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コニー・ウィリス『最後のウィネベーゴ』大森望編訳・河出書房新社 12/20発売 1,995円(税込)→amazon | bk1 | 7&Y
■『文学賞メッタ斬り!リターンズ』(→amazon | bk1 | 楽天 | 7&Y
『特盛! SF翻訳講座』(研究社/1800円+税)発売中→amazon | bk1 | 7&Y | 紀伊國屋 | ジュンク堂 | 丸善 | 楽天 | e-hon



【12月16日 最後のウィネベーゴとか】


■2ヵ月のご無沙汰でした。晩秋のベストテンシーズンは目の回る忙しさでひたすら未読消化の日々。いま出てる週刊朝日では、豊崎由美とふたりで、2006年度刊行のあらゆる小説のベストテンを選んでます。このミス、本ミス、闘うベストテン、本の雑誌ベストテン、このラノなど各種ベストと主要文学賞受賞作に加えて、豊崎由美が選ぶ国内純文/海外主流小説ベストテンと大森が選ぶ内外SFベストテンも掲載。ランキングおたくの人には便利かも。ちなみにオールジャンルから選んだ最強ベストテンはこんなの。『イリアム』と『ラギッド・ガール』が落ちたのはちょっと惜しい。

1 ガブリエル・ガルシア・マルケス『コレラの時代の愛』新潮社
2 ジーン・ウルフ『デス博士の島その他の物語』国書刊行会
3 中原昌也『名もなき孤児たちの墓』新潮社
4 恩田陸『チョコレート・コスモス』毎日新聞社
5 津原泰水『ブラバン』バジリコ
6 金井美恵子『快適生活研究』朝日新聞社
7 ミカエル・ニエミ『世界の果てのビートルズ』新潮社
8 山本弘『アイの物語』角川書店
9 森見登美彦『夜は短し恋せよ乙女』角川書店
10 佐藤多佳子『一瞬の風になれ』全3巻 講談社


■一時は年内刊行が危ぶまれたコニー・ウィリス『最後のウィネベーゴ』も、昨日、無事に見本が到着。犬の表紙がかわいいですね――とか言われますが、あれは犬じゃなくてジャッカルですよ! うーん、カバーはてっきりアバヴァンだろうと思っていたので意表を突かれた。そして表4はチワワのターコ。素敵すぎる。ちなみに装画担当の松尾たいこさんの個展が南青山のスペースユイ12/26まで開催中。コニー・ウィリス日本語サイトも更新しなきゃいけないんだけど、年末年始の宿題だな。

■さいとうよしこが企画編集、雑破業が妹萌え小説パートを担当した萌えダイエット本、『もえっと。 [ダイエット篇] 』(→amazon)も12/25発売予定。 以下のメイドカフェ各店、メイドステーションカフェRoyal MilkLittle PSX Mefle MerryHeartで19日から先行発売、購入者にバッジをプレゼントするそうです。




■異例の大増刷に踏み切った新潮社の新雑誌〈yom yom〉創刊号では、スティーヴン・キング『ダーク・タワー』全7部・16冊の一気読みレポートにチャレンジ。思えばこれでまるまる一週間つぶれたしわ寄せで大変な目にあったわけですが、売れてよかった。ひさびさにインパクトのあるデザインの小説誌。というか、中身が白紙のノートでもけっこう売れたんじゃないかと。束見本をノベルティに使うと人気が出そう。

月刊PLAYBOY1月号ミステリー特集では、この10年のミステリーベスト100を決める座談会と、「このミス」ベストテン予想座談会(全然当たらない)と、宮部みゆきインタビュー、京極夏彦インタビューを担当、直木賞受賞予想コラム原稿を1本書きました。この号はプレイメイト・カレンダーと横山剣のDVDがオマケでついてるのでお買い得。

■本日12/16の25:00から放送予定の深夜バラエティ、『僕らも作家グランプリ 〜ヒルズ文学賞〜』(ドスペ2枠)で、石田衣良、見城徹両氏といっしょに選考委員をやってます。小説を書いたのは、有野晋哉・長井秀和・前田健・矢部太郎・さとう珠緒・蒼井そらの各氏。ナマの蒼井そらが目撃できただけで満足ですが、選考は厳正に行い、筒井康隆審査委員長が「マジック・リアリズム文学」と評した某作が受賞。幻冬舎パピルスに掲載予定。

