


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>>玉葱さん
2002年10月9日 11:04:09 大森 望 MAIL WEB
 おはようございます。
 今晩またごゆっくり。


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ある種のトンデモ本には飛躍の気持ち良さが
2002年10月10日 1:46:20 玉葱
こんばんは。
『航路』、会社を微妙にさぼったりして2日半で読了しました。

率直な感想は、臨死体験のコア要素というのは本当のことだろうから、
そこからつじつまを合わせるべくストーリーを編んでいったのがこの本
なのかな、という感じでした。

だから、おそらく作者も、そして読者である私も、「この話はどう転んで
いくんだろう」というわくわくよりも、結末へ収束していくスピードに乗って
(ぐるぐる巡りの渦に捕らえられながらも)「たぶんこうなる」という予測を
確認しながらの読書体験でした。

そこが、いつものウィリスらしくないような、読後の物足りなさを感じたところです。

でもあるいは、臨死体験というテーマにカスタネダの夢見のトンデモぶりを
期待して、常識的な結末がつまらなかっただけかも。

とはいえ、これだけの物語を読ませてもらいながら、贅沢ですね。

では大森さん、『ドゥームズデイ〜』の続編も待ってます。あと短編集もぜひ。
お体に気をつけて、益々のご活躍を。--------------------------------------------------------------------------------
『航路』の出発点
2002年10月11日 12:42:32 大森 望 MAIL WEB
 発想の原点は、たぶん、
「タイタニック号沈没事故は死そのもののメタファーである」
 ってところだと思います。ウィリスが20年前に書いた短編の「救難信号」がそういう話なので。
 それを臨死体験のコア要素と結びつけてプロットを組み立てたんじゃないでしょうか。その意味では、これだけの長さなのに、ストーリーで読ませる小説にはなってないかも。むしろ構造で読ませる小説っていうか。


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「感動」の意味が違ったんですね
2002年10月12日 0:27:27 玉葱
構造で読ませる小説だ、というのはすごくよく分かります。

「潜る」ことへの恐怖と臨死体験が解明されることへの恐ろしさに、読んでいる間は夜電気を消して眠れなかったんです。

今思うと、登場人物達が決して思うように動いてくれなかったり、同じ話が何度も繰り返されたりする読者のストレスが、答えがすぐそこにあるのに分からなくて同じところをぐるぐる探す登場人物達のストレスと同調する、というような仕掛けが重層的に仕組まれていて、それが結局物語の世界に深く共鳴する効果を生んでいたのですね。

死というテーマに、ストーリーではなく構造で迫ったんだと分かり、やっと、そして猛烈にSOWを感じることができました。

■少数派です
2002年10月11日 8:10:31 まさこ
 良質の小説だと思うし、最後まで飽きずに読むことができたんですが・・。
 自分が血も涙もない人間かと思うほど、登場人物に全然感情移入できませんでした。
 まず、自己管理のできないジョアンナはプロとしてどうよとか、こういう実験って倫理上問題じゃない?から始まって、もろもろでひっかかってしまい、物語に入っていけませんでした。
 マンドレイクの俗物ぶり、メイジーのひきのばし、ウォジャコフスキーさんの長話、それにもましてそれらに対するジョアンナの態度にイライラさせられ(これは、わたし自身の職業上のストレスに結びつくせいです)、気持ちが入ってないので、展開にもびっくりせず、最後も「ふ〜ん」で終わってしまいました。
 脳内の活動ってそんなに単純なものじゃないだろう、というのが正直なところです。
 自分自身の環境的要因が大きいと思いますが、少数意見として書き込ませていただきました。


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>>まさこさん
2002年10月11日 15:06:34 大森 望 MAIL WEB
 どうも、ミステリ談話室ではお世話になってます。せっかく『クリプトノミコン』を放り出してまで読んでいただいたのにすみません。
 感情移入ってことでいうと、たしかにそうかも。ジョアンナはどんどん逸脱・暴走していくし。キャラで言うと、むしろヴィエルとかメイジーとかを軸に読んでましたね。
「だれが読んでも面白い」なんてことはやっぱりそうそうないのか。うーん、残念。


