#4 「1」も積もれば山となる

(2006/4/26)

放送で紹介された内容

  • 1×1 は 1
  • 11×11 は 121
  • 111×111 は 12321
  • 1111×1111 は 1234321
    ... 数字が順に並んでいる。以下ずっと計算すると、
  • 111111111×111111111 = 12345678987654321
    数字の山ができた。

数学的なバックグラウンド

1 * 1 = 1
11 * 11 = 121
111 * 111 = 12321
...
111111111 * 111111111 = 12345678987654321

となるのはよく知られています。残念ながら、10桁目は、1234567890987654321ではなく、

1111111111 * 1111111111 = 1234567900987654321

となり、対称性が崩れてます。ここであきらめず、この先どうなるかを調べてみます。

まず、11...11は、(10^n-1)/9 と表すことができます。
或いは、(10^n-1)の2乗を計算し、81で割っても計算できます。

9^2 = 81 : 81/81 = 1
99^2 = 9801 : 9801/81 = 121
999^2 = 998001 : 998001/81 = 12321
9999^2 = 99980001 : 99980001/81 = 1234321
99999^2 = 9999800001 : 9999800001/81 = 123454321
999999^2 = 999998000001 : 999998000001/81 = 12345654321
9999999^2 = 99999980000001 : 99999980000001/81 = 1234567654321
99999999^2 = 9999999800000001 : 9999999800000001/81 = 123456787654321
999999999^2 = 999999998000000001 : 999999998000000001/81 = 12345678987654321

99...99 の2乗は、
99..9800..01(桁数は偶数、9と0の個数は同じ)という形となり、
それなりにきれいなパターンとなっています。
また、11...11 * 11...11 とは異なり、こちらはどんなに桁数が増えてもパターンがくずれません。
それを81で割ると、123...321というパターンが出てくるというのも
(当然の結果ではあるが)面白いと思います。


まず、10桁〜30桁の場合の値を計算してみます。結果は以下のとおり。

10 : 1234567900987654321
11 : 123456790120987654321
12 : 12345679012320987654321
13 : 1234567901234320987654321
14 : 123456790123454320987654321
15 : 12345679012345654320987654321
16 : 1234567901234567654320987654321
17 : 123456790123456787654320987654321
18 : 12345679012345678987654320987654321
19 : 1234567901234567900987654320987654321
20 : 123456790123456790120987654320987654321
21 : 12345679012345679012320987654320987654321
22 : 1234567901234567901234320987654320987654321
23 : 123456790123456790123454320987654320987654321
24 : 12345679012345679012345654320987654320987654321
25 : 1234567901234567901234567654320987654320987654321
26 : 123456790123456790123456787654320987654320987654321
27 : 12345679012345679012345678987654320987654320987654321
28 : 1234567901234567901234567900987654320987654320987654321
29 : 123456790123456790123456790120987654320987654320987654321
30 : 12345679012345679012345679012320987654320987654320987654321

まず、10桁の場合は、

1234567890987654321

ではなく、

1234567900987654321

となります。
左半分の1から9までのパターンが壊れ、8が欠けた、1から9までのパターンとなります。

11桁から19桁までは、

1234567900987654321
123456790120987654321
12345679012320987654321
1234567901234320987654321

のように、真ん中に 123...32のパターン(右端の1が欠けている)が入り、
19桁では、

12345679012345678987654320987654321

次の20桁で、

1234567901234567900987654320987654321

となり、左半分は 123456790のパターンが繰り返されます。

21桁以降、また真ん中に 123...32のパターンが入る、 というパターンが繰り返されます。


上記のように数字の並び方のパターンがくずれていない数、

1234567890987654321
123456789010987654321
12345678901210987654321
1234567890123210987654321
...

は、どのような数の積で表されるのかを調べてみます。それ以前に、この数をどのように生成すればよいのか?

生成の仕方については、無理に計算しようとせず、左半分、真ん中、右半分、に分け、
文字列として生成して、数値変換するのが簡単です。
プログラムは以下のとおり。

10   L="":R=""
20   for I=1 to 500:J=I@10
30     L=L+cutspc(str(J)):R=cutspc(str(J))+R:C=str((I+1)@10)
40     N=val(cutspc(L+C+R)):print N
50   next I

この例では、3〜1001桁が生成されます。

「どのような数の積で表されるか?」については残念ながら法則性がなく、桁数によってまちまちとなります。
ここではまず19〜29桁までの素因数分解結果を示します。

1234567890987654321 (19) = 3^2 * 7 * 19 * 928163 * 1111211111
123456789010987654321 (21) = 11 * 19 * 157 * 257 * 3324301 * 4403881
12345678901210987654321 (23) = 11195538763 * 1102732004467
1234567890123210987654321 (25) = 3^2 * 11 * 7309 * 1706168111713953031
123456789012343210987654321 (27) = prime
12345678901234543210987654321 (29) = 7 * 11 * 17 * 7532639 * 8983031 * 139381546141

31桁〜101桁の素因数分解結果に興味のある方は、こちらを眺めて下さい。
場合によっては素数になることもあり、例えば、

123456789012343210987654321 (27桁)

は素数となります。1001桁以下で素数となるのはこれしかありません


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三島 久典