■あんまり売れてないので宣伝してくれと言われたんですが、青心社SFシリーズのロバート・F・ヤング『ピーナツバター作戦』(→amazon | bk1)がキュートな新装版で復刊してます。B6変型の小さなハードカバー(岩郷重力デザイン)。巻頭には大森が学生の時に本名(英保未来名義)で訳した短編が載ってます。今回、中身は昔のまま、いっさい手を加えずに復刊するということだったんで、読み返してもいません。ああおそろしい。


【10月15日 もろもろイベント告知】


「恋におちた悪魔 世界の終わりの魔法使い刊行記念
大森望vs西島大介☆サクセスの秘密 最終章 そして伝説へ…」

■2006年10月21日(土)18:00〜20:00(17:30開場)
■会場:青山ブックセンター本店内・A空間
■定員:80名様
■入場料:¥500(税込)電話予約の上、当日精算
■電話予約&お問い合わせ電話:03−5485−5511
■受付開始:2006年10月5日(木)10:00

 オレはABCの人から来てくれと呼ばれただけなのでなにをしゃべるのか全然知りません。しかし、「大森望vs西島大介☆サクセスの秘密、ここに完結。今、最終章の幕が上がる……。」っていったい。こんなこと書くの西島大介だけだよ! 平野綾に大絶賛され、あまつさえ対談までしてしまう男など犬に喰われるがよい! けっ、おまえなんかSOS団に入って映画でも撮ってろ! というわけで、『恋におちた悪魔』は断固糾弾する予定。みくるビームで射殺。


●「闘うベストテン2006」公開収録のお知らせ

ミステリチャンネル年末恒例の人気オリジナル番組「闘うベストテン」。 この番組は6名の文芸評論家が、1年間に出版されたミステリー(国内、海外)の中からベスト10を選ぶもので、各書評家の方々それぞれのおすすめ書籍を上位にランクインさせようと、毎年激しいバトルが展開されていきます。ミステリチャンネルでは、昨年に引き続き公開収録することになりました。観覧ご希望の方は、官製往復はがきの往信用裏面と返信用表面に、郵便番号、住所、氏名(往信用裏面には電話番号、年齢、チャンネルへのご意見・ご感想も)を明記の上、【 〒101-8440 ミステリチャンネル「闘うベストテン」係 】までご応募ください。

〆切:10月25日(水)、必着
*応募者多数の場合は抽選になります。
*応募のはがきに不備がある場合は無効となりますのでご注意ください。
*はがき1枚につき2名様有効です。
(ただし、2名様ご希望の場合は、ご同行者名をご記入下さい)
日時: 11月5日(日) 午後3時〜6時
14:00 開場
14:45 開演(この時間までに必ずご入場をお願いします)
15:00 公開収録開始
出演者:香山二三郎、豊ア由美、大森 望、吉野 仁、関口苑生、杉江松恋
(敬称略、順不同)
※収録した番組は2006年12月にミステリチャンネルで放送いたします。
お問い合わせ先:ミステリチャンネル カスタマーセンター
Tel:03-3233-0954 / Fax:03-3233-0957


――ということですが、大森の知り合いで見学したい人は適当に連絡してください。収録場所は阿佐ヶ谷南のシアターシャインです。終了後、宴会予定。


京都SFフェスティバル2006
日程 2006年11月11日(土)〜12日(日)*今年は合宿-本会型です。
会場 合宿:旅館さわや本店
本会:京大会館
開始時刻
合宿:11日(土)16:00 受付開始 / 19:00 開会
本会:12日(日)10:00 受付開始 / 11:00 開会

 合宿では、昨年ドタキャンの罪滅ぼしに、「SF書評企画リターンズ!」「特盛! SF翻訳講座・実践編」をやります。昼間は「SF翻訳出版の現在」。
 『グラン・ヴァカンス』にまさるとも劣らない傑作『ラギッド・ガール』がもうすぐ発売の飛浩隆氏が合宿から参加予定。あとはまあだいたいいつもの人たちです。