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いえいえ
2002年10月11日 23:08:17 まさこ
 わたしのツボの範囲が狭いのは大森さんの責任ではありませんから、あやまっていただいたら恐縮してしまいます。
むしろ訳文のおかげでスムーズに読めたので。
 わたしにとっては、臨死体験が魅力的な謎として捉えられなかったので、すべてが腑に落ちる、という快感がなかったのだろうと思います。

■『航路』は長すぎるか?
2002年10月11日 13:16:15 大森 望 MAIL WEB
  内田昌之氏の「お知らせ」欄の感想(http://homepage2.nifty.com/m_uchida/news/200210.htm#20021006)をはじめとして、「いくらなんでも長すぎる」という声がけっこう出てるので、それについて少々。

 訳者あとがきでは、「感動」とか「泣ける」って言葉を意識的に使ったんですが、どうもぼくの「感動」のツボはあんまり一般的じゃないみたいですね。
 大森にとって『航路』の「感動」は、一見無関係に見えたばらばらのピースがひとつにまとまって大きな絵ができる、その瞬間のカタルシスにある。しかも、絵が完成してみると、大量に撒き散らされたピースはほとんど余りが出ていなくて、うわあ、そういうことだったんかいと感動するわけです。予定調和的なストーリーに感動するわけじゃない。

 実際、プロットは非常に単純で、主人公が「タイタニックは死のメタファーである」ことを悟り、「臨死体験は脳が神経系に送り出す救難信号(の副産物)である」と発見するだけの話。どちらの発見も、べつだんびっくりしたり感動したりするようなことじゃないんだけど、この「発見」がもたらされた瞬間に、それまで語られてきたことすべてが再配列されて、新しい意味を帯びる。がらがらどっしゃんのその感覚に感動し、なるほどそうだったのかとひざを打つわけで、これはすぐれた本格ミステリやある種のSFが与えてくれる感動にかなり近い。物語のレベルでは世界が再構築されるわけじゃないので、ふうんと思うだけの人もいるでしょうが、ぼくにとってはセンス・オブ・ワンダーでした。


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つづき
2002年10月11日 13:17:18 大森 望 MAIL WEB
 たとえばポケベルの電源を切ってる間になにかが起きたんじゃないかという不安が、無線を切っていたせいでタイタニックのSOSを受信できなかったカルパチア号の話に重なるんだけど、それは「届かないメッセージ」という大分類の下に配置され、いちばん最初からネタを振られていた「58」と介して「遠すぎて間に合わない」と重なる。
 あるいは、そのバリエーションとして何度もくりかえし登場する、「答えは目の前にあるのにそれに気づかない」というシチュエーション。
 リチャードは最初からθアスパルシンを見ているのに、それが鍵だと気づかない。ジョアンナの死後、ブライアリー先生は何度も最重要な答えを告げているのに、登場人物はそれに気づかない。ジョアンナは肝心なことをちゃんと言い残したのに(「あれはSOS」)、リチャードはそれを誤解してしまう。ミスター・マンドレイクは最初から「臨死体験は向こう側からのメッセージだ」と言っているのに、ジョアンナはそれが真実だとは夢にも思わない(ちょっと意味が違いますが)。タイタニックを目の前にしても、ジョアンナはそれが「死」そのものの鏡像だとは気づかない。あれだけ聡明なメイジーも、あれだけの状況証拠がありながらジョアンナが死んだことに気づかない。

 つまり、内田昌之氏が指摘する「登場人物がごく常識的な行動(携帯電話の電源を切るとか)さえとれないために事件がなかなか解決しない(謎が解けない)というパターン」は、「あまりにも古典的すぎる」結果ではなくて、この小説の構造上必要な回り道なんじゃないか(携帯電話について言えば、キットが電源を切らない理由は一応説明されてますが)。


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さらにつづき
2002年10月11日 13:18:47 大森 望 MAIL WEB
 マーシー・ジェネラルの迷路のような構造、(先入観を持つことになるので自分で船内案内図を調べるわけにはいかないという事情から生じる)タイタニック船内構造のわかりにくさ、必要とする情報をすんなりとは与えてくれない被験者……などなど、ストーリーのスムースな進行を妨げるものに満ちていてなかなか話が進まないのは、メッセージがうまく伝わらないことをめぐる物語だったからだ――ということに気づいて、その瞬間すべてが腑に落ちる。ぼくの場合はそこで感動するわけですね。

