別山から錦秋を愛でる(加賀白山)     

千振尾根から別山 (中央右)

■目的地:別山 (2399.4m)
■日にち:2002年10月5日(土)
■天気:曇りのち晴れ(暑くもなく寒くもなく)
■同行者:単独
■概略コース:砂防新道〜南竜ヶ馬場〜油坂の頭〜別山〜千振尾根〜市ノ瀬
■コースタイム:
  別当出合 発(6:00)〜甚之助避難小屋下(7:50-8:10)〜南竜分岐(8:25)〜
  南竜山荘(8:50)〜赤谷(9:20)〜油坂の頭(10:00)〜天池(10:20)〜石室(11:30)〜
  別山(11:45-12:30)〜御舎利山(12:40-13:00)〜千振尾根避難小屋(13:40-13:50)〜
  水場 着(15:00)〜猿壁堰堤横(15:35)〜市ノ瀬(15:55-16:35)〜別当出合 着(17:45)

【別当出合に駐車】 4日夕刻17時、市ノ瀬は10台ほど。さすがに平日は少ない。
今週はマイカー規制がないので別当出合まで入る。曇り空。こちらの駐車場は第一で20台、
下の第二で10台ほど。第二に停めて別当出合休憩舎まで水を汲みに行く。お湯を沸かして
食事をしていたら18時にはしっとりと闇が降りてきた。車中で横になる。ラジオを聞きながら
何度も目が覚めてはいつの間にか眠る。深夜に来る車は少なく夏の市ノ瀬のようにヘッド
ライトやドアの音で起こされることもない。3時頃にも目が覚めたがその次は何と5時半、
遅くなった。パンを半分とジュースで出発。天気は晴れ。ススキの穂が朝日の雲に影を点す。