柳下毅一郎入魂編集の『女優 林由美香』がついに刊行。オレみたいな薄いファンが開くのも申し訳ないような思いきりティープな本ですが(あまりにもラブリーな写真ばかりが載っていてクラクラします)、じゃあネット上で見られる出演作には何があるのかと検索したところ、なんとDMMのピンク映画ch女優ランキングでは林由美香が堂々の1位。しかも作品の人気ランキング2位が吉行由実監督の「新妻不倫 背中で感じる指先」だったりするので、特殊なバイアスがかかっているような……。

 しかしピンク映画がこんなにVOD化されているとは知らなかった。というわけで、見たいと思っていた吉行由実監督『イノセント・キス』(姉妹どんぶり 抜かずに中で)をダウンロード。作品はいいんだけど、古いせいか画質が……。

じゃあと思って、橋本杏子の『スケパン刑事 可愛い名器』を20年ぶりに見た勢いで、橋本杏子が林由美香と対決するムーディーズの『下町混浴銭湯物語』を視聴。こっちは高画質でした。しかし橋本杏子はほぼ別人。



【10月6日 心筋梗塞1周年、デビュー20周年】


 というわけで、鮎川哲也賞の季節が巡ってきました。なんといっても話題は(いまもなお!)『容疑者X』問題なのであちこちに取材してたらいろんな人にたしなめられたり怒られたり嫌味を言われたりしたが、二階堂さんに蔓葉くんを紹介できたのでよしとしよう。
 いや、「邪悪な目論見」なんか全然なくて、「和やかに意見交換がなされ」るだろうと(過去の例から)確信してましたとも。

 ところで二階堂さんが上の恒星日誌で書いてる「本格評論の終焉」を読みながら、この文体と論法はなにかに似てるなあとずっと思っていたのだが、はたと思い当たった。「梅原克文のサイファイ宣言」。X論争における二階堂さんの立ち位置は、SFクズ論争における梅原さんの立ち位置に近いのではないか(いや、あのときの梅原さんよりはずっとインサイダーなわけですが)。だったら……とさらに考えはじめたら怖くなったのでやめました。

 CRITICAの座談会について日記に書いたコメントの件で笠井さんとも立ち話。「きみの認識は間違っているし不充分だが今日は忙しいからこのぐらいで勘弁しといたる」(大意)というようなことを言われた気がした。笠井さんの世界ではたしかにそうだと思います。

 二次会は暴風雨の中を迷いつつ魚民。宇山慶子さんを囲む席に混ざり、田中啓文とずっと落語の話をしてました。

 7月にツクモのポイントでiPod nanoを買ったので、最近は図書館やTSUTAYAで借りたりamazonで買ったりした落語のCDを片っ端からiTunesでHDDに落とし、nanoに入れて聴いているのである。もう100枚ぐらい聴いたかも。
 しかし初代春団治だけは全然聴きとれん……と愚痴を言うと、田中啓文いわく、「がまんして何回も何回もじいっと聴き続けてるとある瞬間にぱあっと面白さがわかって、大笑いできるようになるんや」。ほんまかいな。

 三次会はなぜか深夜喫茶の白百合。まだつぶれてなかったとは……。この店は時が止まっている。ってビューティフル・ドリーマーかよ。7人ぐらいでうだうだしゃべる。法月さんとCRITICAの瀬名インタビュー話とか。

 あ、話題のチェスタトン『マンアライヴ』ネタも。これ、翻訳に対する悪評をさんざん読んだあとで買ったせいか、ぱらぱらめくったかぎり、それほどひどいとは思わなかった。なにが書いてあるかはだいたいわかるじゃん。『不思議の森のアリス』の一部短編のほうがひどいんじゃないかなあ。parlour gameが「客間用のゲーム」になってたり、smoking concertが「煙のコンサート」だったりするので、訳語レベルでも相当そそっかしい翻訳なのはたしかだけど、しかしキャリア50年でそういう翻訳をしてる人にくらべるとまだしも罪は軽い。著作権切れの小説だから、文句がある人は誰でも改訳してウェブに載せれば吉。原文はグーテンベルクとかにあります。ま、かなりの難物ですが。

 午前3時過ぎに解散、タクシー帰宅。心筋梗塞1周年なんだからカーニバルに行けばよかったとあとで思った。おお、禁煙も1周年だ。

 さらに言うと(最初の単独訳書から数えて)翻訳家デビュー20周年。ヘタすると今年は訳書が出ないかもしれないのでたいへんまずいんですが。仕事しなきゃ。一応、予定では、12月にコニー・ウィリス『最後のウィネベーゴ』が出るはずなんだけど、ゲラの訳者校正が全然進まない……。