 「58章のラストでは不覚にも涙をこぼしそうになった」というのも、メイジーが救われるから感動するんじゃなくて(エンターテインメントなんだから、そうなることは最初からほぼ自明)、あそこで不意打ちのようにエメット・ケリーが登場するから。W・S・ギルバートのように死にたいと語っていたジョアンナが、メイジーの臨死体験の中ではエメット・ケリーと同一化し、自己犠牲の象徴になる。もちろんこの時点でジョアンナはとっくに死んでいるわけだし、メイジーの潜在意識がジョアンナをそういうふうに再構成したというだけのこと。だから、「あなたがだれだか知ってる」とメイジーが言うのは自作自演みたいなものなんだけど、「答えが目の前にぶら下がっているのにそれに気づかない」状況がさんざんくりかえされたあと、奇蹟的な蘇生とともに訪れる理解だからこそ素直に感動できる。しかもそれが「遠すぎて間に合わない」はずの「五十八」章ですからね。そこまで計算していたかどうかはよくわからないが、みごとに平仄が合ってるじゃありませんか。

 というわけで、スムーズに話が進んでしまうと(500枚とか1000枚で書いてしまうと)、そもそも『航路』という小説は根本的に成立しないんじゃないか。つまり、500枚で書けるネタなんだけど、そのネタを書くことがこの小説の目的ではないと。
 そういう小説はたいてい非常に読むのがしんどくなるし、くりかえしばっかりで退屈しちゃうんだけど、『航路』の場合は(少なくともぼくは)どんどん読める。それを指して「天才的ストーリーテリング」と言ってるわけで、「波瀾万丈のストーリーを書いてる」ってことではありません。だから「物語の密度が薄い」という指摘はその通りなんだけど、物語の密度が薄いが薄いとふつうはリーダビリティが下がるのでは。


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なるほど
2002年10月11日 19:30:00 内田(ま)
 詳細な解説の解説をありがとうございます。大森氏の「あとがき」その他で、いまいち理解できなかったことが、なんとなくわかってきました。

 補足もかねて一点だけ。「登場人物がごく常識的な」うんぬんという点については、『ドゥームズデイ・ブック』でもまったく同じ感想をもったので、「この小説の構造上必要な回り道」ではなく、たんにウィリスの小説作法のくせなんじゃないかと思います。わたしにはどうしても、この長さに必然性があるとは思えませんでした。ロビンスンの火星シリーズなんかは、逆にあの長さがどうしても必要だと思えるんですけどね(これも少数意見かも)。

 わたしの場合、第二部終盤でジョアンナが二百ページくらいかけて到達した結論に、第三部でべつの登場人物がまた二百ページかけてたどりつこうとしていることがわかったとたん、果てしなく心がくたびれてしまい、あとは義務的な読書になってしまいました。楽しめなかった分だけ損をしたわけで、あまりよい読者ではなかったようです。うちの妻は『ドゥームズデイ・ブック』もお気に入りなので、たぶんこっちもだいじょうぶでしょう(笑)。

 まあ、おもしろい(刺激的な)本ほど評価は分かれるものです。万人が誉める本というのは、どうでもいい本であることが多いですから。


■amazon.co.jp売上ランキング
2002年10月8日 19:24:21 大森 望 MAIL WEB
 一昨日は13,032位まで落ちていたのにぐんぐん上昇。
 『航路』上巻は14位、下巻は16位まで上がってます。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/browse/-/497532/ref=b_sn_bs/249-6574253-5779568
 ほんとかよ。
 ライバルは「モーニング娘。×つんく♂ 」らしい(笑)


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祝ランクアップ
2002年10月8日 19:52:30 野尻抱介 MAIL
 貧乏神の私が誉めちゃイメージダウンかと思いましたが、これで無罪?(^^)

 ときにタイタニック沈没事件って、聖書やモノポリーと並ぶ、欧米人の基礎教養なんでしょうか。「航路」や「グランドバンクスの幻影」を読むと、そんな気がするのですが。カルパチア号とか、読者が知っているのを前提にした感じで登場するところとか。


