能 道成寺
(どうじょうじ)<四番目物 〜 金剛流>
♪日時:2000.04.01 14時 NHK教育放送(2/26
千駄ヶ谷・国立能楽堂での公演)
♪出演者:
前シテ(白拍子)、後シテ(鬼女):豊島三千春
ワキ(住職):鏑木岑男
ワキツレ(従僧):2名
アイ(能力):2名(狂言方)
笛、小鼓、大鼓、太鼓:各1
地謡:8名
♪物語の舞台:
紀州・道成寺(現在の和歌山県日高郡)
♪内容:
安鎮・清姫伝説の道成寺伝説の後日譚という設定。
笛に合わせて住職が登場。能力(寺の職員)の一人に再興した鐘を鐘楼に吊るように指示する。奥の揚げ幕から能力二人が後見役らと緑青色の鐘を担いで舞台へ進む。鐘は舞台中央に下ろされ、綱を梁に架け、能力二人が両側で掛け声をかけると、後見の手でゆっくりと(舞台での演能を邪魔しないくらいに)高く鐘が吊り上げられる。住職は能力に鐘を再興したので、供養に参詣してくれるよう市中に触れ回るよう指示する。ただし、女人禁制と。
能力の一人が出掛け、指示どおり告げる。能力が寺に戻ると笛、小鼓、大鼓の演奏が始まる。
白拍子の登場。小面(若女?)、鮮やかなオレンジの唐織り、黒地に丸紋がワッペンのように縫い付けられた腰巻きといった装束。ゆっくり演奏に合わせ登場すると、能力に供養に来たと告げる。能力は女人禁制だからと断る。女は「舞を見せるからなんとか参詣させて欲しい」と迫る。ならばと能力は一存で、それを許す。女のまま舞ってはいけない決まりがある(らしい?)ので、能力は烏帽子を女に渡し、被るように言う。
烏帽子を着け白拍子の舞いが始まる。急の舞いで鐘がゆっくり下り、烏帽子を脱ぎ捨てると鐘の中に飛び込む。鐘は彼女が中に入ったまま落ちる。その落ちた音を聞いた二人の能力が驚き(この慌てようが可笑しい)、狂言が始まる。雷か地震かと思った、とかなんとか言い合い、鐘楼を見に行く。鐘を触ると熱くなっている。この出来事をどちらが住職に知らせるかで二人は言い争うが、結局一人が住職にそれを報告することになる。
住職が知らせを聞いて、従僧二人と鐘を見に行くと果たして、鐘は落ちていた。住職は従僧らに道成寺の伝説の話を語って聞かせる。住職、従僧は3人で数珠を擦り合わせ、念仏(呪文?)を唱える。囃子と地謡に合わせ祈祷が続くうちに、するすると鐘が上がる。鐘の中からは般若の面を着けた蛇体の女が現れる(鬼女)。オレンジの髪で、唐織を脱ぎ、金の鱗を想像させる着付けとなり、うずくまっている。
鬼女は立ち上がると、住職らと睨み合う。鬼女は彼らを威嚇するが、住職らの祈祷と押し合いとなる。堪らず鬼女は日高川に飛び込む(揚げ幕の奥へ下がる)。
♪感想:白拍子が境内で舞う舞いは乱拍子というものらしいが、急の舞までの間(ま)が長くて眠くなってしまった(修行が足りん?)。なぜ女が鬼女になってしまったかは、よく分からなかったが、清姫の怨霊が再びこの世に現れたのかも知れない。
シテの小面は意外に生々しく、リアルな表情をしていた(面の脇から覗く、豊島さんの顎の肉がちょっと気になったが)。
♪参考資料:
「能楽ハンドブック」
戸井田道三・監修、小林保治・編(\1,500 三省堂)
更新日: 00/07/06
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