【9月26日 書庫小整理】


 さすがに自宅ではゲラを読んだり原稿を読んだりが困難になってきたので、書庫にしているマンションに座椅子の立派なやつを導入。マンボウとか、その手のやつをいろいろ検討した挙げ句、決めたのはこれ、モナカチェア。大森が買ったのは茶色のやつですが、コール天のは1000円安い。ノートパソコンをひざにのせて仕事をするには最適の設計。ぺたんこにするとベッドがわりにもなります。半日この上から動かなくてもそんなに疲れない。けっこうお値打ち。

 というわけで書庫に滞在する時間が増えたので、10年間積み上げたままの段ボール箱などをぼちぼち整理。さらに場所を空けるため、キネ旬20年分を処分することに。それだけじゃ古本屋がひきとりに来てくれないので、映画本のストックをまとめて売却。
写真1 | 写真2 | 写真3 | 写真4 | 写真5
 mixi日記で公開したところ、一部は知り合いに売れたので、残りを古本うさぎ書林にひきとってもらいました。売値は2万円ぐらい。値がつかない四六判文芸書もまとめて持ってってもらって、若干スペースが空いた感じ。まだ先は長い……。



【9月24日 シエラ・デ・コブレの幽霊】


 去る好事家がアメリカの業者から入手した伝説のホラー映画の16mmフィルム版がひそかに地下上映会でお披露目。添野知生主催、樫原辰郎協力の秘密上映会に集まったのは、聖咲奇、高橋洋、篠崎誠、中原昌也、西島秀俊、柳下毅一郎、小川びい、中村融、殿井君人、木全公彦、継田淳、矢口誠などなどのディープな人々およそ20人。そのまま映画が一本撮れそうでした。
 フィルムはたしかに本物と確認。状態もけっこうよかった。上映終了後は、この2巻の16mmフィルムの処遇をめぐって深夜まで熱い議論が戦わされた。だがしかし……。



【9月6日 緑メッタ増刷決定&イベント告知】


 ネット上の評判は前作に比べて微妙……という感じですが、おかげさまで早くも増刷決定。初版部数は前作の2倍だったんで、全然売れなかったら申し訳が立たないところでしたが、これでほっとひと息。
 それを祝して――というわけでもないけど、トークショーが決まりました。今回のゲストは〈SPA!〉の連載で芥川賞選考委員にケンカを売りまくって男を上げた中原昌也。相当たいへんなことになりそうです。あんまり時間がないのでご予約はお早めに。

「文学賞メッタ斬り!リターンズ」発売記念トークイベント
出演  :大森望さん×豊崎由美さん 特別ゲスト:中原昌也さん
日時  :2006年9月17日(日)PM16:00〜18:00
場所  :池袋コミュニティカレッジ(リブロ池袋本店上8F)
入場料 :1,000円(税込)
購入方法:リブロ注文カウンター(イルムス館B1)にて参加券を販売
     電話予約当日精算可(tel:03-5949-2910 )

 ついでにもうひとつ、京都SFフェスティバル2006も、一部の企画が発表になってます。大森は古沢嘉通氏と、「SF翻訳出版の現在」という企画で翻訳SF事情について対談します。「ニュースペースオペラの潮流」はタイムリーな企画。

 タイムリーと言えば、京都つながり、SFつながり(?)ということで、京都アニメーションをゲストに呼ぶアニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』解剖企画も提案されてたんですが、交渉した結果、忙しくて無理ですと断られた模様。むしろ来年のワールドコン向きの企画か。