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re:タイタニックの常識度
2002年10月8日 21:50:10 大森 望 MAIL WEB
 『航路』に関しては、やっぱりレオ様の映画版が大ヒットしたからって事情もある気がしますが。不沈のモリー・ブラウンとか、ジョン・ジェイコブ・アスターとか、乗客のセレブの名前は日本よりずっと知られてるかも。でもまあ、日本人だって、細野晴臣のおじいさんが乗ってたとかいう話だけは知ってたりするので。
 あとはウォルター・ロードの『タイタニック号の最期』ですね。基礎教養ってわけでもないだろうけど、これは日本よりずっと読まれてるのでは。もっとも日本でもいまだにちくま文庫で翻訳がすぐ読めるんだから、常識度がものすごく違うわけではないでしょう。聖書やモノポリーの日米差に比べれば、僅差だと思います。


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re:タイタニックの常識度
2002年10月9日 14:18:35 野尻抱介 MAIL
 回答ありがとうございました。災害本に没頭するメイジーが楽しそうなので、自分もちょっと調べてみようかな、と思っているところです。

 あらためて感想ですが、Arteさんのとよく一致しています。リチャードの逸脱にハラハラしたところとか、「生き返ったらがっかりだよなあ」とか。
 最終章は別にスーパーナチュラルじゃないのでは。ランダムなシナプス発火が次第に顕著になってくるところで「人の死をこんなふうに表現する手があったか。うまいなー」と思いながら読んでいたので、ヨークタウンには驚かず。「ああ、彼女は幸せな気分で死んでいくのだなあ」としみじみしました。
 小説自体も読了とともにある意味で死を迎えるわけで、人生は情報、読書は人生なんだなあ、と思ったことです。

■ご恵贈御礼
2002年10月9日 11:21:30 古沢(よ) MAIL WEB
▼大森望大兄

 昨日、ソニーマガジンから届いた郵便物がポストに入りきらず、局にもどされたんですが、これはもう、まちがいなく『航路』だと思いますので、御礼もうしあげます。ていうか、サンプル版で充分だったのにご負担をかけてしまい、申し訳なさちょっぴり。まあ、アマゾンJPからDMメールが出るくらいの「今年度最大の話題作」で、「たちまち重版」、「ン万部突破!」の文字が躍るでありましょうから、ご負担も誤差のなかにおさまるものと拝察。

 そういや、大兄がこの本を訳されることをまったく知らずにことし原書を読んで、あまりのおもしろさに、某編集者にそれとなく打診したら、「ナイショですが、もう他社で訳されることが決まっているんですよ、それ」と言われ、びっくりしたのは、いまはもう遠い思い出(笑)。

 タイタニックにはまったく驚かなかったんですが、リチャードが潜る場面には、「そっちに行くなぁ、ウィリス!」と心のなかで叫んだほど。いや、とにかく、テーマがテーマだけに、チョーに転びそうで転ばないはらはらどきどきをSF者に味合わせたウィリスの巧みさ(SFファンのウィリスへの信頼を逆手にとった戦略?)には脱帽。万人受けするお小説さまだけど、SFファン向けにちょっぴりおまけがついている、という感じでしょうか。
 ジョアンナが生き返ったり、リチャードの潜りに効果があったりすれば、本を壁に投げつけていたでしょうな>わし


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業界関係者への謹呈は版元献本枠で
2002年10月9日 13:17:20 大森 望 MAIL WEB
 自腹の負担じゃないので売れなくてもオッケーです(笑)
 amazonのDMの威力は絶大だったみたいですが、あれもキャンペーンの一環なので。最近どうも「万人受け」の確信は揺らぎつつあったり。

 しかしそんなことがあったとは知りませんでした。Passage傑作!という話は去年の春からあちこちで吹聴してたつもりだけど、関西方面までは届いてなかったんですね。しかしペーパーバックで読むほうがはやく読めたりして(笑)。

■『航路』ネタバレ掲示板開設しました。
2002年10月8日 1:28:53 大森 望 MAIL WEB
 コニー・ウィリス『航路』の感想、コメント、関連する話題などをお寄せください。ネタバレOK用に作成しただけなので、話の流れで別方向にずれていくことはとくに禁止しません。


