<旧車シリーズ 706>


NISSAN−PRINCE LIGHT MILER (T446L)


 
富士精密工業のボンネット型トラック「プリンス・マイラー」の登場は、1957年にまで遡る。GA型・1484ccエンジンを搭載する1.75トン積み車としてスタートし、後に1.25トン積みのライトマイラーや、GB型・1862ccエンジンを搭載するスーパーマイラーをラインナップに加えた。
 1965年には初のモデルチェンジを受け、スマートな4灯式ヘッドライトを備える近代的なデザイン、最高速度125km/hを実現するクラス初の5速ミッション、優れた乗心地をもたらす独立懸架のフロントサスペンションを得た。しかし1967年には日産との合併により「ニッサンプリンス・マイラー」となり、これを機にパワートレイン系を刷新。1トン積みのライトマイラーには1595ccのR型エンジンが、2トン積のスーパーマイラーには1982ccのH20型エンジンがそれぞれ搭載され、トランスミッションはフルシンクロの4速に変更された。その後は毎年、安全対策を中心に小変更が加えられていったが、マイラーは1970年、同クラスのニッサンの小型トラック・ジュニアへ統合されて消滅してしまう。クリッパーと同様、プリンスの伝統あるネームプレートをモデルチェンジさせることはできなかった。


 
私がプリンスマイラーの現役実働車に出会ったのは、20年以上も前となるこの写真のシーン1回きりです。当時はなかなか車名が判明せず、フロントの「PRINCE」ロゴを頼りに文献を調べまくり、ようやくマイラーという存在に辿り着きました。ライトマイラーとスーパーマイラーは外観上の差異が殆んどないため、荷台後部に表示されていた最大積載量の数字でなんとか区別を付けました。
 マイラーは歴史も古く、それほどマイナーな存在ではないのに滅多に遭遇できなかったのは、やはり、私が本州最西端である山口県周辺で旧車撮影をしていたという地域的な事情が深く関与しているのではないでしょうか・・・。


推定年式:1969
撮影時期:1981年2月
撮影場所:山口県玖珂郡錦町広瀬にて