【9月4日 4社合同SFフェア@渋谷ブックファースト】


 徳島の紀伊国屋書店からスタートした早川・創元・河出・国書4社合同SFフェアの東京興行。9月1日からはじまって、今月いっぱいやってるそうです。
 今日行ったら、棚6コ分とかの巨大なスペースを占拠してて驚いた。各社編集者によるPOP対決は国書刊行会の圧勝。プロの仕事だ……。
 あいかわらず河出のだけPOPがついてないので、何枚か勝手に書いてきました。自分の訳書にも勝手に書いた。全然関係ない『順列都市』とか『あなたの人生の物語』とかにも書いた。字が汚くてすみません。枯れ木も山のにぎわいということでひとつ。河出書房新社のSF担当のひとははやくPOPを書くように。伊藤靖も樽本馬を倒すチャンスだ! 無理か。
 ちなみに本来は、メッタ斬りチームと待ち合わせて『リターンズ』のサイン本をつくるために行ったんですが、浅倉さんも樽本氏とともにサイン本をつくりに来店してました。いまなら渋谷で浅倉サイン本が買える! しかも、矢野徹氏がご自身でつくって浅倉さんにプレゼントしたという篆刻「久志」落款印が捺してあるというたいへんレアなもの。おお、オレも持ってないぞ。

『文学賞メッタ斬り!リターンズ』に関しては、トヨザキ社長とふたりで山のようにサインしました。さらに手書きPOPも作成。サイン等のご要望があれば近郊ならどこへでも出向きますのでメール等で気軽に呼んでください(ohmori@st.rim.or.jpまで←スパムよけのため全角)。

 リターンズ大量入荷で驚いたのは、丸の内オアゾの丸善丸の内本店。芥川賞・直木賞コーナーに受賞作をしのぐ量で山積みにされ、「大森望&豊崎由美両先生にメッタ斬られた本たちをあつめてみました」という手書きPOPをつけて、中に出てくる本もまわりに積んであったり。ありがたいことである。



【9月1日 キアヌSF映画2本立@ワーナー試写室】


「イル・マーレ」と「スキャナー・ダークリー」を連荘で鑑賞。前者は「めぐり逢えたら」みたいなハリウッド・ラブストーリーになってて感心。舞台がシカゴなのでサンドラ・ブロックは医者。ER第9シーズンの世界と第11シーズンの世界が郵便受けを介してつながる? 見事なアダプテーションだなあと思いながら観てたけど、サンドラ・ブロックとキアヌ・リーヴスを先に会わせちゃったら意味ないじゃん!! ラストはあまりにも予想通りだったので笑ってしまった。タイムパラドックス問題にはちょっとだけ気を遣ってます。

「スキャナー・ダークリー」のほうはここまでやるかというぐらいディック。すごいよこれは。(原作にも出てくる)自転車のギアをめぐるジャンキーたちの間抜けな会話が死ぬほどおかしい。スクランブルスーツは超気持ち悪くて素敵すぎる! よくこんな映画の企画が通ったと感動するね。単館公開でカルト的なヒットになるかどうか……。頼みの綱はPKDファンだけ?

 最後もワーナーで締めるべく、109シネマズ木場にまわって「スーパーマン・リターンズ」。いいねえ、これ。ブライアン・シンガー、そんなにスーパーマン好きだったとは。 あと、ロイス・レーンのツンデレっぷり(意味が違います)はおたく男子のハートを直撃するに違いない。

 ジュンク堂池袋本店副店長の田口久美子さんがポプラビーチで連載していたエッセイを単行本化した『書店繁盛記』の見本をいただく。本の雑誌社既刊の『書店風雲録』の続編というか現状編。おお、カバーには田中香織が。小海裕美さんもいますね。
 エッセイの中身はウェブ連載中から愛読し、勝手に1ファイルにまとめて保存してあったりするんですが、相当量の加筆・再構成がほどこされている模様。読み出したら止まらない。ただし、田口さんはあんまり細かいことを気にしない豪快な性格なので、たまにすごいことが書いてあります。ライトノベルの語源に触れたくだり(単行本で加筆された部分)で、田中香織から聞いた説明として、「ライトノベルっていう名称はここ二、三年です。 多分大森望さんが名付け親です」となってるんですが、これはもちろん田口さんの勘違い。「最近では 『ライトノベル☆めった斬り!』とか、あちこちでこの呼び名が使われるようになりましたし」という田中香織の説明が誤解されたらしい。
 そんなこと言ってないのに(泣)と田中香織が嘆いてたので、ここで訂正しておきます(ちなみに『ライトノベル☆めった斬り!』には、「そもそも、大手商用パソコン通信サービスNIFTY-ServeのSFフォーラムで「ライトノベル」なる呼称が発明されたのは一九九〇年十二月のこと」 と書いてある)。



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