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この掲示板の使い方は
2002年10月8日 1:35:05 大森 望 MAIL WEB
 まだよくわからないんですが、とりあえず「読んだよ」報告とか、ファーストインプレ的な発言はこの記事にレスするかたちにしてもらったほうがいいでしょうかね。
 訳者としてわりと知りたいのは、
●タイタニックでびっくりしましたか?
●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
●あの結末はどうですか?
 というあたりですが、べつにそれに答えていただく必要はありません。


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読了しました
2002年10月8日 20:59:43 有里 WEB
4章までは1時間弱、残りは8時間で読了。
わたしはぜったい泣かないもんねーと思っていたのに、
ちょっと泣いてしまいました。ああ、くやしい。

>●タイタニックでびっくりしましたか?
あまり。なるほど、宮部さんの帯は、こういう意味かと思った。

>●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
死んだときは驚かなかったが、生き返らなかったので驚いた。
ずっと期待してたんだけど、葬儀あたりで諦めた。

>●あの結末はどうですか?
それなりにハッピーエンドだと思う。
しかし、なんで最後に出てくるのが、あの船なのか。

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原書で読んだ印象
2002年10月8日 22:29:10 湯川光之 MAIL WEB
大森さんの訳ではまだ読んでいません。

>●タイタニックでびっくりしましたか?
読む前にAmazonなどの書評で知っていたので驚きませんでした。

>●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
第三部のエピグラフを先に見てしまっていたので、見当がついて
しまいました。でもその後リチャードが見たものには驚きました。

>●あの結末はどうですか?
メイジーがジョアンナの本当の行き先を聞く場面で終わっていれば
傑作だったのに、という印象。

キットに会ったジョアンナが「この子、メイジーに似てる」と思う場面で、
視点人物がそう思っているから読者もそう思いたまえ、と作者からサイン
されているような気がしたことが作品全体の心象を悪くしています。
コニー・ウィリスなら読者が自然とそう思うように描写できたはずなのに。


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>>有里さん
2002年10月8日 22:40:01 大森 望 MAIL WEB
 生き返ると思って読むのはファンタジーの人の証拠かも。
 あ、ミステリの人の中にも、「これはファンタジーだからきっと生き返るにちがいない」と思う人がいるみたいですが。

 ラストでヨークタウンが出てくるのはめちゃめちゃ驚きました。まさかあれが伏線だったとは。って、ウィリス自身も最後の一章は最後までどうするか決めかねてたそうですが。
 メイジーが臨死体験で行く先がハートフォードのサーカス火事で助けに来るのがエメット・ケリーなのと一緒で、たぶんヨークタウンなのに理由はなくて、長期記憶からランダムに選ばれてるだけでしょう。でもこういう不意打ち効果がものすごくうまいなあと思いますが。
 ちなみにいちばん最後のジョアンナのセリフは、ミスター・ウォジャコフスキーの上巻168ページのセリフの引用です――っていうのはみんな気づくんでしょうか。宮部さんはそこがツボだったみたいだけど。--------------------------------------------------------------------------------
>>湯川さん
2002年10月8日 22:48:00 大森 望 MAIL WEB
 タイタニックについては、邦訳が上下巻になるならネタバレしてもしょうがないだろう――というか、下巻はタイタニックをウリにしたほうがいいんじゃないかとも思ってたんですが、結局伏せることに。どっちがよかったかはよくわかりませんが、タイタニックでものすごく驚く人もいるみたいなので。

 ぼくが原書で読んでていちばん驚いたのも、リチャードが追いかけていくとこです。おいおい。一瞬ウィリスを疑いました(笑)。

「この子、メイジーに似てる」式のくどさは各所にありますね。メイジーの臨死体験で出てきたエメット・ケリーが、出口はほかにもある、「教えてくれたじゃないか。ほら、きみの本をいっしょに見てるとき」って言うあたりも、そこまでいわなくてもいいのにと思ったし。
 ただまあ、いわなくてわかる読者ばかりじゃないので、ある程度の説明はしょうがないかなあという気も。--------------------------------------------------------------------------------
感想
2002年10月8日 23:42:28 Arte MAIL WEB
>●タイタニックでびっくりしましたか?
いいえ。ふーん、という感じでした。

