古建築専門用語辞典
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2000/10/8 作成                                                           
読み 文字 用語の説明 参考資料
あいがき 相欠き
合い欠き
木造継ぎ手、組み手の(仕口・しくち)の一種。2材の対応する
部分の相互に厚み幅の半分ずつ欠きとる。
あいのま 相の間
合いの間
「八幡造り」「権現造り」の社殿で、本殿と拝殿の間にある部屋。
古くは床を張らず石張りだったため、「石の間」とも言う。
あおりいた 障泥板 板葺き屋根などの棟の部分につける雨押さえの厚板。
「鐙板」(あぶみいた)ともいう。
あがりがまち 上がり框
上框
床の高さの変わるところにつける「無目」(むめ)(溝の無い横材)
玄関などに使われる土間から板床に上がる部分の横木
人目に付くため「銘木」(木目の美しい木)などが良く使われる。
あくあらい 灰汁洗い 木灰を水に浸した上澄み液を用いて、古材の煤や汚れを落とし
乾燥しないうちに水洗いする。現代では苛性ソーダ水溶液を使用
することが多い。
あくしゃ 幌舎 古代、朝廷の儀式、祭紀に参列者の控え所として設けられた
仮設小屋簡単な木骨組みとし屋根、壁とも幕を張る。「あくや」
「あくのや」とも言う
あごかき 腮欠き
顎欠き
「桁」(梁を受ける横材)に「梁」(屋根などを支える渡り材)を乗せる
場合などに用いる仕口。相互に欠き込み動かないように接合する。
「渡り腮(あご)」ともいう。
あじろ 網代 杉、椹(さわら)などの柔らかく腰の有る木材を、枌(へ)ぎ板
(薄く裂いた板)とし模様編みしたもの。
「行」・「草」の床の間天井、茶室天井、壁、床の仕上げ材などに用いる。
あすかからくさ 飛鳥唐草 「飛鳥時代」(593〜709)に制作された「軒平瓦」「垂木瓦」透かし彫り
金具、玉虫の厨子などに見られる、唐草紋様の総称。「忍冬(にんどう)
唐草」ともいい「すいかずら」を文様化したもので、ギリシャの「パルメット」
に由来する紋様。
朝鮮三国(新羅、百済、高句麗)から渡来したと考えられている。
あすかでらしき 飛鳥寺式 奈良、飛鳥に609年に完成した飛鳥寺の伽藍配置。塔を中心に三つ
の金堂を配置する。最古と言われた四天王寺式より古い形式とされる。
あずまや 東屋・四阿 四本の柱の上に「方形」「宝形」(ほうぎょう)の屋根をのせ、四方は
吹き放しとした小屋の形式。奈良時代には「寄せ棟造り」をいう。
「阿」は「棟」の意味。
平安時代貴族邸宅の庭園などに設けられた休憩所。
あぜくらづくり 校倉造り 「校木」(あぜき・丸、三角、四角断面がある)を「井楼組」(せいろうぐみ)
にして外壁を構成し、柱を用いない構造。
社寺の倉として建てられたものが多い。
代表例は奈良正倉院正倉、唐招提寺経蔵・宝蔵、
東大寺本坊教庫など(いずれも国宝)
あぶみがわら 鐙瓦 「本瓦葺き」の軒先に葺く瓦のことで、見つけ面に装飾紋が施される
ものが多い。「巴(ともえ)瓦」「花瓦」「雅(みやび)瓦」、
古くは「瓦当(がとう)」ともいう。
本瓦葺きの場合、軒平瓦、軒丸瓦を交互に葺き軒先を構成する。
本来の意味は軒丸瓦をさすが、軒瓦の総称として用いられることもあり、
「宇瓦」ということもある。軒平瓦は「軒唐草」などともいう。
あぶらべい 油塀 油を混ぜて練った土を用いた塀。本来は城郭の補強用として考えられ
たもの。京都竜安寺石庭の油塀は有名。
あまおち 雨落ち 軒先の真下の部分をいう。
社寺建築は本来軒樋を付けないため、雨だれで地面がえぐれるのを
防ぐため雨落ちに石造の溝を作ることがあるため、「雨落ち溝」の略称
としても用いられる。
あまぐみ 疎組み
阿麻組み
「和様」建築の様式で、柱間に「斗きょう」を置かない形式。
疎ら(まばら)組みともいう。これに対し、禅宗様(唐様)では、
「斗きょう」を柱間に置き「詰め組み」という。
あまじまい 雨仕舞い 雨の浸入を防ぐための建築手段の総称。
雨が漏ると「雨仕舞いが悪い」という
あまぶたがわら 雨蓋瓦 瓦葺屋根切妻の隅部分で軒巴と掛巴の交点に置く雨除け瓦のこと。
伏せ腕型以外に装飾彫刻を乗せた物も多い。「留蓋(とめぶた)瓦」
ともいう。
あみだどう 阿弥陀堂 阿弥陀像を安置する建物。奈良時代は死者の供養のため、平安中期
以降は浄土思想の極楽往生を願う目的で、寺院、貴族の邸内にも設け
られた。
九体仏を安置する長方形平面のものと、比叡山延暦寺の常行三昧堂
を原型とした三間角、五間角の正方形平面ものとがある。
あやすじ 綾筋 獅子口(寺院用の鬼瓦)の山形の筋のこと。〆(しめ)筋ともいう。
あらがき 荒垣 柱間が大きく、貫でつないだ質素な垣。神社、関所などの外柵。
神社などは本殿を取り囲む垣のうち、一番内側から、「瑞(みず)垣」
「玉垣」「荒垣」の順に設けるのが古式で、
出雲大社、伊勢の神宮などがその代表的遺構
あらかべ 荒壁 「木舞」(小舞)下地の土壁塗りで、粘土に「すさ」を混ぜて練り置き、
腐らせてから木舞貫の面まで塗った段階の壁。
関東地方では荒川沿岸の「荒木田土」(あらきだつち)を用いた
あららぎ 寺院などの塔のこと。
あり 先端が広がった台形の総称。「蟻掛け」「蟻継ぎ」「蟻ほぞ」などという
ありかけ 蟻掛け 「土台」や「胴差し」に梁などをT字型に接合するときなどに使われる
「仕口」。
ありかべ 蟻壁 「書院造り」などで、天井割りを調節するために設ける工法。
「蟻壁長押」(なげし)と天井廻縁の間と壁を大壁仕上げとし、
柱形(はしらがた)を塗り隠す。
あんかもん 安嘉門 平安京大内裏(だいだいり)十二門のうちの一つで、
「達智門」(だっちもん)、「偉鑒門」(いかんもん)とともに北に面する門。
あんぐう 行宮 天皇行幸(旅行)のときに設けた、仮の宮。「頓宮」(とんぐう)ともいう