「都錦味淋漬」のこと
奈良漬の歴史を遡ると、その名のとおり、奈良に都の有った
「奈良時代」にたどりつくようです。しかし、当時は、濁り酒が
ふつうで、酒粕を分離する、清酒が盛んになるのは江戸時代に入
ってからです。現在のような奈良漬が盛んになるのも、この頃か?
と思われます。
私の家は、もともと、味淋(味醂)の醸造を生業としていました。
この自家製の味淋(味醂)の風味を用いて、従来、野菜を塩と
酒粕とで漬け込んだ、辛口の漬物であった奈良漬を改良し、初代
和泉屋長兵衞が作り出したのが、まろやかな旨味のある奈良漬
『都錦 味淋漬』です。寛政元年(1789年)のことです。味淋漬の
名の由来も、もともとの生業(味淋の醸造)からきています。