>●ジョアンナが死んだときはびっくりしましたか?
びっくりしました。思わず本を閉じて、マジかよ?と言いました。

でも、それより何より一番驚いたのは、やっぱりリチャードが
潜りに行ったところ。そうくるか??
後から、もし自分が同じ立場に置かれたら、やっぱり
とりあえずそうしてみるかもしれないとは思いました。

>死んだときは驚かなかったが、生き返らなかったので驚いた。
生き返ったらどうしようと思いながら、
ドキドキしながら読んでいました。

>●あの結末はどうですか?
よい結末だと思います。
ジョアンナのその前のシーンのどれで終っても納得したと
思いますが、伏線は置いておいても、あの船のシーンは
なかなかいいように思います(多少イライラしますが)。


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>>Arteさん
2002年10月9日 6:49:20 大森 望 MAIL WEB
 ご無沙汰です。大森の読み方とほぼいっしょですね。
 リチャードが潜りにいっちゃうとこは、「科学者がトンデモに転ぶ瞬間」の描写としては出色だと思いました。神秘体験とかをきっかけにいきなりあっちの世界に行っちゃうのはよくあるけど、『航路』の場合はあそこまでの積み重ねが膨大なだけにインパクト大。こっちの世界にもどってくるのが遅すぎるんじゃないかとは思いましたが。

 ついでにArteさんの日記http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/1951/niki.htmの記述についてですが、治療法がすぐできちゃうのは、「最初から目の前にあった答えが正解だとやっとわかった」からだってことで一応納得してます。θアスパルシンが人工的に合成されていたという伏線はとってつけたような感じだけど、要するに無数の神経伝達物質のうちでどれが犯人かわからなかったというだけなので。犯人がわかればすぐ逮捕できると。違うか。

 ところでコメントツリーをのばしてくとこの掲示板はかえって読みにくいみたいですね。新しく感想を書いてくださる人は新規発言にするほうがいいかも。


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ウォジャコフスキーの台詞
2002年10月9日 10:30:33 有里 WEB
>ちなみにいちばん最後のジョアンナのセリフは、ミスター・ウォジャコフスキーの上巻168ページのセリフの引用です――っていうのはみんな気づくんでしょうか。

うわーっ、全然気がつきませんでした。
爺さんの語る印象的なエピソードは多すぎて覚えきれません。
(三日で修理した船だってのは覚えてたのに!)

あまりにくやしいので、再度書きこみ
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re:ラストの台詞
2002年10月9日 11:03:03 大森 望 MAIL WEB
 正確には、"Not this day, not this day"が、ジョアンナの台詞では、"Not today, not today"になってますが。
 忘れた頃に出てくるのはほかにもたくさんあって、いちばん距離が遠いのでは、第3章に引用される童謡「森の中の二人の幼子」の歌詞の一部が51章でいきなり再登場するとか。
 あとはジョアンナの決まり文句、Can you be more specific?(もっと具体的にいうと?)をブライアリー先生やリチャードが再三くりかえしたり。
 58章で「やられた」と思ったのはエメット・ケリーの登場なんですけど、日本人読者にはわかりにくいかも。--------------------------------------------------------------------------------
最後の場面
2002年10月9日 11:16:15 鈴(やしがに、っす)
こんにちは。いきなりですが、ちょっとここに、飛び入りでいいですか?いろいろ感想や思い入れはあるのですが、ひとつ疑問におもってたところが最後の場面なんですよね。

(手元に本ないのでいいかげんです)最後のページのヨークタウンのアンテナ(?)に光が反射するところとか、「3日でよみがえる」とか、「もろキリスト教じゃん」と思ってたんですけど、(1)その認識は当たってるか?(2)そういうところ日本の読者は気になるか?、と思ってたのでした。どうなんでしょうね。


■今日の朝日新聞(関東版?)
2002年10月9日 11:05:58 大森 望 MAIL WEB
 3面に『航路』の全5段広告が載ってます。見開きの反対側(2面)は『海辺のカフカ』の全5段(笑)。
 しかしこの広告ではまるで宮部さんの新刊のような……。
 ご協力くださったみなさま、ありがとうございました。


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