私のマツダ車ランキング

 

第8位 LANTIS COUPE Type−R

 ホントに惜しいクルマです。とてもマツダらしい個性的なクルマ。最近流行の兆しのある「スポーティセダン」の先鞭を付けたのは、もしかしたらこのランティスだったのではないでしょうか。生産中止という運命をたどらずに、年々商品改良を加えて熟成し続けていたら、今頃はどんな素晴らしいクルマに成長していたことでしょう。

 FFながらアンダーステアをほとんど感じさせない、50偏平タイヤを十分に履きこなす優れたシャシーに、回せば回すほど気持ちの良い2000ccのV6エンジン。そしてケーブルとは思えないほど小気味良くキマるシフトフィーリングに、ホールド性の優れた形成医学シート。圧巻は個性的でエネルギッシュなスタイリングでしょう。前後のオーバーハングを極端に切り詰めたキレの良いデザインと、その一方でロングホイールベースによる居住性の確保。衝突安全性は大胆なCMで話題を呼んだほどで、そのボディの剛性感はハンドリングにもしっかりと好影響をもたらしていました。当然ながら6気筒エンジンの静粛性は特筆レベル。
 コンパクトな5ナンバーサイズの中に、いろんな性能がまるでマジックにように巧みに詰め込まれた
宝箱のようなクルマと言ったらいいのでしょうか。なかなか出会えるクルマではないですよ。

 私にとって、それまでのクルマのデザインに対する考え方を大きく変えさせられたのがこのランティスとの出会いでした。正直、クーペはデザインに惚れて購入したわけではありません。が、その完成度というか、まとまり感(=破綻のなさ)は当初から強く感じました。好き嫌いは分かれるかもしれないけど、きっとデザイナーさんの満足感の高い、「良い」デザインに違いないと思えたのです。
 それ以来、クルマをモディファイするときも、まずはオリジナルのデザインを大切にしようと思うようになりました。とくに、デザイナーが表現しようとしたモノが(何となくでも)理解でき、共感できるモデルであればなおさらのことです。オプションパーツの定番、リアのマッドフラップをついに装着しなかったのも、スパッと切り落としたようなリアのデザインを生かそうと思ったからなんですよね。

 もうひとつ、キーレスエントリーの便利さを思いがけなく教えてくれたのもこのランティスでした(笑) この便利アイテムはもう二度と手放せません。


<主要諸元> '93 ランティスクーペ 2000 Type-R

寸法:4245×1695×1355mm ホイールベース:2605mm
車両重量:1200kg (5MT)
エンジン:KF-ZE V型6気筒DOHC 1995cc
 (最高出力)170ps/7000rpm (最大トルク)18.3kgm/5500rpm
懸架装置:ストラット(前/後)
ブレーキ:Vディスク(前)/ディスク(後)
タイヤ:205/50R16 (6.5JJ-16)