【雲が出てきた】 登山口で動態調査に口頭で答えて吊橋を渡る。少し朝露の残る見慣れた
登り道。中飯場の道路脇にあった休憩ベンチは大きな工事中で使えない。
登るにつれ色づいた木々が増え、山道の脇にも紅の小葉が出てくる。別当覗からは観光新道の
尾根に広がる紅葉を見る。いつの間にか雲が出てきた。甚之助避難小屋の下でおにぎり補給。
ここから弥陀ヶ原へ上る斜面の紅葉もきれいだが、陽射しは雲に遮られている。
南竜分岐から見た別山には鉛色の雲がかかった。あと4時間後の好転を期待して南竜荘へ向う。
別山に雲
【ガスの赤谷に陽射し】 2年前の秋に素晴らしい紅葉を見て、今年も期待して来たのだが
南竜荘辺りは既に葉が枯れかけている。紅葉のピークは過ぎたようだ。万才谷からは
弥陀ヶ原方面がガスの切れ間に見えた。南竜のテン場にひと張り。最後のケビンの手前から
地塘群の木道に入り赤谷を見下ろす丘に出る。迫る油坂の深い谷にガスが流れ時に陽が射す。
紅葉も見事で、何度も足を止めた。この谷で半日過ごすのもいいかなとさえ思う。
赤谷に陽が射す
【油坂で青空のぞく】 覚悟してかかった油坂は思いのほか順調に高度が上がる。
見おろす赤谷、雲間に覗く白山本峰。次第に雲が流れて全容が現われてくる。
なんと雄大なことか。何度も振り返りながらやっとピークに着いた。南に別山への縦走路が
白く延びている。岐阜県側も逆光ながら紅葉の盛り。しばらくジュースを飲んで眺めを楽しむ。
青空が広がってきた。
油坂からの本峰
油坂の頭から別山への稜線
【スリルと漫歩の縦走路】 ハイマツや草紅葉の稜線を歩く。天池の水面に移る雲は予想外の
風景。東側が切れ落ちた細い道。吸い込まれそうでどうも嫌な感じ。こんな所が数箇所あって
気を引き締める。大屏風も険しい姿を見せるが山道は巻いて過ごす。時に樹林の中を行く。
枯れ草帯を行くと沢山のバッタたちが飛び跳ね、残る季節を謳歌しているようだ。白い岩と
草紅葉、ハイマツと青空。そんな漫歩気分のの稜線とは対照的にリッジの裾にへばりついた
黄葉が荒々しい。賑やかな本峰とは違い行き交う人もポツリポツリで丁度いい。
御舎利山が間近の山道
【別山で稜線を眺める】 到着するまで別山だと思っていたのは御舎利山だった。
この肩にある石室を過ぎて別山への緩やかな登りを頑張る。思ったより足が大丈夫なので
安堵した。別山神社で安全の感謝と祈念をし山頂到着。先客3人。ひやりとなでる風は
陽射しと合わせて心地よい。
 別山平から三ノ峰、銚子ヶ峰、大日ヶ岳への長い稜線。三ノ峰から右には赤兎や大長山の影。
白山本峰からは右に平瀬道の尾根と三方崩山、左に釈迦岳が大きく翼を広げて、その懐に
錦秋の尾根や谷が行く筋も落ちている。東の南白山へ続くハイマツ帯とその先の彩りも捨て
がたい。贅沢な昼食である。何時間も見回していたい眺めだ。
三ノ峰(右)から大日岳への稜線
【高転びに御舎利山を降りる】 16時に市ノ瀬に着きたかったので長居できない。
重い腰を上げて御舎利山へ。ハイマツで覆われた山頂。ここからの展望もまたなかなか。
眼下に落ちる千振尾根が色とりどり。ついつい眺めを楽しんでしまう。石ころの下りも樹林帯に
入る頃にはつづら折れになる。その途中でも白山本峰や背後の別山が時折顔を出す。
傾斜が緩くなると紅葉の森の中を歩く。青空を背に聳える別山や御舎利山が名残惜しい。
御舎利山から千振尾根を見下ろす
【千振避難小屋での眺め】 3名ほど昼食中の小屋に着く。その会話から聞こえた。
「ここは南竜、室堂、甚之助、殿ヶ池と主だった小屋が一望できる。」なるほどただの
尾根の小屋かと思っていたが、素晴らしい展望台である。背後は別山だけでなく
油坂の頭から大屏風など荒々しい尾根が本峰と別山にアクセント。釈迦岳もこの高度からは
三角錐でかっこいい。山並みだけでなく、その懐に赤黄緑取り混ぜての絨毯が一面。
天気に恵まれ紅葉の時期に恵まれたことに感謝。
千振避難小屋から
【ブナの森を行く】 小屋を過ぎても黄葉の素晴らしさに目移り。デジカメのメモリが
足らないので、曇り加減だった砂防新道の画像を消して撮りなおすことにした。道端には
濃い紫のリンドウが咲いている。そういえば小屋で見た薄紫のマツムシソウも良かったなぁ。
やがて背の高い林の中となるが、何かの本で賞賛されていたブナの姿はまだない。
 小屋から1.9kmに道標がある。この下辺りから待望のブナが現われてきた。幹は細い。
黄葉は今からの様子。
この道は夏に熊の目撃情報もちらほら聞くので緊張しながら降りていく。だんだん大きな木が
増えてきた。カメラを据えている人にも会う。レンズの方を見ると確かに立派な幹だ。
この後はあれよあれよと素晴らしい森の中を降りていく。
 沢音が聞こえ出すと水場。大人で3から4抱えほどの大木も多い。熊も十分入れる大きさ。
右手に柳谷の白い石の色が見え隠れしだしたらやがて砂利の工事道に飛び出した。ここから
市ノ瀬まで1.4kmの道標。
ブナの森に入る
【おまけの登り道】 ススキの穂が高く伸びた砂利道をのんびり歩いて市ノ瀬着16時前。
バスを待つ間にジュースを飲んだり家に電話する。16時半を過ぎてもバスの気配がないので
ビジターセンターに聞いてみると今日はないとのこと。ありゃ、とんだ誤算。最悪歩きと
覚悟して採った千振尾根だったがその最悪のパターンに。日暮れも近いのでさっさと歩く。
下山してくる車が何台もすれ違う。1時間くらいするとペースが落ちてきた。
駐車場が近くなる頃、右手に今日歩いた尾根がシルエットで浮かび上がる。あの辺りは
良い道だったなぁと思いながらへろへろになって駐車場着。
2ヶ月ぶりにしては良く歩けたものだ。勝山の「水芭蕉」でさっぱりして帰路についた。

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2002.10.6. BY M.KANE